4 部屋から出たかっただけなのに恋バナが始まった
丹田にある何かしらを一生懸命動かしたり伸ばしたり、放出して気絶したりしてあっという間に2年が過ぎた。
小さい柵付きのベッドは大きな物に、部屋には沢山の絵本と家族で座るテーブルと椅子が追加された。あと柵付きベッドから脱走するまで気づかなかったが部屋の奥にはトイレと流し、お風呂もある部屋に通じる通路があったのだ。
ところで特筆すべきなのは、この丹田にある物を放出するとぬいぐるみが動いたのだ。物理的にも作用するのか!
放出してしばらくすると霧散するみたいなのだが。最近はもう気絶する事も無いぐらい増えたが使い方が分からない
そろそろ別なアプローチを考えなければならぬまい。
因みにこの3年間一回も部屋から出してもらって居ないが、数時間おきに来ていた母親は自分がマァマとか言い出したあたりからは灯りがついている間、結構な頻度で親父と居座るようになった。メイド達も普通に出入りしているし軟禁されているような感じは無いが何故部屋の外に出してくれないのか?
転生後まもなく始まった恒例が俺を寝かしつけたい時の子守唄と、お話の時間があるのだがそれを利用しよう。
今まで聞かせてくれた話は悪い狼人間の話、賢い竜と強欲な人間、世界樹の話、地下に住む小人等かなり多岐に渡る。自分は同じ話をあまり何度もねだらないが、新しい話には食いつくのでメイド達、母親 や親父も違和感を感じない筈だ。
「ねね、母上!父上!今日は何の話をしてくれるの?」
さて、作戦開始だ!
「そうだね。今日はバンパイアの姫、、、いや母なる女王と世界樹を守るハイ・エルフの恋の話をしてみようか。」
そういうと母親と親父は見つめあって微笑んだ。
あ、これ苦めのお茶が欲しくなるやつだ。俺は直感した。