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1、出会い

 いつもの学校の帰り道、僕は路地に倒れている女の子を見つけた。


「え!? ちょっと、大丈夫? 具合悪いの?」

 僕は女の子の様子を見ようとして駆け寄った。すると驚いたことに、女の子はただ寝ていただけだった。

「こんなところで寝てたら、危ないし風邪引くよ?」

 

 そう言って、女の子の方に手をかけた。最初は女の子がマントにくるまって居て分からなかったが、格好は半裸といえるようなもので、胸元はスウェット生地と金属で覆われ、短パンをはいているだけだった。

「どうしよう、警察? 病院?」

 僕はスマホを取り出して、ふと思い当たった。


「あ。この子の格好、キングスクエスト・オンラインの女勇者と同じだ!!」

 僕はスマホをしまって、女の子の方を軽く揺さぶった。

「起きて下さい! 貴方、こんなところで何をしてるんですか!?」

 女の子は目を開いた。

「あれ? ここどこ? 魔王は!?」


 女の子は急に立ち上がって、辺りをキョロキョロと見回した。

「ちょっと、君、魔王はどこ? っていうかここは何処? 君は誰?」

「落ち着いて下さい。ここは日本の東京です。魔王なんていません。普通の町です」

 僕はそう言って、女の子に尋ねた。

「貴方は一体何者なんですか?」


「私を知らないのか!? ジューン王国の勇者、ユイだ」

「ジューン王国? それってゲームの世界じゃないですか?」

「ゲーム? なんだ、それは?」

 ユイの話を聞いていると、どうやら自分のことをゲームの世界の勇者だと思っているらしい。僕はやっぱり警察か病院に連絡をしようとスマホを取り出した。


「何!? 私の言うことを信じていないとは!! それでは魔法を使って見せよう」

「魔法?」

「サンダーボルト!!」

 ユイが右手を天にかざし呪文を唱えると、雷が落ちてきた。


「え!? 雲なんてなかったのに何故雷が?」

「これで分かっただろう? 私は勇者なのだ!!」

 ユイは仁王立ちになり、胸を張った。

「で、宿屋は何処だ?」

「ホテルとかならあるけど、ユイさんは泊まれないと思うな」

 僕は素直にアドバイスした。


「何?」

「身分証とか持ってないでしょ?」

「私は勇者だぞ!?」

「魔法なんて見せたら、それこそ捕まっちゃうよ」

 僕はちょっと考えてから言った。


「僕のアパートに来る?」

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