15 歩く種族保護
(胸糞の悪い光景だわ。。。)
豪華な輿の上から相対する軍勢を睥睨するシルビア。
敵の装備や編成ががおかしいのだ。エルフ族が剣を持ち屈強な獣族の者がクロスボウを持ったりと種族特性に反している。おそらく奴隷紋により命令には逆らえないが意識はあるのだろう。ワザと不得手な装備を選んだりして負けるように逆らっているのだ。
突然敵軍の前線付近に大樹が生える。真っ赤な葉を茂らせ白い幹だ。確か5000歳を超えたハイ・エルフが使える種族能力“転生樹海”。使用した者が好きな樹木になると言うが50メートルを超える大樹になり赤い色の葉と白い幹が特徴となるらしい。使用した者はもう人の形には戻れずエルフ族や精霊族の能力が上がる聖域を自身の周りに創り出す物だ。複数人で転生樹海の結界を作ればエルフ族に敵うものは居ないと言われてきたが実際に見たのは初めてであった。
ハイ・エルフの村からも3人程連れ去られていたはず。そのうちの1人が使ったのだろう。30人のハイ・エルフがシルビアの混合軍に参加していた筈だ。永遠の命を持つとは言え100人程度しかいない村なのだ。
結果この戦いで連れ去られたハイ・エルフ3人は1人は“
転生樹海”となり、2人も戦死をする。転生樹海の影響を受けない前線の端の方での事であった。シルビアの軍勢に参加していた30名も3名が“転生樹海”を発動、先の1人と合わせて結界を作り戦況に貢献するも生きて村に帰ったハイ・エルフはたった7人であった。
村に帰った7人のうち6人は世界樹の根元にある村を中心に6箇所に散り“転生樹海”を発動して結界をはった。こうしてハイ・エルフの村は一気に過疎化したのだった。
7500年程前の出来事である。1500年前にカイトが産まれるまで村は結界のお陰で安全であったが新たに産まれてきた子らは僅か5名ほどであった。
どの種族も加護を貰うのは10歳の時である。カイトに加護を与えたのは世界樹であり、以下の様な物であった。
新命創生 : パッシブ
自身のの半径100メートル内に居る生殖可能な超命種族に子孫継承の欲求を抱かせる。相手の対象は自身とは限らない。
濡花強精 : アクティブ
対象の許可が必要。内容は言わずもがな。ただ対象の許可が必要なので発動すると非常に強力な効果を発揮。
護り手の理 : アクティブ
魔法と弓の同時使用可能。近接戦闘時速度上昇、動体視力上昇、魔法耐性上昇。
甘い雫 : パッシブ
バンパイヤ種が虜になる血液創造。
カイトが1500歳になった時、村人の数は100人近くになっていた。