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148 防衛戦

魔物暴走(スタンピート)についてインフィニティアの住人はある一定の知識を持っていた。雨が降った後に虹が出る!みたいな感じであったが。言い伝えや教えによるとゴブリンの暴走があった後はオーガや竜種等の大型の魔物や魔獣が後追いで来ると辺境に住む者達は良く教えられて育つ一般常識の様なものであった。地震の後は津波が起きる(かもしれない)みたいな感じである。


帝都ネスクから南州の州都オクパを目指していた商業者組合員のルハァは3人の護衛を連れていた。護衛のランクは鉄で少し心許ないがルハァは南州で起きたゴブリンの暴走(スタンピート)をチャンスと捉えていた。帝都では南州から供給される塩が値上がりを始めており逆に南州で好まれる小麦粉の供給も滞っているのは明白だった。


基盤の強い商人やベテランの者達は帝都で様子見をしていたが今がチャンスなのは間違いがない。大きな馬車一台を借りると小麦粉を積み込めるだけ積み込んで一世一代の商売に向けて護衛3人と出発したのだった。南州の境目にある2つの大きな村を日の出のかなり前に出発し陽が昇る頃大きな丘を登り終えた時に眼下はるか遠く水平線近くに蠢めくゴブリン達を発見する。


「ルハァさん。。。直ぐに引き返しましょう。馬車の荷物も置いていけば村まで間に合うはず。ゴブリンの暴走(スタンピート)があったばかりとは知っていましたが話が違いすぎます。あれは。。。収束なんかしていない。。。」


「この荷物を失えば自分は、、、再起不能だ。。。死ぬのと一緒なんだよ!!」


「・・・ルハァさん。。。こういうのはどうでしょう?荷物は魔物暴走(スタンピート)の足止めに使用したという事で生き残ってから村や冒険者組合(フロンティアギルド)に補償を求めるのです!生き残れば報奨金も貰えるかもしれませんよ?」


と護衛のリーダーがルハァに提案する。


「私達は鉄クラスですがもう一回魔獣か魔物を討伐すれば鋼クラスの昇級テストを受けれます。お互いに生き残ればルハァさんが魔物暴走(スタンピート)の足止めの為に小麦粉を使ったと証言いたします。死ねばやり直しも出来ませんよ」


「・・・そうだな。。。では半分の荷物は此処において残りは少しづつおいていくか。」


「いえ!それでは村まで案内しているような物なので此処で全部置いていきましょう!?」


「任せるよ。荷物を降ろし終わったら3人とも馬車に乗ってくれ。。最速で村に戻ろう!!」


村に戻った四人は直ぐにゴブリンの暴走を報告し、2つの村は籠城を選んだのだった。この2つの村は引退した兵士達で人口の3割ほどを占めている。州の境目にある大きな村はそのように作られているのだ。帝都に若い村人を3人救援の為に走らせるが皇都までは二週間はかかる。。。。更に皇都から援軍が来るまで3週間はかかるだろう。だが何もしなければ死ぬだけである。


籠城してから5日間ゴブリンは姿を見せなかった。ルハァと護衛達3人は段々と厳しい目で見てくる村人達を少し安堵の気持ちと遣る瀬無い思いで対応していた。


「なぁもう一度聞くが本当にゴブリン達は居たんだな?」


「あぁ。。。俺達4人で確認している。ルハァさんは足止めの為に自分の荷物を置いていってくれたほどの群れ。。。いや。。。地平線はゴブリンで他は見えないぐらいだったよ。疑うなら村の人間から斥候を出せばいい。お勧めはしないがね。俺達はもうすぐ鋼クラスだがゴメンだよ」


とここ2日ほど村人の前で交わされた同じ応答を護衛のリーダーが繰り返す。リーダーの周りには30人程の村人達が剣呑な顔つきで屯している。もう5日目の夜に差しかかろうとしたその時に


「ゴ、ゴブリンだぁー!!!!」


と物見櫓で見張りをしていた村人が叫んだのだった。


闘いは村人達の弓攻撃から始まった。


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