ほしいも ヌンチャク ジュピター
茨城原産のほしいもがいた。
ほしいもには欲しい物があった。ほしいもだけに(激うまギャグ)。
彼が欲しいのは地球という星そのものだった。ほしいもだけに(激うまギャグ)。
彼は星を手に入れるために、計画を練った。
IQ5000を自称するほしいもはシュミレーションを繰り返し、一億年の月日をかけて完璧な計画を立てた。
計算の結果、ヌンチャクを使い、木星を破壊すれば、因果がどうのこうのとなり、地球が手に入ることが判明したのだ。
計画はこうだ。
ヌンチャクを手に入れる。木星をヌンチャクで破壊する。結果、地球が手に入る。
完璧だった。ミジンコの足すら入らないような、完璧な計画。
完璧度でいえば66パーセントぐらいだ。
ほしいもは考える。ヌンチャクを手に入れることと、木星を破壊することは、正直難しくない。彼にとっては、土曜日のゴールデンタイムに一人でカラオケに行くことに等しい。
では何が問題かというと、地球を狙うライバルたちだ。
干し柿、干し魚、干し大根、からしマヨネーズ、数えればきりがない。
干し柿は特に危険で、何度もほしいもとぶつかっていた。
ほしいもにとって干し柿は、唐揚げにレモンを勝手にかける人種ぐらいに厄介なやつだった。
「よぉ、ほしいも。今日も干からびてんな。しわしわだぜぇ~、だっせぇ!」
スペースコロニーで出会った干し柿が、ほしいもに話しかけてきた。
話すと言うよりは挑発に近い。
「あ? そう言うお前はぶよぶよだな。もっと水分抜けよ。顔オレンジだぞ」
ほしいもと干し柿が出会ったら、そこはもう悪口のラップバトル会場だ。
「そういや、ヌンチャクで木星を破壊するんだっけ? ヌンチャク……買えるといいなぁ?」
その言葉にほしいもはハッとする。すぐさまヌンチャクを買いに、おもちゃ屋さんに向かった。店主のセイウチが走るのを制止するのを振り払い、ヌンチャク売り場に駆け付ける。
そこにはヌンチャクはなく、すべてちくわだった。
「野郎……次に会った時には、加湿器がガンガンついている部屋に放り込んでやる」
ヌンチャクがないと分かれば、おもちゃ屋に用はない。
ほしいもは、地上げ屋をおもちゃ屋に手配した後、スペースコロニーに戻った。
「ヌンチャクが手に入らないとなると、方法は一つだ。……俺自身がヌンチャクになればいい!」
ほしいもがすべての願いを兼ねえるステッキを振るい、その姿をヌンチャクに変える。
ヌンチャクはその場で自分を振り回すと、木星を破壊した。
そして、ブラックホールが生まれ、ビッグバンが起り、世界は滅んだ。
***
世界の中心にからしマヨネーズがいた。
からしマヨネーズとは相反する二つを持つ、からしとマヨネーズを持つ光と闇の存在だ。
彼、彼女、には宇宙を生み出すことも消すこともたやすい。
二人は、ほしいもに敬意を表し、地球を与えることにした。
彼はもう生きていない。
ただの喋らないほしいもである。
でも彼は地球という星に存在し、裏でその全てを支配している。
もしかしたら、あなたが食べているほしいもはこの地球そのものかも知れない。