転機
武器は俺が作り出すことが出来る。
と言っても、ホントに戦争に使われる武器をつくる気はない。かといって粗悪品だと見抜かれるようなものであれば、ソレはソレで問題が起きるだろう。
ちゃんとした武器で、しかし戦争で使われない武器。色々考えた結果、私は時限式で使えなくなる武器をつくることにした。その性質上、魔法武器になる。普通の剣や盾等の粗悪品は簡単にバレるが、魔法武器なら使えなくても事故と言い訳出来るし、なおかつ一度しか使用できない希少なものなら、訓練などで使う事も無いだろう。
次の日、俺は村の外れに居た。兵士たちに武器を引き渡すためだ。
まあどこでも良いのだが、平和な村の中に大量の武器を持ち込むのは、なんだか気が引けた。
少女と一緒に兵士たちが来るのを待つ。数日の間に少女たち親子とは仲良くなった。特に少女には随分と懐かれたものだ。
武器の引き渡しの現場に同行とはどうかとも思うが、まあ引き渡すだけだし兵士たちも文句は言わないだろう。
暫くすると、兵士たちが来た。
「準備は出来たか?」
「ああ、これだよ」
「これが噂の武器か。見たこともないものだな、どういったものだ?」
俺は武器の説明をする―。
「ほう。簡単なものだな。これなら兵士でなくとも使えそうだ。どれ」
そう言うとその男は少女の家に向け、武器を使った。いとも容易く、躊躇なく。
俺は、何も反応が出来なかった。燃え上がる少女の家を、ただ見ているだけだった。
「おかあさん…?おかあさん、おかあさん!!」
大きな声をあげながら、少女が家に向かって走っていく。
「待て!危ない!」
少女を追いかけ制止する。
「はなして!」
駆け寄りたい気持ちは分かるが、燃えている家に近づくのは危険だ。それに彼女の母親はもう……。
「『おかあさん』ということは、その子も魔女か」
まずい!
「やめろ!!」
そう言って制止しようとしたときには、もう遅かった。
少女は、俺の目の前で殺された。もっと警戒しておけば守れたはずだった…。どうしてこうなった。どこか油断していた。穏便に済ませられると、話し合いで解決できると、、
村人なんて見捨てればよかったのか?いや、そうだ。そもそもこいつらが攻めてきたときに皆殺しにしておけば良かったんだ。ああそうだ。殺して、殺して、コロして、、言葉なんて意味がないんだから……。