もうひとり
~ 受け継いだ者編 ~
「キャー―――――ッ」
甲高い女性の叫び声で目を覚ます。
寝ぼけた頭で即座には動けなかったが、頭が回りだすと急いで声の元を探す。
こんな森の中、人里なんてまだ遠いと思っていたが、意外と近くにあったのか?
昨夜は森の中なんでと、暗くなる前に寝床の準備をしていたが、もう少し周囲を探してればよかったな。
そんな後悔をしながら走っていると、人影をとらえることが出来た。
人影の方へ向かうと、女性が追われている。
大事に至る前に、何とか間に合ったようだ。
女性と賊の間に割って入り、話し合いで解決を試みたが、やはり無理であった。
賊は言わなきゃいけない決まりでもあるのか?ってくらいお決まりのセリフを吐いて襲ってきた。
正直、賊が襲ってくること自体は大した問題ではない。
私は子供の時から、少し不思議な力を使えるので、人から襲われることにそれほど脅威を感じない。
しかし、どうやらこの力は魔法と呼ばれ、あまり良く思われないらしく、それと分からないように対処しなければならない。
その加減をする方がよっぽど問題だ。
即座に賊を追い返した後、女性を心配して声をかける。
「大丈夫ですか?どこか怪我とか?」
すると女性は「いやっ、あっち行って」と言い、持っていたリンゴを投げつけてきた。
私は投げられたリンゴを軽く掴むと、「やはり魔法が使えると知らなくても同じか…。」と思い、気持ちを沈めた。
しかしこのまま彼女を放っておく訳にもいかないので、何とか話を出来ないかと試みる。
「ちょっと落ち着いてください。」
「何?助けたつもり?」
事実そうだろうと思いつつも
「いや、襲われてると思ったので…」
「助けてなんて言ってないから」
「そうやって恩着せがましく言って、何か要求する気なんでしょ」
「あんたもあいつらも怪我してなさそうだったし、ホントはグルなんじゃないの?」
「そうよ!そうやってお金をせしめてるんでしょ」
「そんなわけ……(無くもないのか。たしかに用心に越したことはないな。しかし、よくそんな悪い事思いつくな。)」
「あっホラ!黙っちゃって。」
「いや、違う…。」
そうこうしていると、騒ぎを聞きつけてきたのか、男衆が武器?のようなものを持ってやってくる。
彼女を助けに来たのだろう。
それは良かったのだが、男衆は私が彼女を襲った犯人だと勘違いをし怒声を浴びせてくる。
当然だが彼女も弁明する気配は無い。
話しても分かってもらえそうに無いので、私は黙ってその場を離れることにした。
まあ彼女は無事だったし、朝食も手に入ったから良しとするか。
そう考え、リンゴを一口かじった。
私は昔っからこうだ。なぜか人間に嫌われる。
そういう星のもとに生まれたとでもいうのか?それでも理由は欲しいものだ。
なぜこんなにも嫌われなければならないのか。
本当に世界中の人間全員に嫌われているのか?
どこかに私を受け入れてくれる人間はいないのだろうか?
私が旅をしている理由はそれである。




