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魔王と魔王 (仮)  作者: くろりす
第一章 受け継いだ者編
13/19

少女 2

(しばら)くあの子の様子を見ていたが、やはり村人に嫌われているようだ。

懸命(けんめい)に仕事をしているのに、邪険(じゃけん)に扱われる姿は見ていて心が痛む。

しかし俺はあの子に何をしてやれるだろう?手を差し伸べるのは簡単だ。だが一時の手助けなど中途半端な希望を見せるだけで、(かえ)って苦しめてしまうのではないだろうか?

半端に関わって、彼女の一生に責任を持てるかと問われれば、その自信は無い。

だったら初めから何もしない方が良いのだろうか?

思考がグルグルと巡る。


しかし、あの子はいつも笑っているな…。

思えばさっきだってとても笑える様な状態じゃなかったはずだ。

きっと人と話すときは笑顔をつくるように心掛けているんだろう。そこからもあの子がどんな性格なのか分かるというものだ。


夕刻になり、宿を探していたのだが…。


「うぅ……。高い」


「この村に宿はウチしかないからね。払えないんだったら野宿するしかないよ」


払えないほどではないが、今後の事も考えると不安になる金額だ。

足元を見られてるような気もするが、仕方ない。この村に滞在する間は野宿するしかないか。っと宿を出ると、あの子が居た。

何やら地面に落ちているものを拾っている。転んだのだろうか?荷物が散乱していて、中にはパンなどのように台無しになったものもある。

悲しそうな顔で荷物を拾う彼女を見て、胸がズキンと痛む。この状況を見て見ぬふりなど、とても出来なかった。


「大丈夫か?」


「あっ!昼のおじさん」


「荷物、転んだのか?」


「うん。あたしドジだからよくころんじゃうんです」


「そうなのか」


話しながら少女の服や足に付いた土を手で払う。

よく見ると少女の足は少し曲がってしまっていた。そのせいで転びやすいのだろう。おそらく生まれつきでは無く、子供の柔らかい骨に負荷をかけてしまっているからだ。


「荷物は無事?パンは汚れちゃってるけど…」


「うん。まだ、たべられるし」


「あっ砂糖も袋が破けてこぼれちゃってんじゃん。果物は洗えるけど、、、しかし沢山買ったね。重くて大変でしょ?少しづつ買った方が良いんじゃない?」


「おウチ、けっこう とおいから」


「そうなの?」


往復する方が大変ってことか…。しかしこの量、自分の分だけじゃなさそうだけど、同居人はどうしてるんだ?この子の場合、家族じゃないって事も考えられるんだよな…。


「じゃあ持ってあげるよ」


「え!?いいの?でも…」


「遠慮しないで」


「それと、パンと砂糖は買い直した方が良いよね。お店が閉まる前に、行こう!」


「あぁ…、いい…、きょうのブンは…、それで…」


「ああ!お金なら、俺が出すよ!」


「それは…。おかあさんに怒られるかも…」


母親は居るのか!良かった。家族と暮らせてるんだな。

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