表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い出の園  作者: 詩夜
5/7

4話 作戦会議

時雨:『それじゃあまず大きく3つくらい回りたいスポットを決めましょう!!』

KEI:『ここはやっぱり、今回の主役である天井からの希望を聞くべきでは?』

時雨:『そうですね。天井君、どこがいいとかありますか?』


 次の日の昼頃、昨日作ったチャットアプリのグループで柾達3人は明日の予定について話していた。


 柾:『どこ、と言われてもな…てか、別に普段部活の時によく行く場所とかでもいいんじゃないか?』

時雨:『ダメですよ!!だって天井君、そこでは一枚も撮れなかったんですよね?』

 柾:『まあ、そうだけどさ…』


 そんなド正論を言われると返しようがない。


KEI:『よしわかった、天井。もしお前がここがいいって場所1つでも言えたら、この前の飯奢ってもらう話無かったことにしてやる』

 柾:『言ったな?男に二言はないぞ』


 奢りの話とは、新入部員の人数を予想し合ったときのあれだろう。

 伊織は重度の大食いだからこの提案はアリだ。そう思い一度真剣に考えると、ふと昨日の夜のことを思い出した。


 (昨日の女の子の写真、なんか気になるな)


 これだ!と思った。


 柾:『それなら、二丁目の丘に小さな公園があるんだ。そこに行ってみたいかな』

KEI:『おぉ!いいね~。確かその公園って天井の家の近くだろ?おれあそこの静かな雰囲気好きなんだよなぁ~』

時雨:『それはいいですね!それじゃあ決定ですね。そこは大本命ってことで最後に行く場所にしませんか?』

KEI:『それ採用!!じゃああと2つか。天井はこれ以上無理だろうし俺と鹿嶋さんでもう一つずつ選ぶか』

時雨:『そうしましょう。じゃあ思いつき次第また送りますね!』

KEI:『りょーかい』


 そこで一旦話は止まった。

 いつものノリで、『このまま他2つも考えてみないか~?』とか言われると思っていたが、それはなかった。さすがに気を使ってくれたのだろう。そういう所、圭は他と比べてありがたい。

 


 それから30分も経たないうちに再び伊織と鹿嶋が話しだし、あっさりと他の撮影スポットも決まった。




時雨:『それじゃあ学校最寄りの駅前に13時の待ち合わせで、商店街→田んぼ道を回る→二丁目の公園、この順番でいいですか?』

KEI:『完璧でしょ』

 柾:『そうだな』

時雨:『それじゃあ、明日、よろしくお願いしますね』

KEI:『おっけー』

 柾:『こちらこそ、ありがとな』


 このあと、鹿嶋が一つスタンプを送信してチャットは終了した。





 その後、今日も特にこれといった用事がなかった柾は、しばらくぼーっとしていた。が、しかし、さすがにこれではいかんと思い、時間を埋めるために散らかった部屋の片付けをすることにした。


 春休みに怠惰の日々を過ごしていたせいで、その散らかり方は相当酷いものだった。ここ数日はこの部屋は寝るとき以外ほとんど使っていなかったため、一切の片付けをしていなかったのだ。

 

 床に脱ぎ捨てられた服、そこら中に散らばるスナック菓子の空き袋、机の上に乱雑に積み上げられた大量の本。一体どこから手を付けろと言うのか…


 考えていては始まらないと、まずはお菓子のゴミを処理することにした。

 その次には衣服に手を付けた。全く、よくここまで大量に脱ぎ捨てたもんだなと自分でも呆れてしまうほどだった。

 掃除用に持ってきた袋は洗濯に出す服ですぐにパンパンになった。これだけの大量の服をまとめて渡すのだ。怒る母さんの顔が容易に想像できる…


 2時間ほど経ってようやく終わりが見えてきた。

 あと残すところは、散らばっている本を片付けるだけだ。

 そう思うとなぜか変にやる気が出てきたため、終わるまでにそう時間はかからなかった。



「あとはこの本だけか。…って春休み中に、こんな本読んだっけ?」


 最後の1冊を見て柾はそう呟く。

 それは、昔柾がよく見ていた、とある写真家の写真集だった。

 ここ最近で読んだ覚えは無いため、おそらく春休みに入る前から机に置かれていたのだろう。


 本棚にしまおうとそれを手に取る。と、その時、何かがヒラヒラと落ちる。


「…なんだこれ」


 ふと気になり、急いで本を片付けてからそれを手に取る。

 それは1枚の小さな写真だった。

 そこには緑白色の小花を沢山つけた植物が映っており、裏面には黒い字で何か書かれているが、滲んでよく見えない。


 そのとき柾は、どうもこの写真が自分にとって特別なものに思えて仕方なかった。

 結局、今使っている手帳型スマホカバーのポケットに大切にしまっておくことにした。



 



 しばらくして母さんが帰ってくると、案の定、果てしなく長い説教を食らった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

もしよろしければ評価やコメント、ブックマーク登録などしていただけると嬉しいです!


次回 天井君を助けよう大作戦、決行!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