17 アリア決意する
「すぅーはぁーすぅーはっぁあー。。」
カイトの出て行った部屋に戻ったアリアは崩れるようにカイトが座っていた場所に内股気味に座り込む。カイトに会った時から感じるもどかしい気持ちに混乱していた。シルビアから肉と血を分けられて生まれてから5000年余り、肉体的な欲求は周期的にあったが僅かなものであった。吸血衝動に比べれば無いようなものだったのだ。
街の外から急接近してくる大きな魔力を感じて迎撃の為に待ち受けていたのにまさかこんな事になるとは思いもしていなかった。敵意が無いのも何千年にも及ぶ経験から直ぐに分かったがあの抱きかかえられた時にカイトから感じた強烈な甘い香りに理性は一瞬で崩壊し、姉様の客とは分かりながら吸血をしてしまうほどであった。
強い魔法障壁と肉体強化によって自慢の牙が通らなかった為に未遂であるのが非常に口惜しい。。。カイトに抱えられながら飛んでいる最中は生まれてから1番鼓動が早かったと思うほどだ。
「このまま僕のカイト様を姉様に合わせるのは危険すぎる。どうしよう。。。姉様に取られてしまう。。。」
下腹部から来る本能が告げるのだ、あの男は自分の物にしなくてはならない。例え姉様相手であっても!早急に対策を練り行動を起こさないと行けない。
アリアはカイトが出て行く時に使い魔を護衛に付けている。というかこの街はアリアの使い魔で常に監視されていると言っても良い。と、リンクしている使い魔の視点が追っていたカイトが館から100メートル離れた所でゆっくりと昂ぶっていた気持ちが落ち着いていく。
「ふぅー取り敢えず僕もカイト様の晩餐の支度をしないと。下着もまた変えないといけなくなってるし。。化粧ももう一回し直さないとね!ふふふ、僕の胸にカイト様結構興味あるみたいだったよね。姉様は謁見中のはずだし、謁見が終わる前に一回城に戻って姉様を足止めしないとね。」
カイトのお茶を用意する前に滅多にしない化粧を施さないと感情を隠しきれないと自覚する程の感情だったのだ。下の下着も既に一回交換を余儀なくされていた。ネックレスを取り出す時のカイトの顔を思い出しながら胸を両手で持ち上げてみる。今夜中に捕まえる為には信条に反するがあれを着るしか無いだろうと胸を寄せながら思考を巡らせるのだった。