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行合いの空で君達と  作者: 雨宮
1/1

悪役令嬢として異世界で生き残るため奮闘します!

この作品を見ていただきありがとうございます!

筆者はこの作品が初の投稿作品とかいう執筆超初心者なので温かく見守ってくださると嬉しいです…!

また誤字脱字等ございましたら教えていただけると助かります!!

毎日の仕事の疲れからか頭が回らない。

明日までに完成させないといけない書類があるというのにまだ半分ほどしか完成しておらず、今日も家には帰れそうにない。…そういえばここのところまともに家に帰った記憶が無いな。とりあえずこんな状態じゃ書類制作の効率も悪いし、少しだけ仮眠してから続きはするか…

フラフラとした足どりで仮眠室へと向かい硬い簡易ベッドの上に横たわる。



そういえば読みたい本や録り溜めたまま見ていないドラマ、買ったっきり一度も開けていないゲームがたくさんあるんだった。どれもやりたくて買ったはずなのに、日常生活が忙しすぎてやる時間が取れなかった。あぁ…いい加減こんなろくでもない会社辞めてもっとホワイトな会社に転職してやる。

というか真冬なのにこんな薄い布団しかないとか頭おかしいでしょ…


そんな事をうつらうつらと考えていたが、突然強烈な睡魔に襲われて、気がついた時には意識を手放していた。


























なんだろう…?すごく暖かくて心地いい…

というか私仮眠室で眠ったよね??

会社の簡易ベッドがこんなに柔らかいはずない。それに私はどれくらい眠っちゃってたんだろう…アラーム止めた記憶がない…




節々に違和感を覚えながらも急いで目を開けると、一目で仮眠室では無いと分かるほど可愛らしい豪華な装飾の施された美しい部屋が視界に飛び込んでくる。自分が眠っていたベッドに視線を移すと、まるで物語の中のお姫様が眠るような天蓋付きベッドがあった。

あまりの衝撃に一瞬固まってしまうが、驚きのあまり悲鳴をあげてしまう。


『え…?…えぇぇぇええぇえぇぇええっ~!?』


私が悲鳴をあげたためか、部屋の外からバタバタと足音が聞こえてくる。


どうしよう…!?気がついたらここに居たなんて信じてもらえるわけもないし、私の人生もしかしてお先真っ暗…!?無意識の内に不法侵入しちゃって警察送りとか勘弁してほしいんですけど!?

どどどどうすれば…!?とりあえず隠れる…!?


あたふたとしている内にガチャリと扉を開かれてしまい、顔から血の気が引いていくのが容易にわかる。


「ご無事でいらっしゃいますかランジアお嬢様!?」


慌てた様子でメイドらしき女性と執事らしき人数名が部屋に雪崩込んでくる。ハロウィンなんかでよく見る安っぽい作りコスプレ用の服なんかじゃなく、艶のある見るからに高級な布で作られた本物のやつだ。

まさかこの目で本物のメイドさんや執事さんを拝む日が来るとは思ってもみなかった。

人間って極限まで精神を追い詰められたら頭真っ白になるんだな…関係ないことばかりを考えて現実逃避をしてしまう。そこまで考えたところで現状を思い出し慌てて弁明をする。



『あっ…あのっ!?ち…違うんです!?悪気があった訳じゃ───』



「お嬢様がご無事で何よりでございます…!お嬢様の身に何かあったらと思うと気が気ではありませんでしたので…」



メイドさんは心底ほっとしたという様子で愛おしそうに瞳を細めている。私以外にこの部屋に誰か居るのかと部屋中を見渡してみるものの、さっき入ってきた人達以外だとこの部屋には私しかいない。

────それに心無いしかメイドさんたちの視線が私に向いている気もするけど気の所為だよね…?



「どうかされたのですかお嬢様?──もしや熱でもあるのですか…?少し失礼いたします。」



そう言うとメイドさんは私の額に手を重ねてくる。

あっ…これ確実に私に話しかけてますねハイ。





…嫌な予感がする。



これもしかしなくてもあれじゃない…?よくある異世界転生モノ…

……っていうか私いつの間に死んだの!?まだやり残したことたくさんあったのに…!!

はぁ……嘆いても現実は変わんないし切り替えてこ…

いい方向に考えればゴミみたいなブラック企業から逃亡できたわけだしね…!!!




