5 世界樹が大変だったらしい。
この世界には数多の神々がおり、すべての生き物に加護を与えている。与えられるスキルはたいてい一つだけで、お気に入り具合が上がるほど増えたりとかなり現世関与に緩い世界らしい。世界に数える程しかいないが、加護を与える神がアバターとして降臨して神に等しい力を与えられている者もいるそうだ。
ちなみに割合としては1つの加護を受ける者たちが90%、2つが8%、3つがおよそ2%で4つ以上与えられる者は残りのごく少数との事だ。
あと、神に祈りや供物をささげて自身から特定の神の恩恵を得る方法もある。まぁあれだ、神様からは興味を得られなかったけど、こちらからアプローチして気づいてもらったりという事も可能という事だ。神 々は相性はあれど、特に互いに争ったりしているわけではないらしい。だから相性が悪くない神同士だと同じ者に同時に加護を与える事もあるとの事だった。大抵の複数加護持ちはこれらしい。
この神創魔法世界インフィニティアは魔法が普通にある世界だ。神々の加護無しで使えるが、加護を授けた神に感謝、畏敬の気持ちを表すために自身の神の名を唱えながら行使する者が多いらしい。流石、神様が現世関与してくる世界だと思う。
使える魔法は使う本人の知識、想像力や想いに左右される。あと個人が持つ魔法量と周囲のマナを取り込んだり扱う能力も関係あるらしいが。加護=スキルで魔法は別物な訳で魔法使う時は神に祈る必要は特に無いという事らしい。
それはともかく。。。。
ダンジョンに居を構え幾多の魔物を支配し、開祖または真祖と呼ばれたバンパイア女王。幾度もの討伐はことごとく失敗し、決して触れてはいけないアンタッチャブルの存在の最上位の一つに認識されている。彼女がスキルを使うとき、漆黒の神狼が現れるという。そのスキルは幾多にも及び数万の軍勢が放ったスキル、魔法、物理攻撃のことごとくを無効化し軍勢を1人で薙ぎ払ったという。
世界樹の護り手、ハイ・エルフの一族が世界樹の異常に気付いた時には世界樹の新芽が枯れていくという状態であった。必死に回復の魔法や世界樹より創ったエーテルを使うも症状を遅らせるだけ。そんな折、世界樹より神託が告げられる。
【永遠の女王シルビアの血を一滴、エーテルに混ぜた物を捧げよ】
ハイ・エルフ達は会議を開き、シルビア女王に嘆願を願い出る事にした。元来、爭い事を好まない種族であったことも功をなした。無理矢理奪おうという話にならなかったのだ。使者として立候補したのは次期族長補佐を噂されていた者であった。使者の選別に異をとなえる者達も居たが結局はその青年に任されることとなった。事はそれだけ重大なのだ。