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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

猫耳だって生えてくる

作者: 海鑑 紅
掲載日:2022/09/30

緩那かんなが目を覚ますと猫耳が大量に生えていた。床や天井、ベッドなど、そこら中に生えていた。

緩那かんな:集合体恐怖症の人が見たら、気分を悪くしそうだね

首を傾げながら、何かをひらめいたかのように頭に手を近づけた。

緩那:柔らかい

彼女の頭には猫耳が付いていた。そして彼女は何かを決心したように床に生えている猫耳に飛び込んだ。

緩那:ああーふわふわ

彼女の顔をふにゃと砕けた顔になり、徐々に目が閉じかけていた。

彼女が猫耳に浸っていると

菜乃なの:おい、朝だぞ起き……ろ

ルームシェアをしている外川 菜乃がそこに立っていた。

菜乃:なんだこれ!?

緩那:良い反応だねー

菜乃:なんでそんな呑気にいられんの! 頭大丈夫ってお前も耳ついてる! アニメの作画ミスみたいになってる! 人の耳と猫の耳が共存してる!

緩那:朝から元気だねー

菜乃:だから何でそんなに呑気なんだよ!?

緩那:菜乃も触ってみ? 色んなことがどうでもよくなるよ

彼女に促されるように床に広がる耳の一個に触れる。

ほわあーとピンク色のオーラが出ていそうなほどの笑顔がそこには広がっていた。

緩那:どう?

菜乃:うん、ずっと触っていたい。はっダメだ、これは危ない!

緩那:駄目じゃないよー。今日はずっと触っていようよ

菜乃:それもそっかあーとはならんからな。ちゃんと高校行くぞ。二年生の二学期初日なんだから

緩那:そんなー、といっても私、猫耳に囲まれて一歩も動けないよー?

菜乃:踏めば?

緩那:猫愛好家の私にそんなことをしろと!?

菜乃:あんた、犬派だろ

緩那:バレちゃったワンね

菜乃:隠してなかっただろ

緩那:でもでも、踏むことはできないよ。犬派だからって猫を粗末に扱える訳じゃないし、猫を踏んだのに元気よく歌えるわけでもないよ!

菜乃:そうだけど、そうやって動かないと動けないだろ? そのまま一生をそこで過ごすことになるよ

緩那:そ、それは困る! ねえ! 出して菜乃ちゃん。お願い

そんな言葉を気にすることなく、菜乃は扉を閉めてしまった。

緩那:菜乃ちゃーん、助けてよー いじわるしないでー

菜乃:……

緩那:ねえ、そこにいるんでしょ? たすけてーよー……返事が無いただの柴犬のようだ

菜乃:……

緩那:え? ほんとにいないの?

菜乃:…………

緩那:えっ、まさか、あの菜乃ちゃんが私を置いていくなんて。寂しくて死んじゃうよー

菜乃:………………

緩那:いないの? ほんとに? 嘘でしょ? あ、あれなんか涙が

菜乃:いるよ

がらがらと扉が開いた。

緩那:い、いんのかい! 寂しかったぞー。抱き着きたいくらい寂しかったー

菜乃:抱き着けよ

緩那:それはそれでどうなの? 男性が言ってたら犯罪よ?

菜乃:言うだけはいいだろ

緩那:いやいや、最近は危ないよー、気を付けなー

菜乃:う、うん。それでどうするんだよ? そこから動くにはその耳踏まなきゃいけないぞ

緩那:どうしよう

菜乃:生えてはいるものの所々に空いてるところあるから、そこを踏んで来いよ

緩那:私のバランス感覚の無さ知ってるでしょ?

菜乃:じゃあ、私がそこまで行って、運んでやるよ

緩那:も、もしかしてお姫様抱っこですか!?

菜乃:いや、おんぶだけど

緩那:はあー、菜乃ちゃん分かってないねえー

菜乃:じゃあ、もう運んでやらないぞ

緩那:ごめんごめん、運んで運んでー

菜乃:はぁ、素直にそう言えばいいのに

そういって彼女は猫耳のないところを慎重に抜け、緩那の元にやってきた。

菜乃:じゃあ、持ち上げるから体の力抜いてよ

緩那:う、うん

よっと緩那を持ち上げた

緩那:なんだーやっぱりお姫様抱っこしてくれるんじゃん

菜乃:そっちの方が持ち上げやすいと思って

緩那:ねえ、王子様? キスしてもいい?

