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魔王と魔王 (仮)  作者: くろりす
第一章 受け継いだ者編
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もうひとり

~ 受け継いだ者編 ~


「キャー―――――ッ」

甲高い女性の叫び声で目を覚ます。

寝ぼけた頭で即座には動けなかったが、頭が回りだすと急いで声の元を探す。


こんな森の中、人里なんてまだ遠いと思っていたが、意外と近くにあったのか?

昨夜は森の中なんでと、暗くなる前に寝床の準備をしていたが、もう少し周囲を探してればよかったな。


そんな後悔をしながら走っていると、人影をとらえることが出来た。


人影の方へ向かうと、女性が追われている。

大事に至る前に、何とか間に合ったようだ。


女性と賊の間に割って入り、話し合いで解決を試みたが、やはり無理であった。

賊は言わなきゃいけない決まりでもあるのか?ってくらいお決まりのセリフを吐いて襲ってきた。


正直、賊が襲ってくること自体は大した問題ではない。

私は子供の時から、少し不思議な力を使えるので、人から襲われることにそれほど脅威を感じない。

しかし、どうやらこの力は魔法と呼ばれ、あまり良く思われないらしく、それと分からないように対処しなければならない。

その加減をする方がよっぽど問題だ。


即座に賊を追い返した後、女性を心配して声をかける。


「大丈夫ですか?どこか怪我とか?」

すると女性は「いやっ、あっち行って」と言い、持っていたリンゴを投げつけてきた。

私は投げられたリンゴを軽く掴むと、「やはり魔法が使えると知らなくても同じか…。」と思い、気持ちを沈めた。


しかしこのまま彼女を放っておく訳にもいかないので、何とか話を出来ないかと試みる。


「ちょっと落ち着いてください。」


「何?助けたつもり?」


事実そうだろうと思いつつも

「いや、襲われてると思ったので…」


「助けてなんて言ってないから」

「そうやって恩着せがましく言って、何か要求する気なんでしょ」

「あんたもあいつらも怪我してなさそうだったし、ホントはグルなんじゃないの?」

「そうよ!そうやってお金をせしめてるんでしょ」


「そんなわけ……(無くもないのか。たしかに用心に越したことはないな。しかし、よくそんな悪い事思いつくな。)」


「あっホラ!黙っちゃって。」


「いや、違う…。」


そうこうしていると、騒ぎを聞きつけてきたのか、男衆が武器?のようなものを持ってやってくる。

彼女を助けに来たのだろう。

それは良かったのだが、男衆は私が彼女を襲った犯人だと勘違いをし怒声を浴びせてくる。

当然だが彼女も弁明する気配は無い。

話しても分かってもらえそうに無いので、私は黙ってその場を離れることにした。


まあ彼女は無事だったし、朝食も手に入ったから良しとするか。

そう考え、リンゴを一口かじった。



私は昔っからこうだ。なぜか人間に嫌われる。

そういう星のもとに生まれたとでもいうのか?それでも理由は欲しいものだ。

なぜこんなにも嫌われなければならないのか。

本当に世界中の人間全員に嫌われているのか?

どこかに私を受け入れてくれる人間はいないのだろうか?


私が旅をしている理由はそれである。

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