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150 防衛線3

アガト村の魔物暴走防衛記録 記録者 アガト村村長 ガジ

              

防衛初日


五日前に帝都ネスクから南州の州都オクパに出発した商人が慌てて帰ってきた。村から10キロ程離れた場所からゴブリンの暴走を目撃したということだ。南州でゴブリンの暴走があったという話はこの村にも届いていたが収束したとの話も届いている。一体何があったか分からないが魔物、魔獣暴走があった場合、目撃情報のあった方角に近い村を囮にして時間稼ぎをする事は寄合を開くことも必要ないぐらい当たり前の事である。当村にいる300名と囮にした村の村民300名で籠城をすれば防衛はなんとかなるだろう。


帝都には息子と息子の友達2人を向かわせた。あと9日あれば帝都まで走り抜けるはずだ。身内贔屓とは誰も言わない。息子は村長の息子として今まで誰よりも文武も、仕事にも励んできたのだ。


ゴブリン共の襲撃は散発的で暴走の群れからはぐれて来た奴らだろう。絶対に生かして返すわけにはいかない。囮にした村の方角を見るが罠の作動は確認できない。一体どういうことだろう?目撃情報の場所とこの村の間に囮の村はある。囮の村に異変が見えないのにこちらの村にはゴブリンがきている。。。


防衛二日目


昨夜の防衛で始末したゴブリンは37匹だった。村人には怪我一つない。ありがたいことだ、、、だがゴブリンの魔物暴走スタンピートが起きているのは間違いないだろう。。。が、、夜が明けて物見櫓から村の周りを確認しても暴走本体の兆候は見られなかった。


囮にした村の方角からは未だに罠の作動の気配はない。家屋に入りっぱなしの子供がぐずりだしている。兵卒の女集がなんとかしてくれているがゴブリン共の本隊に絶対気づかれてはならない。兵卒の女集がゴブリンの習性を他の女子供に何度も教えているはずだ。兵卒の女集に幼児や赤子の管理は一任しよう。ルハァ殿も護衛達も村の防衛に積極的に参加してくれている。ありがたい。


今夜も散発的な襲撃があった。15匹と少ない。。。囮にした村の罠は未だ作動しない。。。


防衛三日目


兵卒でない村人達が騒ぎ始めている。もうゴブリンはいないはずだと!!特に囮にされた村の住人からの圧力が強い。囮にした村と当村の間に亀裂が入る前になんとかせねば!!当村の村人の余裕さが囮にした村人たちを苛立させている。。。寄合を開き当村からも囮にした村の補填を申し出るのが一番であろう。


昼過ぎに囮にした村の方角から黒煙があがる。。。中心にある村長宅に何者かが、、いや、、、ゴブリン共が侵入したのであろう。この動きは統率されたゴブリン達のせいかもしれない。。。あまりにもゆっくり過ぎる。この村の位置もばれていると考えるべきだ。上位種が居る可能性が大きいことを伝えたが兵卒はともかく村の護衛団の者たちにはピンと来ていないようだ。兵卒の女集の長、、アルミに上位種が居る可能性を伝えた。彼女は笑いながらいざとなれば後家集でゴブリンの足止めをすると申し出てくれたが笑いごとではない。彼女も知っているはずだ。。。ゴブリンの慰み者にされるのがどういう事かと。


この夜には100匹を超えるゴブリン達が当村にやってきた。夜泣きをする赤子の声は響く。。。女集が乳をあてがったり色々しているようだが赤子に今の状況を理解しろというのは無事にこの村を守り切れというぐらいの難問だろう。ゴブリンの何匹かが傷を負いながらも逃げていったと報告があった。明日からが本番であろう。


明日あたりには息子たちも帝都についているはずだ。途中の村の協力があれば着いていてもおかしくはない。あと三週間、、いや、もしかすれば二週間。。だめだ。。。一カ月防衛をすれば帝都から騎士団がきてくれる。絶対に一カ月この村を守り抜くのだ。














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