───兎にも角にもとりあえず情報収集しますか。

せめて少しでも知識がある世界だといいんだけど…このままじゃきっと私の人生はバッドエンドだから…私の知る限り異世界の令嬢に転生する場合かなりの高確率で悪役令嬢なのだ。今いる世界が令嬢モノには超少数派なほのぼのとしたスローライフコメディであるという線を私はまだ信じているよ…!!!



『だっ…大丈夫だからとりあえず鏡を持ってきてくれるかしら?』



変じゃなかったかな…?前はゴリゴリの一般人だったからお嬢様の話し方とかわかんないよ…

もしかしたら自分の顔みたらなんの世界かわかるかもしれないし、まずは鏡を持って来てもらおう。

きっと日本人らしからぬ髪色に瞳の色なんだろうな。驚かないよう心の準備だけは今のうちからしておこっと…


「承知いたしました。少々お待ちくださいませ。」


メイドさんの反応的に大きな違和感はなく話せたようだ。ひとまずは胸を撫で下ろし、私のそばに控えてる人たちに視線を移す。

部屋にいる人数はさっき鏡を取りに行ってくれた人を除くと合計3人。髪や瞳の色は様々で、とりわけレタスみたいな黄緑の髪にかぼちゃみたいなオレンジ色の瞳を持っているメイドさんが印象的でつい見つめてしまっていた。




「ふふ。どうかされましたかランジアお嬢様?」



私の視線に気づいたメイドさんが優しい声色で微笑みかけてくる。

どうやら元の身体の持ち主は嫌われてはいないみたいで一安心した。最初の相手からの好感度で難易度はかなり変わるからね。



『ッ…なんでもないのよ…!ただ改めて貴方の髪色が素敵だと思っただけ!』


「そうでしたか!確かにわたしの髪色は珍しいですもんね~!」


誤魔化せたかな…?名前もわかんないし疑われないように人の話をちゃんと聞いとかないとだな…

というかこの世界でも緑髪って珍しいんだ…ちょっと意外かも。異世界って髪色なんでもありみたいなイメージだったし。

まっとりあえず私の名前がランジアだってことはわかったしこれだけでも1歩前進だよね…!





そうこうしている間に鏡を取りに行ってくれたメイドさんが戻ってきて、私に鏡を手渡してくれる。




鏡に写った私の姿はまるで西洋人形のように整っていて、10人に聞けば10人が美少女だと答えるような愛くるしい容姿だった。

柔らかく弧を描いたぱっちり二重の少しつり気味の瞼に、上向きの長いまつ毛に縁取られたタンザナイトのような青紫の神秘的な瞳、ふわふわとした銀糸のような美しいペールブルーの髪、透き通るように真っ白な肌に色づいた淡い桃色の柔らかな頬、薔薇の花弁と見紛うような艶やかな真っ赤な唇。鏡にはどこからどう見ても眉目秀麗って言葉がピッタリの世紀の美少女が映っていた。



これが私…?って言うかこの見た目なら乙女ゲームの主人公って線は薄そうかも。そういう系の主人公はふわふわな暖色系の髪に垂れ目ってのが鉄則だもん!




ひとしきり鏡を見て、メイドさんに返したところで勢いよく部屋の扉が開いた。



「悲鳴が聞こえたけど大丈夫なのジア…!?」


声の主は私と同じペールブルーの髪にアイオライトのような上品な青紫の瞳で、口元に黒子のある天使のような見た目の美少年だった。


私にそっくり…兄弟か何かかな?…私の事呼び捨てだしもしかしたらお兄ちゃんかも。

ランジアはお兄ちゃんのことなんて呼んでたんだろう…お兄様?兄様?それとも兄上…?どれも有り得そうで選べないよ……とりあえず名前は呼ばずに話してみるか。


『えへへ…心配してくれてありがとう…!ただちょっと怖い夢を見ちゃっただけなの。』


「ふぅ…なんだそうだったんだね!良かったぁ…!!もしジアに何かあったら兄様生きていけないからちゃんと肝に銘じといてね!!」




『…ふふっ!兄様はほんとに過保護なんだから。』



自分から呼び方口にしてくれて命拾いしたぁぁあっ!!───にしてもこの見た目どこかで見たことあるような…どこで見たんだっけ…?

そんなことを考えていると隣に控えていた執事らしき男性が口を開く。


「ルーレスお坊ちゃまレディの部屋に入る時はノックを忘れてはいけませんよ。」


…あなた方も部屋に入ってくる時ノックしてませんでしたよね…笑

っていうかルーレス…?絶対どこかで聞いた名前だ…!どこで聞いたんだっけ…?思い出せ私!!!