菜乃:誰が王子だ。ここから落とすぞ

緩那:でも、いいの? 菜乃ちゃんは猫派でしょ? 下に猫耳があるのにそんなことができるの?

菜乃:ぐっ、確かに

緩那:なんなら、猫耳のついたあたしにドキドキしてるんじゃにゃいのー?

菜乃:うん正直、耳が千切れるくらい撫でたい

緩那:おお、素直

そんな会話をしていると、部屋の外に辿り着いた。

菜乃:ほら、もう降りろ

緩那:ええー、リビングまで運んでよ

菜乃:重いから降りろ

緩那:ああー! そんなこと年頃の女の子に言っちゃいけないんだよー!

菜乃:いいから

緩那:とか言っちゃってー、ホントは運んでくれ……イダッ

菜乃:ほら、いくぞ

緩那:イタタ。いやいや、ホントに落とすことないじゃん? 結構痛かったよ!?

菜乃:これでも痛くないように落としたつもりだったんだけど

二人はご飯を食べ、学校に向かう準備を始めた。

緩那:菜乃ちゃん髪結ってー

菜乃:毎回思うけど、ポニテくらい自分でやれよ

緩那:えへへー、そういってやってくれる菜乃ちゃん好きぃー

菜乃:というか、この猫耳どうすんだ? 隠せるのか?

緩那:もふもふ触りながら言ううんじゃないよー

菜乃:い、いやだった?

緩那:ううん、全然。むしろ気持ち良いくらい

菜乃:そ、そうか。ちなみに他の奴にお前の耳触らせんなよ

緩那:分かったよ。菜乃ちゃんのお望みなら、そうさせていただくよ

菜乃:で、どうやって耳隠すんだよ。帽子か?

緩那:うーん、帽子被るくらいしか対策ないよね

菜乃:学校に?

緩那:だって仕方なくない? 何か適当に言い訳しとくよ

菜乃:まあ、できるならいいけど

緩那:おっけーい

菜乃:というかそろそろポニテくらい自分で出来るようになれよ

緩那:これでも練習しようと努力はしてるんだよ? これは信じて。でも練習する気は起きなくてさ

菜乃:それなら努力してないのと同じだな。夏休みの宿題やろうと机に向かって達成感感じてるのと同じだからな? なんならそれより悪い

緩那:努力しようとする心掛けが大事なのよ?

菜乃:それもそうだが、努力することがもっと大事なんだよ

緩那:あーきっと今多くの人の心が苦しくなってるよ。こういうことをあんまり強く言い過ぎないように注意しようね

菜乃:なんで私、注意されてんの?

緩那:まあまあ、これから気を付ければいいからね?

