147 ゴブリン蹂躙
オリビアとブルネは自分が言ったことを聞いてよくわからない顔をしていたが
「この依頼はゴブリンの群れを小規模な物に分散させるだけでも成功となります。が、討伐は可能な限り行って頂きたいのです。この規模の群れを殲滅させるのはほぼ不可能なのです。群れを包囲殲滅するだけの機動力のある軍を動かすとなると膨大な費用がかかりますので。。。あとオーガも情報が錯綜している状態ですが緊急時の討伐依頼扱いです。ゴブリンは右耳が討伐証明部位で一体につき大銅貨2枚になります。通常ですと1枚です。群れの解体に成功したと判断されますと大金貨5枚が褒賞になります。オーガは一体につき金貨1枚が報奨金になります。討伐証明部位は上顎対の牙になります。少ないように感じられるかもしれませんが他の素材を売ればそれ以上の実入りがありますのでご承知ください。ゴブリンも一応買取はしています。肥料に使えますので!」
と説明をしてくれる。
「依頼失敗の基準は?」
と聞くと、
「この規模のゴブリン討伐の依頼には依頼失敗はありません。群れの分断に成功したらラッキーというレベルの災害なのです」
と返事が来る。そんな所にいきなり連れて行かれるのかい!!とアリアを見ると
「ディー君はなんでか知らないけど本気で身体を使う事を自分で制限してるよ?冒険者組合の試験の時もそうだったし、さっきもね。そろそろ本来のバンパイヤ種の動きを覚えないといけないと思うんだよ」
とメイドモードから身内モードに切り替わった。どうやら本気らしい。オリビアとブルネに出発の挨拶をすると自分たちはアビス、タニヤとティファニーの元に向かったのである。
ブルネと少し話をしたアリアの影移動でみんな移動するとそこは小高い丘の上であった。移動前に機動要塞改での索敵、攻撃及び自前でも支援系以外の魔法使用を禁じられている。。。災害クラスのスタンピートのはずなんだが。。。
「本当は素手で倒して欲しいんだけど初陣だしオーガもいるみたいだから特別だよ?」
とヒヒイロカネの大剣を渡してもらった。鎧も着せ替えてくれる。
「で、、、どうするの?」
と聞いたら
「自分とアビスでディー君の所にゴブリン達を追い込むから後は好きに倒せば良いよ!タニヤとティファニーは一応アビスの背中に居てくれる?ゴブリンとかオーガってエルフ大好きだから!」
と竜化したアビスにタニヤとティファニーは乗り飛んでいき、アリアは自分の横でアビスからの連絡を待つようだ。
飛び立ったアビスはタニヤ達を乗せているからだろうか?そんなに早く飛んでいるようには見えなかったが直ぐに見えなくなった。30分程するとアリアが影移動で消える。機動要塞改のリンクでアビスから連絡があったのだろう。。。いよいよという事だ。一人で丘の上にいる自分は後2時間もすれば陽が沈む太陽を体育座りで見ていた。。。
“ ドドドドドドー “ と音と地響きが15分程すると聞こえてくる。直ぐにゴブリン達だろうと分かる。。。早く終わらせたいのでその方向に影移動で飛ぶと俺はゴブリン達の前にいた。距離で100メートル程であろうか?数はまぁいい。。。なんかデカいのが5匹程居るんだが。。。オーガでは無い。ゴブリンの上位種かな?大人の人間より少し大きい。そいつらがわき目も振らずにこっちに走ってくる。そのかなり後ろに自分と同じおおきさのゴブリン達がワラワラと続く。
直ぐに接敵する。うわぁ。。。クセェ!!風上だったから気付かなかったが凄い匂いがする。渡米する時に都内のグルグル同じ所を回っている電車で遭遇したホームレスよりインパクトがある匂いだ。。。デカいやつらは自分に気付くと攻撃の意思を見せる。アビス達に追いかけられて逃げてる筈なのに余裕あるな!!
金が欲しい!しかもコイツらは人に連なる者達を殺す。デカいゴブリンをすれ違い様に二匹の首を落としそのまま小さいゴブリンの首も狩っていく。うぇ。。。不味そうな匂いだ。直ぐに死体が邪魔になると気付く:機動要塞改に収納魔法に死体を討伐証明部位を切り離して収納して置くように指示を出すと周りがスッキリする。
「グギャギャグゲェ!!」
とかゴブリン供が叫んでいるがビタイチ何を言っているか理解出来ない。暫くは自分の前に走ってくるゴブリンが続いたが暫くすると自分を避けるように走り始める。
「避ければ逃げれると思うなよ!!」
と叫ぶと影移動や霧化を駆使しながらゴブリンを追いかけ回しているち不味い血の匂いなのだが血の匂いに酔ってくるような感覚がする。途中で返り血で剣が滑るので剣の空きスロットに浄化の魔法をセットしたのを覚えている。高揚感が次第に湧いてくる。楽しい!!非力なゴブリン供め!!俺のお小遣いになれ!!!と追いかけ回す。一歩で追いつき一振りで2匹は殺す。
ふと空を見るとアビスが自分の周り2キロぐらいをスピードをあげたりしながら旋回している。追い込み漁みたいにゴブリン達を誘導しているのだろう!
全然大丈夫じゃないか!!と本能が前世の自分にいう。身体を痛めたら大変だから本気を出さない方がいいと前世の自分は思っていた。首を寝違えただけでも仕事は地獄の苦しみだったのだ。転生直前は意識して急に身体を動かさないようにしていたぐらいだったが。。。
気がつくと周り景色が飛ぶような感じで自分は移動していた。そしてゴブリン供は。。。全然歯応えがない!!!少し遠くにデカい気配がある!そっちの方が面白そうだと疾風の如くそちらに翔けるとオーガがいた。12匹もいる!!
翔けてきた自分に気づいていないようなのでワザと声を出すと気づいた。
「オーガ供!!今から俺の小遣いにしてやるー!!」
と叫ぶと自分はオーガの群れに飛び込んだのだった。