出会い
一度寝床へ戻り、出発の為荷物をまとめていると、人から声をかけられた。
「あの、すみません」
フードで顔が良く見えないが、成人した男性だろうか?
普通の人間ならなんてことない事かも知れない。
しかし私にとっては驚くべきことだった。
あまりの事に目を白黒させていると
「ああ、ええっと、、先ほどの騒動、、実は私も近くに居まして、途中から見てたのですが…あなた、魔法使ってましたよね?」
!? あれでバレていたのか?というかそれで話しかけてくるということは!
私は身構えた。世の中には魔法使いにかなり攻撃的な集団も居るらしい。
しかし私が身構えたのを感じたのか、その人は誤解を解くように急いで話を進めた。
「あっ!いや違うんです。私もなんですよ。私も魔法が使えるんです」
「え!?」
はじめて見た。自分以外の魔法使い。
「はじめて見ました…」
「ええ。私もです。」
「俺の事、嫌じゃないんですか?」
「私も同じですからね」
そうなんだ。俺を嫌わない人間もいるんだ。
確かに俺も、この人に対して特に嫌悪感などは無い。
魔法使い同士なら大丈夫なのかな?
「旅をしてるんですか?」
私の荷物に目をやり、確認してくる。
「はい、故郷ではみんなに嫌われていたので、どこか遠くの人なら、俺を嫌わない人が居るんじゃないかって」
「でも、会う人会う人みんなに嫌われてしまって、、はじめて会う筈なのにですよ!」
口にした直後、相手を見てハッとする。
そうか、この人も同じだった。
すこし語気を弱め、つづける
「だからもう、存在そのものが気に食わないんじゃないかって」
「そうだったんですね。すみません。」
???なんでこの人が謝るんだ?
「いえ、こうなったのは私に原因があるんですよ」
!?