菜乃:なんか慰められてない? 私

緩那:それじゃあ、私は先に言っちゃうね

菜乃:お、おう、また学校で

緩那:また学校でねー

彼女たちは同じ学校に通っているが登下校時間をバラバラにしている。

その理由は。


なつ:あっ、進導会長おはようございます

緩那:うん、おはよう

夏:今日も早いですね

緩那:君の方が早いじゃないか

夏:いえいえ、私は後輩ですから早く来て当然なんです

緩那:そんなことないさ、皆より早く登校しているだけで偉いことだよ

夏:そ、そうですか? ありがとうございます

緩那:というか、会長は今日なんで帽子を被っているんですか? 校則違反ですよね

菜乃:ああ、これか。すまない。事情により暫くは帽子を被らないと私のメンタルが持たなくてな。

夏:(被らなきゃいけないとうことは癌治療とかで脱毛が始まっているのかも)た、大変ですね

緩那:ああ、これじゃあ生徒会長失格だな

菜乃:い、いえ。自分の体が一番ですから。何か困りごとがあったらいつでも相談してください

緩那:うん、ありがとう

そう、進導しんどう 緩那かんなはこの学校の生徒会長である。

そして


秘苺ひめ:おっす、なーちん

菜乃:おっす、ひめちん

秘苺:いやあー今日もイケてるね

菜乃:でしょー

少し制服を着崩した二人が喋りながら、歩いている。

外川そとかわ 菜乃なのは校則を少し破っている、いわば不良である。

この二人が一緒に登下校出来ないのはこれが原因である。


緩那:こらー、外川さん! また制服を着崩して! 料崎さんも。直して

菜乃:いいだろ? ちょっとくらい。先生にバレてるわけでもないし

緩那:ダメです! 先生どうのではなく、誰かが守らないと学校自体の風紀が乱れてしまうでしょう

菜乃:そんなの気にしてる人いねぇよ

秘苺:というか会長さんも帽子被って校則違反やないの?

緩那:こ、これは。被らなきゃいけない理由がありまして

秘苺:ふーん、会長さんも人の事言えへんやん。私らにだって理由があるんですよ? ほら、なーちん言ったって

菜乃:えっ、えーっと。女子高生としての価値を最大限に生かすため……とか?

秘苺:そうそう! その通りや! ちなみに会長さんの方の理由も聞かせてくれへん?

緩那:そ、それは……

秘苺:言えへんの? 私らより良くないんじゃない?

緩那:ひめちん、調子乗りすぎ。会長さんにも言いたくないような事情があるはずだから、ね?

秘苺:うーん、そうなん? 確かに意地悪やったな。ごめんな? 会長さん

緩那:い、いえこちらこそ、理由すら述べられず申し訳ないです

秘苺:でも、あんまり厳しくしすぎんといてや?

緩那:そ、それはー。今回は見逃しますけど、次回から気を付けてくださいね?

菜乃:分かったよ

秘苺:わかったわ。ほなな

それからは同じ教室でもないので二人が出会うことなく、少し時間をずらして二人は家に帰った。


緩那:ただいまー

菜乃:おかえり、緩那

緩那:菜乃―、今日はごめんねー。きつく言っちゃって

菜乃:いやいや、いいよ。生徒会長だから。注意しないといけないことくらいわかってるよ

緩那:ありがとうねぇ。ごめんねぇ

抱き着いてきた緩那を受け止めながら菜乃は彼女の頭を撫でている。

菜乃:取り敢えずご飯できてるから食べちゃおう

緩那:そうだね。温かいうちに食べなきゃだもんね

菜乃:じゃあ、いただきます

緩那:いただきます

緩那:もっもっも。うん美味しい!

彼女の耳がピコピコと動いていた。

緩那:なあにー菜乃。私の顔ばっか見ちゃってー

菜乃:いや、耳を見てるんだよ

緩那:だよねー

菜乃:触っていい?

緩那:いいけど、ご飯たべてからねー

菜乃:わ、わかってるよ

緩那:嘘つけ。手が触りたくてピクピクしてるじゃん

菜乃:それはいいから! 黙ってご飯食べる

緩那:はーい。もっもっもっ

菜乃:その食べてるときの効果音を口で言うの何とかならないの?

緩那:何か癖でさー。ゲームでダメージ受けたら自分もイタッて言っちゃうみたいな

菜乃:うーん。分かるけど。租借音は口で言わないよ

緩那:確かに、これを公共の場で出すのは恥ずかしい気がするね

菜乃:絶対治した方がいいよ。後悔するよ

緩那:経験したことあるの?

菜乃:そ、そんなことないよー。ふゅーふゅー

緩那:口笛下手だね

菜乃:いいんだよ。そこは

緩那:治せるかなー? じゃあ、私が言ってたらその都度注意してよ

菜乃:わかったよ。まかせて

緩那:それでは再びいただきます

菜乃:いただきます

緩那:もっもっもっ

菜乃:言ってる言ってる! え? わざと?

緩那:ハッ、体が勝手に

菜乃:まあ、しばらく治りそうにないからゆっくりやっていこうか

緩那そうだねー

そうして二人は緩那の咀嚼音を聞きながらご飯を食べた。


菜乃:それでこの猫耳部屋どうする?

緩那:うーん。可愛いから。私はこのままでも良いんだけど

菜乃:あんた寝るとこないぞ

緩那:それは菜乃ちゃんといっ

菜乃:やだ。絶対変なことするじゃん

緩那:しないって。朝起きたら一緒にサンバ踊ってるくらいだから

菜乃:思ってたのと違うタイプの変なことしてるじゃん

緩那:ちなみに菜乃はどんなこと想像してたのかなー?

