少女 2
暫くあの子の様子を見ていたが、やはり村人に嫌われているようだ。
懸命に仕事をしているのに、邪険に扱われる姿は見ていて心が痛む。
しかし俺はあの子に何をしてやれるだろう?手を差し伸べるのは簡単だ。だが一時の手助けなど中途半端な希望を見せるだけで、反って苦しめてしまうのではないだろうか?
半端に関わって、彼女の一生に責任を持てるかと問われれば、その自信は無い。
だったら初めから何もしない方が良いのだろうか?
思考がグルグルと巡る。
しかし、あの子はいつも笑っているな…。
思えばさっきだってとても笑える様な状態じゃなかったはずだ。
きっと人と話すときは笑顔をつくるように心掛けているんだろう。そこからもあの子がどんな性格なのか分かるというものだ。
夕刻になり、宿を探していたのだが…。
「うぅ……。高い」
「この村に宿はウチしかないからね。払えないんだったら野宿するしかないよ」
払えないほどではないが、今後の事も考えると不安になる金額だ。
足元を見られてるような気もするが、仕方ない。この村に滞在する間は野宿するしかないか。っと宿を出ると、あの子が居た。
何やら地面に落ちているものを拾っている。転んだのだろうか?荷物が散乱していて、中にはパンなどのように台無しになったものもある。
悲しそうな顔で荷物を拾う彼女を見て、胸がズキンと痛む。この状況を見て見ぬふりなど、とても出来なかった。
「大丈夫か?」
「あっ!昼のおじさん」
「荷物、転んだのか?」
「うん。あたしドジだからよくころんじゃうんです」
「そうなのか」
話しながら少女の服や足に付いた土を手で払う。
よく見ると少女の足は少し曲がってしまっていた。そのせいで転びやすいのだろう。おそらく生まれつきでは無く、子供の柔らかい骨に負荷をかけてしまっているからだ。
「荷物は無事?パンは汚れちゃってるけど…」
「うん。まだ、たべられるし」
「あっ砂糖も袋が破けてこぼれちゃってんじゃん。果物は洗えるけど、、、しかし沢山買ったね。重くて大変でしょ?少しづつ買った方が良いんじゃない?」
「おウチ、けっこう とおいから」
「そうなの?」
往復する方が大変ってことか…。しかしこの量、自分の分だけじゃなさそうだけど、同居人はどうしてるんだ?この子の場合、家族じゃないって事も考えられるんだよな…。
「じゃあ持ってあげるよ」
「え!?いいの?でも…」
「遠慮しないで」
「それと、パンと砂糖は買い直した方が良いよね。お店が閉まる前に、行こう!」
「あぁ…、いい…、きょうのブンは…、それで…」
「ああ!お金なら、俺が出すよ!」
「それは…。おかあさんに怒られるかも…」
母親は居るのか!良かった。家族と暮らせてるんだな。