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113 奴隷解放強行

アリア達と影移動で移動した先は古い建物が立ち並び呻き声が彼方此方から聞こえてくる。周りを見渡しても動いているものは殆ど知覚出来ない。ここ、王国の城塞都市アムリも助け出した聖国の奴隷達をなんとか助けようとしているがどうにもならないのであろう。


解放した後の奴隷達の保護や聖国の扱いについて聞いた自分に対してメナー皇帝もイルアラエ姫も即答は難しいとの返事であった。まぁこれは予想していた。いきなり20万以上の者達を支援するのはとんでもない資金、食料、設備や人的財産を使用しなければ無理なのである。


続けて本来は皇帝の冷や汗を見るために公開する予定だった帝国と王国内の奴隷達の存在を穏やかに告げると皇帝も姫も後ろに控えていた護衛達も明らかに動揺した。本来の交渉ではこれらの事実を元に聖国を貰い受けるつもりでいたが予定変更だ。自分の力なら未開の地で新しい街を作る事など造作もないのだから。ただ!両国内にいる奴隷は絶対に解放する。そして解放した者達は城塞都市アームにて保護をする。これは決定である。


穏やかに今から両国内にいる奴隷達を解放して身柄を城塞都市アームに連れ帰ることを2人に伝えると2人とも非常に困った顔をする。これも予想内だ。国内で他国の、しかも王族に自国の失態を知られるだけでなく尻拭いをされるような真似を好む国家などない。


「メナー皇帝陛下、そしてイルアラエ姫。私が申しているのはそちら側の人間の捕縛や殺害ではないのです。この奴隷達を囲っている者達は必ず聖国と繋がりがあるでしょう。聖国と事を構える前に身中の虫を排除する事は必須です。それはそちらにお任せいたしますが、私が受けた命は奴隷首輪(イビル・チョーカー)をつけられた者の解放です。そしてそれについては帝国、王国内問わず出された勅命なのです。聖国内の奴隷の保護や奴隷解放後の聖国の扱いなどは今より帝国、王国内の奴隷達を解放してからにいたしませんか?」


と2人の顔を見つめる。そして上空にいる一機に室内にリコールメモリーを応用した映像を映し出させる。


「これよりここに私の行動が映し出されます。自分としては陛下と姫のご賛同があっても無くともするべき事に変わりは無いのですが、陛下と姫にも立場があるのは理解しているつもりです。いかがされますか?」


とこれって脅迫と変わらないよなーとか思いながらも2人の反応を待つ。2分程待ってから続けて


「お二人から反対のお言葉が聞こえずこのディエゴ大変安心いたしました。お茶を飲まれながら少しお待ち頂きを!」


とアリアを連れてアビス達の待つ部屋に影移動をしたのである。その時に機動要塞改(サードアイ)を一機室内に残しておく。先ずは奴隷首輪(イビル・チョーカー)の効果が発動している城塞都市アームの北側にある王国の城塞都市アムリに飛ぶ。城門などには行かず街中に直接である。そしてこの映像を皇帝とイルアラエ姫や彼らの護衛も見ている。アリア達は既にヒヒイロカネの装備に着替えてもらっているし自分もヒヒイロカネの装備を身にまとっている。


機動要塞改(サードアイ)で目星をつけていた奴隷たちが住まう場所から少し離れた場所に建つ大きな建物を目指す。中に入ると何人かウロウロしているのが見える。1人をアリアに掴まえてもらい責任者を呼んでくれるように頼む。胡散げな顔をしていたが同盟国である城塞都市アームの御子と言われると動かない訳には行かないのだろう。10分程待つと1人の男が先程の男とやってくる。かなりやつれている。


「城塞都市アームの王子殿下との話であるが私には何の報告も連絡も来ていないのです。私はこの城塞都市アムリを治めるイアムト様の次男でありこの奴隷達を保護する施設の責任者であるイルアムと申します。ご来訪のご用件と失礼で有りますがそちらの身を立てる証はございますでしょうか?」


と開口一番に聞いてくる。かなり切れる人だ。アリアがスッと胸元から真っ黒い犬歯の様なものが付いたネックレスを取り出して見せる。が、彼は申し訳ないような顔をしながら


「私は次男ゆえ王家の方々の紋章は存じておりますが、そのネックレスの意味を知らないのです。無知で無礼なお願いで有りますが別な証をお持ちでないでしょうか?」


と続けてお願いをしてくる。珍しくクスッと笑ったアリアが胸元からヒヒイロカネで出来た冒険者組合(フロンティアギルド)組合員証(タグ)を取り出して彼に手渡す。そして彼女の目が真っ赤に染まり上顎から牙がニョッキリと生えてくる。タグとアリアの顔を見ても動じた感じを見せずにイルアムは


「ありがとうございます、アリア様。シルビア陛下の妹君自らのご対応心より感謝致します。」


と深々と礼をすると再び自分達を見つめながら


「先程も申し上げましたが私はディエゴ様やアリア様がご来訪される事を知らさせておりません。ご来訪の目的をお伺いしてもよろしいでしょうか?」


と目線を落としながら伝えてくる。そこで自分が前にでて


「実は我が母上であるシルビア陛下より勅命が下り奴隷首輪(イビル・チョーカー)をつけられた者達を解放せよとの事である。先程まで帝国にてメナー皇帝陛下やイルアラエ姫と会談をしていたのだ。自分がシルビア陛下の勅命のお話をしたのだが2分程待っても反対の言葉が聞こえなかったので母上の勅命を遂行するためにここまで転移してきた次第だ」


と伝える。皇居の室内に残してきた機動要塞改(サードアイ)から少し慌て始めた皇帝とイルアラエ姫の映像が送られてくる。





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