戦争?
それから、彼女たちとの交流も重ねながら数日の時が過ぎた。
そんなある日…。
はじめに気づいたのは音だった。村の方が騒がしい。
確認の為、森を抜けて村を見ると、黒い煙が昇っていた。
急いで村に駆けつけると、兵士たちの姿が見えた。兵は50程、どうやら彼らが攻めてきたようだ。
すでに村人たちは捕まっており、一か所に集められていた。
軍?戦争か?しかしこんな小さな村に攻める価値は無いような…。
「この村に、大量の武器が運び込まれているという情報がはいってな。ソレを引き渡すというのなら、命は助けてやろう」
兵士たちの代表らしき男が言う。
そういう事か。事実なら、戦争の準備をしていると思われても仕方がない。しかし、この村の人間が?。もちろん実際にそんなものを隠してるなら旅人に感づかれるようなことはしないだろうが…。
「本当にそんなものは知りません。どうか、許してください」
村長が答える。
「出さないなら出さないで良い。貴様らを始末した後、じっくり探せばいいんだからな」
「そんな…本当に無いんです」
「そうか、ならいい。…殺せ」
「そんな!!」「ちょっと待ってくれ!」
村人、兵士、全員がこちらを見る。
考える前に、思わず割って入ってしまった。とりあえず、なんとか引き延ばさないと
「なんだ?お前は」
「武器を渡せば…本当に命は助けてくれるのか?」
「うん?…ああ約束しよう。お前が知っているのか?」
もちろん知らない。だがこのまま何もしなければ、本当に村人は殺されてしまうだろう。なんでもいい。とにかく時間を稼ぐ。
「ああ、俺が知ってる。用意するから、村人たちは助けてくれ」
「ふっ、いいだろう。ならすぐに持ってこい」
まずい。何か言い訳を
「少し、時間がかかるんだ。明日まで待ってもらってもいいか」
「なぜだ?持ってくるだけだろう?」
体のいい理由が思いつかない。
「そんなに、急ぐことがあるのか?」
論点を理由から遠ざける。どうか追求しないでくれ。
「…まあそうだな。では明日までに準備しておけ」
助かった。なんとか時間が出来た。
後は武器をつくれば、なんとかなるだろう。
この噂の真偽も気になるところだが、そのへんは後でも良い。ひとまず、兵士たちに帰ってもらうのが先だ。