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宝石箱を探す

換金所を出た後カイトは大通りを城に向かってゆっくりと歩いていた。通りの真ん中に露店等がありそれを境に城に向かう人の流れと城壁側に向かう人の流れが出来ている。ざっと見通せるだけで八百屋、果物屋、肉屋、魚屋などの食料店が何店もあり、服飾店、靴屋、飲食店だろうか?美味しい匂いがするお店も連なっている。露店も食べ物だったり装飾品を置いていたりと多種多様だ。


「女王陛下に献上する宝石(ドワーフからすると原石レベルの荒いカットだが)を入れる綺麗な箱を探さないといけないな。」


と辺りを見渡しながらポツリと呟く。宝石を包む布は正装用の予備の布があるのでそれを使えば良いだろう。世界樹の枝もそれで覆って献上すれば見栄えも良い。


キョロキョロしていると、


「エルフの旦那!なんかお探しかい?」


と声がする。声の方を振り返ると狐耳の若い男がカイトに笑いかけながらこちらを見ている。身軽そうな装備に短剣と弓矢を装備している。後ろには素敵な尻尾がフリフリしている。


「あぁ、初めてこの街に来たんだけど女王陛下に献上する物を入れる綺麗な箱が無いかな?と思ってね。」


「運がいいな、エルフの旦那。 ドワーフのジィさんがやってる雑貨屋を知ってるぜ。綺麗な彫刻とか飾りが付いた入れ物も売ってたなぁ。案内賃くれるなら連れてってやっても構わないぜ?」


「それはありがたいけど幾ら必要なのかな? 」


「あぁ、金じゃ無くて話で良いんだ。あんたらエルフは人里じゃ珍しいからな。俺は鎮魂の森、黒狐族のアマルジートって言うんだ。見ての通り斥候職しててな。色々な話を聞いて見聞を広げるのも仕事の内なのさ。」


と両手を広げつつ首を竦める。


「・・・自分は世界樹の護り手、ハイ・エルフのカイトだ。」


一瞬迷ったが隠す事なく名乗る。


「ひゅー!本当の本物か?俺も良い目してるぜ!こっちだぜ。」


とカイトに背を向け城の方角に歩き出すアマルジート


店は少し大通りを歩いて脇道にそれて少し行ったところにあった。案内が無ければ絶対に見つける事は無かっただろう。


店の中は綺麗に整えられており、テーブルと椅子が同じデザインで統一された物、椅子だけ、テーブルだけだが明らかに手の込んだ彫刻や飾りのついた物が置かれ店主の好みがわかる。奥の方に宝箱や、壁の飾り棚にカイトは目当ての物が置いてあるのを見つける。


「なぁあんたらハイ・エルフって永遠の命を持つって本当か?旦那は何歳なんだ?」


「寿命で死んだ者は知らないかな。自分は1500歳になる。」


商品を選びながらアマルジートと会話をする。カイトが納得のいく宝石箱を選ぶまで会話は続いた。会計の時にアマルジートは


「じゃあ旦那!今度は酒でも呑みながら話しようぜ!」


と満足げに店から出て行った。


見事な装飾に控えめな金の装飾をした宝石箱は金貨2枚半との事でカイトは金貨を二枚魔法袋から取り出し、腰の巾着袋から大銀貨5枚を支払ったのだった。


店から出るともう夕刻の時間が迫っていた。城壁と建物のせいであろう、薄暗くなり始めておりカイトの知っている夕陽とは違う印象を強く受ける。その時大通りの真ん中に建っていた柱の頭頂部が点々と明るく光り始める。小さい脇道にも灯りがつくようで一気に明るく感じる。カイトのいた村も夜は精霊達が飛び交い幻想的な明るさがあるのだがそれとは違った趣きに感動を覚える。


周りが暗闇消えていく中、灯りに照らされるという光景をしばらく見つめていたカイトであったがこのまま城まで一回行くか迷う。アリアが言っていた晩餐にはまだ時間があるが献上する品々を一回キチンとするのが優先すべき段取りだろうと結論づける。一度真っ白に照らされた城を見つめるとクルリと来た道を戻り始めるのであった。

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