第100話『裁きの雷』
爆音。
金と紫の光が交錯し、空間がねじれる。
1.裁き
空のない神殿の中で、雷が無限に鳴り響いていた。
エリナ:「これが“傲慢”の王......見下ろす者の視点よ。」
カイル:「やめろ、エリナ!そんなの、お前らしくない!!」
エリナ:「“らしさ”? そんなの、誰が決めたの......?」
風が吹き荒れ、彼女の髪が宙を舞う。
その瞳の奥、確かにルシファーの紋章が光っていた。
カイル:《.......やっぱり、完全に乗っ取られてるのか?》
エリナが指先を掲げる。
雷の槍が無数に生まれ、天井へと突き上がる。
エリナ:「神+雷DNA.......異系統二重詠唱.....裁雷陣!!」
ズガァァァァン――!!!
雷光が落ち、神殿の石床が砕ける。
カイル:「究極・水DNA......氷壁・極!!」
カイルは瞬時に結界を展開したが、衝撃波が全身を貫いた。
カイル:「ぐっ......ッ!!」
足元が崩れ、膝をつく。
エリナは一歩、また一歩と近づいてくる。
その姿は美しくも、恐ろしくもあった。
2.斬れない敵
エリナ:「ねぇ、カイル。あんたが“優しい”ってことくらい、知ってる。でもね、優しさじゃ救えないものもあるの。」
カイル:「....そんなの、わかってるよ。けど、それでも俺は――お前を斬れない!」
カイルが剣を構える。
しかし、その刃は震えていた。
攻撃の意思がない――彼女を傷つけることができない。
エリナ:「......やっぱり......優しいままだね。」
指先が光る。
瞬間、雷の鎖がカイルを貫いた。
カイル:「ぐっあぁぁぁッ!!!」
胸に焦げ跡が走り、血が滲む。
エリナ:「傲慢を罪と呼ぶなら、私はその罪で神を超える。」
カイル:「......神を、超える.......?」
彼女の背後に、巨大な“雷翼”が広がる。
六枚の翼がすべて光で形成され、周囲の空気が震える。
それはもはや、“人間”でも“天使”でもなかった。
エリナ:「傲慢+雷DNA....異系統二重詠唱.....天穿覇雷!!」
一瞬の閃光。
カイルの視界が真っ白に染まる。
身体が宙を舞い、壁に叩きつけられた。
カイル:「.......攻撃できねぇ....どうしても......師匠を、斬れねぇ......!」
エリナ:「じゃあ、死んで――楽になってよ。」
雷が再び集まり、槍を形成する。
その瞬間――カイルは、剣を捨てた。
カイル:「.....師匠。俺は、お前を救うために、ここに来た。」
エリナ:「救う?私を?......ふざけないで!!」
雷槍が放たれる。
直撃の瞬間、カイルが両腕でそれを受け止めた。
全身が焦げつき、光の粒子が散る。
カイル:「........痛ぇな.....でも.......お前の痛みのほうが、もっと.....」
エリナ:「.......え.........?」
その瞳に、一瞬だけ“迷い”が走った。
カイルの血が、床に落ちる。
カイル:「......お前を......ひとりにはさせない。」
その言葉が響いた瞬間――雷の槍が止まった。
エリナの瞳の光が一瞬だけ、揺らぐ。
エリナ:「.......カイル......?」
カイルがそのまま崩れ落ち、光が消える。
3.意識の戻り
神殿の雷鳴が止み、静寂が訪れた。
エリナ:「......あ.....私......何を.........!!」
彼女の頬を涙が伝う。
しかし――ルシファーの声が、心の奥から響いた。
ルシファー:《情など、不要だ。》
エリナ:「やめて.....!もういいの!」
ルシファー:《ならば、証明しろ。“傲慢”を――最後まで貫け。》
エリナの身体が光に包まれ、再び空へと浮かぶ。
カイルは動けず、その姿をただ見上げるしかなかった
カイル:「.....エリナ.......絶対......助けるからな......」
意識が遠のく。
神殿の天井が崩れ、光が差し込む。
二人の姿が、その光の中へと飲み込まれていった。
次回――
カイルが意識を失い、外に吹き飛ばされる――。
そして、エリナが完全にルシファー化へ。




