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8 城塞都市アーム

「カチン・・・・・ガチン・・・・。」


と言う音と共にアリアの顔が首筋に触れる感触がある。フライの魔法を発動中は全方位から攻撃を受ける可能性がある為、身体防御の魔法もかけるのだ。きっと、吃驚して顔をぶつけてしまったのかもしれない。


「アリアさん、顔をぶつけてしまいましたか?一回下に降りましょうか?」


と、アリアの顔を確認しながらいうと、


「・・・・いえ、大丈夫ですわ。このまま門の方までお願いいたします。お姫様抱っこで空の旅など望外の楽しみですもの。」


とジト目で唇を嘗めていた顔がにっこりとほほ笑んだ。


ほっとしながら門に近づいていくと、大きな門と小さな門が二つあり両方とも大きく開かれていた。門の前には全身を金属鎧で覆った巨体な二人の門番がこれまた人の大きさ程ある金棒をもって直立した居るのが見える。アリアが何も言わない為、アリアの時と同じように減速しながら門番の10メートル程前にゆっくりと着地した。アリアを丁寧に降ろすと、


「カイト様ありがとうございました。ようこそ、我が主シルビア陛下が治める城塞都市アームへ。」


と華麗なカーテシーを再度披露してくれた。


カイトはアリアに目を向けながらも、門番に注意を最大限払っていた。巨体だとは思っていたがオーガであったのだ。エルフの天敵である。と、


「あなた達、カイト様はシルビア様との謁見をご希望されているわ。城に連絡をお願いできるかしら?あと、身だしなみを整える部屋をかりたいのだけれど?」


とアリアが門番に告げる。


「畏まりました。直ぐに伝令を送ります。入管管理用の建物にご希望の部屋がございます。」


カイトは驚愕したがなんとか表情に出すのは抑えられた。オーガがしゃべった。しかも粗野な感じもしない。


「そう。なら私たちはそちらに向かうから城からの返事が届くようにお願いね。」


ニッコリとほほ笑みながらアリアに手を引かれて先導される。


カイトは門番もといオーガへの警戒は最低限に留めることにした。するだけ意味がないと思いいたったのだ。アリアについていきながら街の観察をする。城壁の高さは15メートルはあるだろう幅は3メートルはある。城壁の上に大きな弩や衛兵らしき存在は見えていたが想像を絶する規模である。大きい門は高さ10メートル、両開きので横幅は12メートルはある。小さい門は大柄な人族が余裕をもって通れるサイズである。


城塞都市に入る前から少し見えていたが都市の建物は全て石造りであり大きくても4階建てのようだ、他の建材はたまに木造の屋根やテラスがある程度である。道行く人々で門前は賑わっていた。門を中心に半円の範囲は建物がない。獣人種、ドワーフ、普人種と他にも色々な種族がいるのが見える。一人だけだがエルフもみえた。性別も身なりも様々だ。半数ほどは武装していたが、残りはしていない。半円の広場には露店や屋台もみえる。初めての光景に立ち寄りたい衝動を必死に抑える。かなり遠くに他の建物の上からにょっきりと生えたように白い城がみえる。大きい!


門に入ってすぐ壁側に建っている大きな建物が目的地だったようだ。4階建てで窓が他に見える建物より多い印象だ。アリアは慣れた様子で建物に入ると二階へと向かう。何部屋か通り過ぎたあと、豪華な模様で飾られたドア前で立ち止まる。


「カイト様、こちらでどうぞお寛ぎください。部屋の中に有るものは自由にお使いくださいませ。私はお茶のご用意をいたしてまいりますわ。」


とドアを開けながらアリアがカイトを中に促す。


「大変助かります。アリアさん、事が終わり次第是非お礼をさせてください。」


とこれからの予定や交渉について思い悩みながらカイトは告げる。


「・・・ふふ、お気になさらずに。半刻程でまたお伺いいたしますわ。ここの湯舟は薬草が入っていますから是非お試しになられてくださいませ。」


一瞬欲望の表情を見せたアリアであったがそのままクルリと背をむけて離れていく。

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