────────あぁそっか…これって昔親友とよくやってた乙女ゲームの隠し攻略キャラなんだ。

…確かタイトルは【姫君と秘密の花園】通称姫花。主人公がイケメンと恋に落ちるよくある王道系の学園ファンタジーモノ乙女ゲームだ。




目の前の天使のような美少年は攻略対象の内の1人で名前はルーレス・ド・ロベリン=ハイドゥルー。公爵家の長男で頭脳明晰、才徳兼備、おまけに容姿端麗とかいう非の打ち所のない人物だ。そんな彼をどうにか攻略しようと奮闘したけど、ルートの解放条件が全然分からなくてめちゃくちゃ苦戦したんだよなぁ。

何故か1度だけルーレスのルートに入れたとき、カッコ良すぎての当時ガチ恋しかけたっけ…笑




そして彼の妹である私、ランジア・ド・ロベリン=ハイドゥルーは案の定悪役令嬢…しかも過半数のルートで処刑なりなんなりで死ぬタイプの…

記憶ではゲームが始まる前は心優しい性格だったのに何かがきっかけで塞ぎ込んじゃったんだよね。







あれ…?─────何かってなんだったっけ…?







プレイしたのがだいぶ昔なせいか、睡眠時間を削ってまでやりこんだのに記憶があやふやだ…

だけどその何かがきっかけで悪役令嬢になってしまった故に、こうなってしまった理由を知っている2人の幼馴染のルートでは処刑されずに済むんだよね。



───せっかくブラック企業から解放されて、公爵家の娘として何不自由無く暮らせるのだからこんなところで死にたくない。というか昨日まで働き詰めだったんだしこれからは自由に楽しく生きたい。




…つまり私が生き残るために今すべきなのはランジアが塞ぎ込んだ理由を思い出せるように努力しつつ、主人公がどのルートに入ったとしても処刑されないように今のうちに攻略対象と仲良くなる。

そして学園に入学した後はそれとなく主人公が私が死なない攻略対象と恋に落ちるようにサポートするってかんじかな?───とりあえずはこの方針で進めていこう…!




「…ア……ジア!大丈夫ジア!?」


…そうだった!今私ルーレスと一緒だったんだ…!!


『ごっ…ごめんなさいルー…んッんん…兄様…少しぼーっとしてしまってたみたい。』


あっぶね!?今めちゃくちゃルーレスって呼びかけた…このままじゃいつか絶対ボロでるし、今のうちから脳内でも兄様って呼ぶようにするか。口調も気をつけなきゃだし…




「やっぱり体調悪いんじゃない?今日はベルたちに会いに行くの辞めておくかい??」


『ベ…ル……?』


「うん。今日はベルとアルと遊ぶ予定でしょ?体調が悪いなら断りの連絡をしておくよ?」


ベルとアル…?それって確かランジアの幼馴染の愛称だったよね?本名はベルギア・ロ・ホワイトローズとアルテア・フォン・ユテンジニアだったっけ。

周りの反応を見る限りそこまで私の行動に違和感は無いみたいだしまずは様子見で会っておくか…



『本当に大丈夫だからあんまり心配しないで?でもありがとう!』


「…そう?じゃあ遅れないように気をつけて行ってらっしゃい。」


そう言って愛おしむように私の頭をポンポンと撫でてくれる。これが本来のランジアの感情なのか私自身の感情なのかは分からない。けれどその手つきがあまりにも優しくて、ランジアでは無い私がこの感覚を享受することに背徳感を覚える反面、それがどうしようもなく嬉しくて胸がじんわりと温かくなってしまった。



兄様は一通り私の頭を撫で終えると、軽く手を振ってからにこやかに部屋から出ていった。

そのままこの後はベルとアルと何をする予定なのかと考えていると、朝の支度の準備をしてくれていたらしいメイドさんにされるがままに気がついた頃にはもう既に家を出れる所まで支度が終わっていた。


外出先でも何事もなく過ごせるといいけど………




1話目は楽しんでいただけたでしょうか…?

少しでも気に入っていただけたなら光栄です!

これから不定期ですが更新できるよう頑張りますのでまた閲覧していただけると嬉しいです!

感想等いただけるとめちゃくちゃありがたいです!!!

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