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涙
洞窟に戻った私は、自身の心情に困惑する。
色んなことが起きすぎて、頭が感情に追い付いていないのか。
母が亡くなったというのに、涙一つ流れない。
物語の登場人物が亡くなった時のような悲しみは無い。
私が薄情なのだろうか?
それとも現実に人が亡くなるというのはこんなものなのだろうか?
悲しみというより大きな虚無感、喪失感があるだけ。
その後、どのくらい時間が経ったのだろうか?
何も考える事が出来ず、ボーっとしていると、母の声が聞こえてきた。
「何してるの?こんなところで」
「え!?なんで?」
「なんでって、迎えに来たのよ」
「ご飯の時間になっても帰ってこないから」
「…。」
「なぁに、変な顔してw」
「さぁ、帰るわよ」
家へ着くと、あたたかな食事に、母も笑顔で、村人たちも優しい顔に戻っている。
ああ、いつまでもこの時間を噛み締めていたい。
だけど私はもう気付いてしまっている。
これは夢だと。
目を覚ますと、私は涙を流していた。
そこからも、自分でも信じられない程涙が流れた。
なぜこんなにも涙が溢れてくるのか。
もうどんな感情で涙が流れているのかも分からなかったが、今はこの涙を止めようとは思わなかった。




