少女の家
結局お店は閉まっておりパンは買えなかった為、俺の持っている食料と交換することにした。
「お母さんと一緒には買い物に来ないの?」
「お母さんは、お病気だから…」
「そうなんだ、それで君が働いてるんだね」
―
「おうち、ここ!」
村から少し離れたところにある小さな家、大人ならそうでもないが、子供の足で村まで行くのは確かに少し遠いかもしれない。
「こっち」
そう言うと、少女は小走りで家の中へ入っていってしまった。
家にまでお邪魔するつもりは無かったのだが、しかし、荷物を渡さなければならない。
母親は私を嫌がらないだろうか?見知らぬ男の登場が、身体に障らないと良いのだが…。
想定外の事態に、私は少々緊張しながら、少女の後を追い家の中へ入った。
「おかあさんこの人!」
声がした方へ目を向けると、ベットで半身を起こした女性と、その女性に甘える様にくっつく少女の姿があった。
すでに私の事を話していたらしく、こちらを向いていた少女の母親が、私に向かって礼をする。
「ありがとうございます。この子がお世話になったみたいで…」
「いえいえ、大したことは…」
「食材も頂いたそうで。あの、良ければご飯を食べていってください」
「そんな、悪いですよ」
「あなたに頂いた食材ですから、遠慮なさらずに。すぐにつくりますんで」
そう言うと、少女の母親は、娘と一緒に食事の支度をはじめる。
せっかくのご厚意、お言葉に甘えることにしよう。
『神』についても、何か聞けるかもしれない。