菜乃:緩那が私に対して淫らなことをする

緩那:いやいや、そこは恥じらう場面でしょ。直球過ぎでしょ

菜乃:恥じらって欲しかったの?

緩那:えっいや、そうじゃないけどー、それが王道っていうか定番っていうか。ね?

菜乃:ふーん

緩那:何? その態度

菜乃:別に

緩那:あっそ。で、どうしようこの部屋

菜乃:まあ、寝れなくはないから、猫耳を踏みながら行けば?

緩那:それは嫌じゃん? やっぱ今日は菜乃の部屋で一緒に寝て良い?

菜乃:変なことしないならいいよ

緩那:分かった! 今日のサンバパーティーやめる

菜乃:サンバはする気だったの!?

二人は猫耳部屋の前から離れ、菜乃の部屋に移動を始めた。

緩那:でも、布団一つしかないよね

菜乃:え? 緩那は床で寝るんじゃないの?

緩那:私床なの!? 一緒に寝て良い? って聞いたよね!?

菜乃:聞かれたけど、一緒の部屋で寝て良い? としか言われてないじゃん

緩那:そんな薄情なー

菜乃:ふふっ冗談だよ。今日は一緒の布団で寝よ?

緩那:ええんでっか? 神様仏様貴様

菜乃:唐突な方言からの急な上から目線

緩那:良いツッコミだね。良し気に入った。お笑いコンビを結成しよう。私がボケで、菜乃もボケね?

菜乃:両者ボケのハチャメチャ空間! しかも私のツッコミ力を活かさないスタイル!

緩那:ホントにツッコミうまいね? もしかして前世は蟹だったのかな?

菜乃:何で蟹?

緩那:……なんでだろうね? カニ食べたいのかな?

菜乃:自分の事なのに分からないの?

緩那:わかんないんだよー。もっと面白い返し思いつけただろうに

菜乃:そうだよ。もっと勉強しなきゃね

緩那:うん、頑張るよって別にボケをうまくなろうとしてないからね?

菜乃:そうなの?

緩那:そうだよ? 本気でお笑い芸人目指してないからね?

菜乃:そうなのか

緩那:何でちょっと悲しそうなの? もしかしてやりたかった

菜乃:ちょっと

緩那:素直だね。今日は

菜乃:いいいから、早く。もう今日は寝よう

緩那:そうだねー

菜乃の部屋の扉を開けて、二人は一緒のベッドで眠りについた。


菜乃が先に目を覚まし、体を伸ばして周りを見渡すと

菜乃:ふわふわがいっぱい。おい、緩那起きろ

緩那:なあにー?

菜乃:猫耳また増えてるぞ

緩那:そんな訳ないじゃん、何を馬鹿なこと言って……って増えてる!

菜乃:だから言ったじゃん

緩那:ていうか、菜乃も猫耳生えてるじゃん! 触っていい?

菜乃:やだ

緩那:ええーいいじゃん、一つ布団の下で寝た仲じゃん

菜乃:一つ屋根のしたね。

緩那:逆に何で嫌なの?

菜乃:何か、恥ずかしい

緩那:ほーん、ほーん

菜乃:何?

緩那:そんなこと言われちゃったら、余計に触りたくなっちゃうなー

菜乃:それ以上近づいたら燃やすよ

緩那:どうやって!? むしろ見たいから一度やってみてよ

菜乃:え、えーっと。ば、ばーにんぐ?

菜乃は両手を前に出し、そんなことを言い出した。

緩那:萌えたわ

菜乃:感じが違う気がするけど、燃えたならいっか。ほら今日も学校なんだから準備するよ

緩那:はーい

二人は昨日と同じように別々の時間に登校した。


夏:進導先輩、おはようございます

緩那:おはよう夏ちゃん

夏:先輩と過ごすようになって一年が経ちましたね

緩那:そうだね

夏:唐突ですけど先輩は何で生徒会長になろうと思ったんですか?

