18 アリア接敵す!
「ねぇ料理長、今日の晩餐は少し変わった感じでお願いするわ。最高級の物を使用してくれる?必要なら追加の経費を後で私に出してちょうだい。」
館にいる厨房の者達に城塞都市アームで人気のある料理を海鮮の品で4品、肉料理で2品、野菜料理で2品作るように伝える。それとはべつにパン、米を使ったメインも頼む。コース料理も考えたがあの素朴な青年はこちらのスタイルを好むだろうというアリアの観察眼からだ。
使い魔の視覚は共有したままなのでカイトの動向は把握している。急がないと!給仕場に移動し、晩餐の酒類も最高級のワインを用意させる。甘めのカクテルもだ。
城への伝令も先程だした。これで姉様は城に残るだろう。ダンジョンの一次産業基盤の見回りなど絶対に来ない自信がアリアにはあった。いつもアリアに急かされても何度目かの具申で行くぐらいなのだから。
館の正規のメイド達にも今夜、二階の客人の相手はアリアがする為、明日の朝10時まで御用聞きは不要、ただし隣の部屋に全てを用意して交代で待機はしておくようにと伝えてある。
「僕が本気を出したら凄いんだから!急いで身体洗わないとね♪」
と館にあるアリア専用の部屋に急いで戻る。
雑貨屋で何やら狐族の男と話をしているカイトを見ながらお風呂に入る。自然とにやけてくる。そうだ!!
「ねぇ誰かいる? カイト様のお部屋の浴室と湯船をセクシーな感じに直してくれる? メインの寝室もお願い。ソファーの置いてある広間にはリクライニングチェアも配置してね。リラックス効果のある香も全部の部屋に焚いて置いて!急いでもらえるかしら?私もお風呂が終わったら確認にいくわ」
「はい、アリア様。直ぐに手配しますわ。」
とアリアの部屋に控えていたメイドが慎ましく下がっていく。
風呂から上がると私室の1番下の棚を開ける。
「確かここに入れたような、、、、あった!」
背中と胸元が空き、膝上の高さのメイド服を取り出す。空いた胸元に視線が行くように専用のチョーカーもある。シルビアの妹、腹心であるアリアがメイド業にハマった頃、献上品の一つとして今は消え去った国からアリアに渡された物であった。正統派を愛するアリアは気に入らなかったが献上品の為、素材も仕立ても一級品であったのだ。気にいったメイドの部下でも出来たら下賜しようかと取っておいて良かった。
「この服ならガーターベルトは黒がいいかな。ストッキングも網目大きくてレースの奴にしてっと。。。下着は可憐に白色でレース多目の物にする事でセクシーさも出せるよね。僕あんまりこう言う格好した事ないからなー」
と部下のメイド達が話していた事を思い出しながら組み合わせていく。
鏡に映らない為にぶっつけ本番になるのだ。部下のメイドに相談しようか迷うがいざとなれば力尽くでも 襲われてみせる!と意気込む。本能で分かる。これは闘いなのだ、負けるわけにはいかない。
完璧に準備を済ませてカイトの部屋に行こうとスカートの裾を持ちながらクルッと可愛らしく回った所で目をまん丸くしたシルビアがアリアを見つめているのに気づいたのであった。