第1話『異世界へようこそ』
――光が差し込む。
意識の底で、誰かの声が揺れていた。
《……託す……543年後……必ず……》
声は遠く、言葉は途切れ途切れ。
意味を理解する前に、眩い世界が視界を埋め尽くした。
1.異世界へ
――産声。
???:《ここは............どこだ?.........》
助産師:「……元気な男の子ですよ!」
助産師の声が響く。
汗を流す母の腕に、赤子は抱かれた。
母:「カイル……。私たちの子」
母らしきものが優しく名を口にする。
彼女の瞳は、焔のように赤く輝いていた。
父:「カイル・アストレイア。いい名だ」
父が頷く。
赤子の小さな体を包むように、氷の結晶が一瞬きらめいた。
カイル:《カ...カイル?....俺のことか?.....おい!!ここはどこだ!!!》
外側では、赤ん坊の泣き声しか聞こえない。
母:「……あら?」
ミゼルが目を見張る。
氷が散った次の瞬間、揺らめく小さな炎が赤子の周囲に灯ったのだ。
それはすぐに消えたが、産声に呼応したかのように確かに現れた。
助産師も村人たちも、一瞬息をのんだ。
だがすぐに、
医師:「親の力が祝福したのだでしょう」
誰かが口にし、場は笑いに包まれた。
赤子――カイルは眠りにつきながら、薄ぼんやりとした感覚を覚えていた。
カイル:《あ....そっか....俺...転生したんだった....》
どこかで、自分は「もう一度生きている」のだと。
しかし、その理由も記憶も思い出せない。
ただひとつ、心の奥底に刻まれた予感があった。
――自分は、普通ではない
やがて赤子は深い眠りに落ち、炎も氷も静かに消えていった。
こうして一人の子が生まれた。
のちに「地球」と「異星」の運命を左右する存在となることを、まだ誰も知らない。
次回――
カイル、1歳になる!




