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点滴

「君さ、そろそろ真っ当な人生ってやつを進んだ方がいいよ」


この時期になると決まって顔を突き合わせることになる老人はいつから言い始めたのか、決まってこの決まり文句を言ってくる。その時の顔も、態度も、言い方も、全く変わりはしない。


せっかく来た客には麦茶の一つも出さず、自分はうまそうにコーヒーを飲んでみせる。別に着たくて来たわけでもないが。


「よくもまぁ、毎年決まった時期に来るもんだ。むしろ才能か?」


冗談じゃない。こんな才能、欲しけりゃくれてやる。決まり切った無駄話なんてやめて早くすればいいものを。


「そうもいかない、これは必要だ。例外を除いてな。」


えぇ、はい。私こそが例外でござますよ。チラリと向けられる視線にため息で返す。


「熱は?」

37度1分


「今年も?」

おそらく熱中症か脱水症状、もしくはその両方


「クーラーは?」

使ってる


「周りに同じ症状は?」

なし


「他に症状は?」

そっちもなし


夏が嫌いだ。

夏野菜だとかは好きだが、それでも夏が嫌いだ。

昔から体が弱いからか、夏になったら一度は倒れて近くの病院に行くことになる。小さな病院だというのに、夏になれば俺が来るまで最低一つはベッドが開けられ、決まった問診をして、決まった小言を聞く。

看護師は浮かない血管を慣れた手つきで探し出し、手早く処置を終わらせると次の患者の元へ。


夏と言ったら海、スイカ、かき氷などを浮かべるらしいが、残念なことに点滴が真っ先に浮かぶ。


「もう二度と顔をみせるなよ」


数時間から一日ほど経てば健康体となり、また来年もこのベッドであの老医師の仕事ぶりから医療の雑学を学んでいくのだろう。

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