7 城塞都市前のトラップ
フライで10メートル程浮き高速移動を開始する。
周りにある大地には赤茶けた荒野に所々大きな岩がある程度だ。下手にコソコソ近くよりこの手段の方が怪しまれず、かつ早く城塞都市に行く方法と判断したのだ。
三分の一程飛行した辺りでエルフの青年の視界に黒と白の衣装に身を包んだ若い女性が1人、姿勢良く立ちながらこちらに視線を向けているのが映った。
(確かあの服装は。。。高貴な方々に仕える者達の正装だった筈。確かメイド服とかいうものだったか。運が良ければシルビア女王の元で勤めているのかもしれない。)
お互いの声が届くであろう10メートル程近くまで速度を落としながらゆっくりと相手を刺激しないように降り立つ。
「初めまして、お嬢さん。私は世界樹の護り手、ハイ・エルフの村よりあそこに見える城塞都市の主人、シルビア陛下に謁見を願いに来たカイトと申します。」
「・・・・・・。」と女性は城塞都市の方をチラ見したまま反応がない。
(あれ? なんか失敗したか?! 不味いな。。。。あぁそう言えば認識障害のマントとフードをつけたままだった。迂闊だった。。。)
「大変失礼を致しました。あの街にたどり着くまで無用の争い事を避けるためにこのマントをしていたのを失念しておりました。直ぐに解除致しますのでご容赦を。」
急いでマントを脱ぎながらメイドの様子を伺うが、なにやら様子がおかしい。
ふと女性の顔を見ると一瞬目眼が光ったように見える。サラサラとした艶やかな銀髪、目の色と一緒だ。スラリと通った鼻筋に健康そうなピンクの唇。人族で言えば15、6歳ぐらいかな?と思考が混じる。
「いえ、カイト様。我が主人シルビア様にご用事とか。一緒に城まで参りましょう。」
(正直助かった。運もいい、城塞都市についてからどうやって城に行くのかよく分からなかったしね。しかも良い娘そうだ) と、自然に好意的な感情が芽生える事にカイトは違和感を感じる事は無かった。
「所でお名前をお聞きしても?」
「申し遅れましたわ、私アリアと申します。」
と綺麗なカーテシーを決めながら挨拶をするメイド少女。
「さて、どう致しましょうか。 お嫌で無ければ私が抱えてフライの魔法で門の方までご一緒出来ますが?」
「あら?・・・えぇ!私も空飛んでみたいとずっと思っていたんです。お願いしてもよろしいでしょうか?」
と、ニコニコ顔で返事をするアリア。
アリアが怪我をしないように武器を魔法袋に入れて、少女の膝裏と背中に手を回してお姫様抱っこをする。
「アリアさん、危ないのでしっかり捕まってくださいね。」
と、アリアに伝えると慣れた動きで首筋に抱きついてきた。
「では行きますよ!」
と同時に、
「ハァハァ、もう我慢できない!頂きます!」という声が被った。