119 尻尾ソムリエ お尻鑑定士
動けなくなった者達の間を縫うように皇帝が一際豪華な椅子がある場所に歩いていく。その椅子には痩せて短髪の小さい男が座っていた。目だけがキョロキョロと近寄って来る皇帝とあたりを見回している。
「ヒーナス副宰相。。。お前の事は頼りにしていたのだがな」
とだけ伝えると後ろを振り返り護衛の騎士に
「サイラス騎士団長、城に戻りここに居る者達と屋敷で働く者達全てを拘束せい。上の門番達と門に集合した護衛達は拘束せずとも良いが名前と素性を調べておけ」
と伝える。タニヤとティファニーが心配だ。一緒に影移動で皇居まで送ろう!と
「タニヤ、ティファニー。2人ともサイラス騎士団長と一緒に皇居まで送るよ」
と言うと
「「大丈夫なの(よ)。ちょっとビックリしただけなの(だわ)」」
と2人から返事がくる。なら良いけど。。。取り敢えずメナー皇帝にサイラス騎士団長を皇居入り口まで送ると伝えてみんなで移動した。サイラス騎士団長だけを置きまた部屋にトンボ帰りする。メナー皇帝が
「ディエゴ殿。ここに居る奴隷首輪囚われた者達は是非とも我が帝国で保護したいのだ。任せてくれないかの?」
と真剣な表情で話しかけて来る。そうだ!まだ解放していない!彼女達も動けない今のうちに首輪だけ破壊しておこう!といつも通りサクサクと破壊する。彼女達を移動させまとめて完全治癒、スペシャル魔法もキャストする。そして麻痺と麻酔を解除する。魔法収納から毛布を5枚取り出し彼女達を包んでいるとタニヤとティファニーも手伝ってくれる。皇帝は包まれた女性達を支えていてくれる。
「えぇ、皇帝陛下がそうお望みでしたらそのように!」
と返事をして彼女達と一緒に皇帝も密室に戻ったのであった。部屋に戻った皇帝は直ぐに執事を呼びつけると
「そこにいる女性達は客人として扱ってくれ。あと男は側に寄らぬように手配せよ。我は今より副宰相の屋敷に戻らねばならん」
と告げると慌ただしく部屋から出て行こうとする。皇帝はこちらを振り返ると
「ディエゴ殿、それなりの装いをせねばならん事態なのでな。。。少し待っていてくれぬか?」
と申し訳なさそうに話すと今度は振り返らずでていったのである。執事は頭を下げると部屋から出て行く。自分達と毛布に包まれた女性達だけが残された感じだ。
「かなりの大物が聖国と繋がってたみたいだね」
とタニヤとティファニーに伝えながら機動要塞改でサイラス騎士団長を探すと騎士団を編成中のようだ。騎士団とは別に兵達も慌ただしく動いている。
毛布に包まれた女性達を見ると4人が獣人族で1人はエルフであった。しばらく見て1人の獣人族、兎獣人とエルフの顔が知り合いに似ている気が凄くする。。。
「あぁ! 城のクリスと冒険者組合のナディアさんに似ているのか!!」
と納得がいく。他人の空似と言われればそうかも知れないがクリスのお尻と尻尾は目に焼き付いている。ピラッと毛布をめくって兎獣人のお尻を見る。タニヤとティファニーが ‘ ディー!!弱ってる女の子にそんなことしたら駄目!! ’ とか言っているがこの尻尾とお尻はクリスの血縁に違いない!と虚な目の兎獣人の尻尾とお尻を触った俺の尻尾ソムリエとお尻鑑定士の勘が囁く。
リコールメモリーでクリスの画像を兎獣人の前に展開すると虚だった彼女の目が少し焦点があい
「クリスティーナ。。。何処に。。」
とか呟いたのが聞こえる。ビンゴ!!続いてエルフのお尻を見て確認を!と思ったがよく考えたら俺はナディアさんのお尻を触った事も見た事もなかった。。。仕方なくリコールメモリーでまたナディアの映像と声をエルフの前で流すと
「ナディア。。。なんで村の外に。。。」
とこれまた反応があった。名探偵すぎる自分が怖い。タニヤとティファニーを振り返り
「ほら!知り合いに似てたから確認したんだよ。邪な気持ちで見たんじゃないんだよ!」
と言った自分にタニヤとティファニーは顔が ‘ 似ているとか考えた事もなかった。。。お尻でも身内がわかるのねー! ’ と感心していた。お尻の部分はそのうち誤解を解こうと思う。。。皇帝が戻ってきたらこの2人はいや。。。クリスの身内だけはこちらで保護しなければ!
戻ってきた執事に率いられたメイド達に彼女達を任せながら俺は彼女達がグッスリと眠れるようにスリープの魔法をキャストしたのだった。