緩那:ああ、私にはね。一つ上の姉がいるんだ。姉は私と違ってしかっりものでリーダーシップがあって私とは正反対だったの、だから私はそんな姉に近づくために生徒会長になったんだ

夏:先輩もお姉さんくらいしっかりものだと思います!

緩那:そんなことないよ、私はまだまだだよ

夏:いいえ、少なくとも私がそう思っていますので自信をもってください!

緩那:ありがとう。夏ちゃんといると元気がでるよ

夏:そ、そんな、滅相もない。でも先輩が喜んでくれるなら私はいつまでも先輩の傍にいますよ?

緩那:あはは、気持ちだけ受け取っておくよ

夏:そ、そうですか


秘苺:おは、なーちん

菜乃:おは、ひめちん

秘苺:ねえねえ、なんでなーちんはそんな恰好してるん?

菜乃:ああ、この帽子? 今日は朝、時間が無くって家にあった帽子被ってごまかしてるんだ

秘苺:いや、帽子もそうなんだけど、今更やけどなーちん見てて性格的にきっちり制服着てそうだなって思って。なんか無茶してる感じがあるねん

菜乃:あーわかっちゃう?

秘苺:うん、嫌じゃないなら理由聞かせて?

菜乃:黙ってるつもりはなかったんだけどね、私、中学時代に虐められててね。遠い学校を選んだけど、それでも見つかることを恐れて見た目を大幅に変えてバレないようにしてたんだ

秘苺:なるほど、頑張ってたんだね。これからは遠慮せんとウチに言ってな?

菜乃:ありがとう。今はこの格好も慣れてきたから、ぎこちなさは残るかもしれないけどこのままでいくよ

秘苺:そうか? ならええんやけど。でも二年生になってからもなーちんの知らないこと知れて嬉しいわ

菜乃:そういうものなの?

秘苺:せやで、友達のことを知ることが出来るのは楽しいことなんやから


夏:あっ先輩だ。そういえば先輩ってどこに住んでるんだろ?

夏はごくりと唾を飲み込んだ。

夏:ついて行っちゃお

夏:先輩は一人で帰ってらっしゃるのか。これなら後ろから声をかけて、一緒に帰ることも可能なのでは!?

夏:うーん、でも先輩に断られたら嫌だな

緩那:後ろにいるんでしょ? 早く出てきなさい

夏:え!? バレてる!? どうしよう出た方がいいのかな? でもそうだよね。素直に出た方がいいよね

夏が決心をしたところで前の方からガサゴソと音がした。

菜乃:ああーバレちゃったかー

緩那:バレるに決まってるでしょー

夏:何で

夏:何で。先輩はあんな、学校で喧嘩をしている外川菜乃と仲良く話をしてるんだ。まるでいつもの先輩は猫を被ってるとでも言うのか?

夏の頭がぐるぐると混乱しているなか、横からガサゴソと音がした。

秘苺:そうだよね。ビックリだよね。

夏:あなたは、料崎 秘苺! さん

秘苺:どうもー

夏:あなたは二人のこと知ってたんですか?

秘苺:うんちょっと前にね、あまりにもなーちんが一緒に帰ってくれないから、不思議に思って後を付けてみたらこの光景やねん

夏:なるほど、じゃあ何で今日はここに?

秘苺:何か生徒会長の後をつけてる後輩がいるなと思って着いてきたの

夏:そうでしたか。で? どうします?

緩那:へ? どうするって? 何が?

夏:何ってこのまま家まで後を付けて、二人に問い詰めるんですよ

秘苺:えーそんなことしたら嫌われるで?

夏:そ、それもそうですけど、気になりませんか? 二人の関係

秘苺:た、確かにそうやけど

夏:ちなみに家までは行ったんですか?

秘苺:いや、何か二人の関係が分からんから家までは行ってないなぁ

夏:それなら行くしかないでしょ! ついて来ますか?

秘苺:ああ、どうしようウチは遠りょ

夏:あっ、二人が動き出しました。それじゃ私行きますので

秘苺:ちょ、ちょっと待ってやー


夏:それで二人を追ってきましたけど、何であなたも付いてきてるんですか?

秘苺:そんなアンタが行くならウチだって知りたいやん?

