表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/35

8、体育

 体育の授業になった。

 男子は長距離走、女子はソフトボールだった。


 教室を出て、女子の着替えが始まる前に、僕はユイに一言声をかけた。

「ユイ、体力も凄いんだから、本気でやっちゃだめだよ?」

「うむ……いつでも全力で無いと、気持ちが悪いんだが……了承した」


 ユイは難しい顔をしたが、次の瞬間にはさっぱりとした笑顔を浮かべた。

「じゃあ、また後で」

「おう!」


 体育の先生は関口せきぐち 佳美よしみと言った。三〇代独身の女性教諭だ。

 僕たち男子は学校の外を走るように言われたので女子の様子は、よく見えなかった。

「はぁはぁ、くっ……長い……」

 男子は五キロを走り終えると、校庭の隅にどんどん集まっていった。


「あれ? ユイが一人で座ってるけど、どうしたんだろう?」

 校庭の中央から離れた鉄棒のところで、ユイは膝を抱えて他の女子達の様子を見ているようだった。


 体育の時間が終わってから、僕はユイに訊ねた。

「ああ、晴人。 なんだかよくわからないが、球をなげたら取れる者がいなかったし、スチールしすぎだと注意されたし、ホームランばかりで球が無くなると言われてしまったぞ?」

「……ユイ、だから力加減しないと駄目って言ったじゃ無い」

 僕がそう言うと、ユイは口を尖らせた。


「力を抜いたぞ? 本気を出したら、怪我人では無く死人が出るからな!」

 なんだかわからないけど、ユイはしょんぼりしている。

 僕はユイの頭を軽く叩いて言った。


「元気出しなよ。 そろそろお昼の時間だよ」

「昼飯か!? もう腹が減ってしょうがなかったんだ!!」

 ユイの言葉に応えるように、ユイのお腹が豪快になった。


「あの、ユイさん? 食事一緒にしませんか?」

「?」

 僕とユイが振り返ると、葉山さんが緊張で震えながら、ユイを食事に誘っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