第101話『堕天する雷翼』
眩しい光。
崩れ落ちた神殿の瓦礫の中、
カイルの身体が地に叩きつけられた。
――ザァァァァ......。
1.脱出
雨が降り出していた。
焦げた土の匂い、焼けた空気。
あたりは、まるで雷が通り過ぎた後のように静まり返っている。
カイル以外は、全員外に出ていた。
イル:「カイルっ!?カイル!!聞こえる!?」
ラミエル:「......心拍は微弱。DNA反応、ほぼゼロ.....!」
ナイル:「くそっ、どこにいるんだよ........!」
イルは、瓦礫の中に横たわるカイルを見つけた。
イル:「カイル!!!」
衣は焦げ、腕には焼け焦げた痕。
それでも、彼の手は――
小さな金のペンダントを、強く握りしめていた。
イル:「......これは.........エリナの.......」
ラミエル:「.......“傲慢の天使”と交戦してたはずよね......?」
エリック:「あぁ......でも、何かがおかしい。あいつの周りの空気が.......“聖”でも“邪”でも ねぇ。」
エミリア:「........混ざってる.......?」
ナイル:「ああ。まるで――“神”と“悪魔”が同時にいるみてぇな……」
2.空の上
その頃、空の上。
黄金と紫が交錯する雲の中に、
一人の女性が浮かんでいた。
エリナ。
その背から伸びるのは、六枚の黒雷翼。
“雷光”が形を成していた。
ルシファー:《......それが、お前の望んだ力だろう?》
エリナ:「違う......私は......ただ.......!!!」
ルシファー:《違わない。“見返したかった”んだろう?あの日、嘲笑った教師たち。無能と呼んだ家族。お前を弱いと切り捨てた世界を――》
エリナ:「やめろ......っ......!!」
ルシファー:《ならば――“傲慢の裁き”を下せ。お前のすべてを見下した、この世界に!》
雷鳴が轟く。
天を貫くような閃光が走り、
コマディク国の森が、一瞬で光に包まれる。
地上。
イルたちは思わず空を仰いだ。
ラミエル:「......なに、あれ....」
エリック:「.......“天使の堕落”みたいだな。」
ナイル:「おい、冗談言ってる場合かよ!あのDNA量.......七大悪魔の誰よりも強ぇ!」
イルは、カイルを抱きかかえながら、
彼の胸の鼓動を感じ取る。
イル:「......生きてる。だけど、このままじゃ.......!」
カイルの指が、微かに動いた。
3.カイルの思い
焦げた唇から、かすれた声が漏れる。
カイル:「......助ける.......」
イル:「.....ホント.....どうしようもないね。」
エリック:「ああ。女のためにボロボロになってんじゃねぇよ......」
ラミエル:「でも....その“どうしようもなさ”が、カイルの強さなのよ。」
エミリア:「ほんと......すごいよ.........」
風が吹く。
空の雷が収まり、
一筋の光が、森を照らした。
その中心――
エリナが、静かに舞い降りてくる。
目を閉じ、口元に微笑を浮かべながら。
だがその背からは、未だ“六枚の黒雷翼”が輝いていた。
エリナ:《.......カイル、ごめんね........。私......きっと、戻れない.....。》
ルシファー:《いいぞ.....それでいい.....“傲慢”とは、悔いなき堕落だ。》
エリナ:「.....もう.......いいや――堕ちよう。」
黒い羽が、夜空へと散った。
その瞬間、雷が止まり、世界が一瞬だけ静止した。
――天から堕ちた天使は、地に祈ることすらしなかった。
そして、夜が明ける。
次回――
カイルが目を覚まし、 “あの光景”を見た仲間たちに囲まれながら、自分の弱さと向き合う。
そして、決意を固める。