夏:そうなるなら初めから行くと言えばいいのに

秘苺:ええの、さ、尾行続けるよ

夏:秘苺さん、どちらかの家とかご存じですか?

秘苺:知るわけないやん。場所すらも教えてくれへんかったんやから

夏:そうですよね

秘苺:あっ二人が家の前止まったで。入っていったわ

夏:二人が入りきったところで私たちも家の前にいきましょう

秘苺:せやね

夏:二人入り切りましたね

秘苺:うん、えーっと表札はあったあった

夏:何て書いてありますか?

秘苺:進導&外川って書いてあるわ

夏:えっ、あの二人て同居してたんですか!?

秘苺:そうなるやろ。一緒の家に入った時点でそんな気はしてたけど

夏:あ、あいつ

秘苺:ほら、そんな怒らない。彼女たちには彼女たちの幸せがあるんだから、そっとしてあげな

夏:あなたはそれでいいかも知れませんが、私は私は

秘苺:な? 考えると苦しくなるだけやねん

夏:それでも、それでも私は

緩那:二人ともそこで何してるの?

声の方向には緩那と菜乃がこちらを見ていた。

夏:あっ、せ、先輩

秘苺:会長さん、これはちゃうねん

菜乃:いいよ、ひめちん。私は二人がつけてきてるの知ってるから

秘苺:なーちん

夏:先輩は外川さんとどんな関係なんですか!

秘苺:夏ちゃん思い切るなぁ

緩那:菜乃は、菜乃は私の家族だよ

夏:そそんな。親の再婚とかなんですよね?

緩那:ううん、私たちは二人でこの家で同棲してるんだよ。そう二人で決めてね

夏:そ、そんなこと

緩那:ごめんね。夏ちゃんの気持ちには答えられないんだ

夏:そ、そうですか

秘苺:……帰ろう、夏ちゃん

夏:で、でも

秘苺:失敗で人は前に進めるんだよ。今はあなたが介入していい空間じゃないんよ

夏:そうですけど

秘苺:ね? 帰ろ

夏:はい

菜乃:ありがとうね、秘苺

秘苺:気にせんといて。また明日ね

菜乃:うん


緩那:ひぃあー疲れた

菜乃:お疲れだね、緩那

緩那:やっぱり生徒会長って疲れるね

菜乃:生徒会長とはちょっと違う気がするけど、でもお姉さんに近づくためでしょ? 頑張っていこう

緩那:うん、それもそうなんだけどね。私ね。生徒会長になった理由がもう一つあるんだ

菜乃:へぇー何?

緩那:それはね。ルームシェアし始めて色々菜乃のことを知るようになって、虐められてたことも知って、なら私が生徒会長になって高校生活はそんなことにならないようにしてやろうって思ったんだ

菜乃:ほんとに?

緩那:ほんとほんと

菜乃:ふーん。そっか。ん

と彼女は緩那の方に頭を傾けた。

緩那:え? どうしたの?

菜乃:触っていいよ。猫耳

緩那:やったー!

菜乃:私も緩那の触っていい?

緩那:もちろん!

お互いに猫耳を触り合うという時間が流れた。

菜乃:そういば何でうちにこんな猫耳生えてきたんだろうね

緩那:あー私一つ心辺りがあるんだ

菜乃:言って言って

緩那:私さ。生徒会長になるために生徒会を頑張ってた時があったじゃん? それで今年の七夕に猫耳だらけになりますようにって願った気がするんだ

菜乃:え? それだけ

緩那:うん、それだけ

菜乃:いやいや、さすがにそれで納得は出来ないよ

緩那:でも、それくらいしかなくない?

菜乃:まあ、そうなんだけど

緩那:ちなみに菜乃は七夕どんなことをお祈りしたの

菜乃:それ聞いちゃう?

緩那:聞いちゃう

菜乃:緩那が生徒会長になれますようにって

緩那:わーお。ありがとう。だとすれば七夕の信頼度上がったくない?

菜乃:まあ、そうか。両方一応願いは叶ってるんだもんね

緩那:そうだよ。やっぱり猫耳も七夕のおかげなんだよ

菜乃:そうなのかなー。まあ取り敢えずそれでいっか

緩那:うん

また二人はいつものように一緒にご飯の準備に取り掛かる。

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