112 本題
さり気なく自分を責任者の位置に据えるような発言をした皇帝にイラッとしながらもニコニコと皇帝をみる。ふはははは!見てろよ!今からお前が冷や汗をかくところを存分に見てやるぜ!!皇帝の事は個人的には気に入ってる方だがここは一気に畳み込みたい。
「メナー皇帝陛下。私のリコールメモリーで色々とお話をしたいのですが食事の度に中断となりますといささか時間を取られすぎると思うのです。先程の前菜も絶品でした。恥ずかしながら成長期のせいか最近お腹の減りが早いのです。もしお二方が大丈夫でしたら一度に食事を頂けませんか?」
と恥ずかしそうに演技しながら皇帝とイルアラエ姫を見る。イルアラエ姫を見るときにはちゃんと首を傾けて上目つかいになるようにする。クスッと笑ったイルアラエ姫が
「えぇ大丈夫ですわ、ディエゴ殿下。私も今日は少しお腹がすいていましたの」
と返事をしてくれる。エロい雰囲気なのに聖女のような姫である。それを聞いた皇帝は執事に
「料理を全て持ってきてくれ。幸いテーブルには空きが一杯あるでな!」
と笑いながら伝える。何故か凄く嬉しそうである。。。続きの料理が来るまで残っていた前菜をチマチマ食べていく。少しすると料理が運ばれてくる。台車3台がきた。一台は自分の物かな?肉やチーズそして野菜がふんだんに使われたサンドイッチが載っている。もう一台はイルアラエ姫の物だろうか。スープ、温野菜やサラダに少しの肉が載っている。最後の一台は。。。。小皿が一杯載っている。うん?酒のアテに見えるし匂いもそう自分に告げてくる。食後用の甘味もそれぞれの台車には載っているが3台目には見当たらない。
先程みたいに護衛が毒味をしていく中アリアは自分にサッサとだが上品に料理を配膳してくれる。毒味が終わった頃にデカい一升ビンの様なものが運ばれてきた。それを見た皇帝がソワソワし始める。そしてなんと自ら瓶を開けるとしたグラスにそれを注ぎ毒味をしようとする騎士を制して
「これは我が毒味するので安ずるな!」
と言いながら一気飲みをすると目を閉じながらブルっと身体を震わせて
「ディエゴ殿、これはドワーフから献上された火酒というもので滅多に手に入らぬ物ですぞ。ささっ!一献どうかな?気に要らなければ別の物を用意しますぞ」
と言ってくる。こいつ。。。俺を出しにしてお酒が飲みたかったのか!!!ちくしょう。。。この皇帝とは気が合いそうだ。。。幸い先程の前菜はまだ残っている。
「メナー皇帝陛下。希少な物をありがとうございます。是非頂きます」
と返事をしながらアリアを見ると何も言わない。が、あれは何か企んでいる顔だ。俺が酔っ払ったら俺を好き放題できるとか考えている顔だ。。。絶対に。。。
火酒は初めて飲む香りと風味だった。ウォッカみたいな注射をする前の薬品みたいな匂いは実は自分はダメなのだ。マーライオンみたいに飲んだ後に吐いてしまうのだ。前菜をチビチビ齧りながら舐めるように飲んでいく。記憶の中のアルコールと変わらないがこの身体はまだ子供舌なので一気に含めないのだ。だが皇帝を涙目にするのはやめだ。皇帝とは凄く仲良くやっていける気がする。
サンドイッチを食べたりしながらみんなの食べ具合を見計らい話を進める。
「昨夜シルビア陛下より命を受けてより、奴隷首輪を装着された者達の捜索を行っていました」
と伝えると護衛を含めた全員がキョトンとした顔をする。先ずは見せた方が早いなと機動要塞改から皇居を見下ろす映像をリコールメモリーで映し出す。皇都は映らないようにわざとしてある。皆が映像を観ているのを確認してから魔法収納から奴隷首輪を一個取り出すと映像に薄紫色の△が現れる。みんなの前で魔法収納に首輪を出し入れしながら映像がリアルタイムの物である事を理解してもらうのに少し時間がかかったが理解してもらえたようだ。
そして首輪を自分の首に押し当てると首輪がズルズルと埋まっていき首に装着される。どういう仕組みかサッパリだが気持ち悪い。すると映像に映った薄紫色の△が紫色にかわる。
「ご覧のように使用されていない奴隷首輪は薄紫色に今自分の首にはまったように装着済みの首輪は紫色で認識されます」
そして霧化でサッサと抜け出すとまた表示されていた△が紫色から薄紫色に変わる。皆んなほぅーとか言いながら自分と映像を見ている。
「このようにして奴隷首輪を嵌められた者達の居場所は昨夜の内に全て把握してあるのです。自分が把握した限りですとおよそ21万と2千人程奴隷首輪に囚われている者達がいます」
と伝えるとアリア以外の護衛達が息をのむのがわかる。彼らは戦闘職なだけあって人数の意味に長けているのであろう。皇帝とイルアラエ姫は息はのまないが若干信じられないと言った感じである。
「奴隷の解放と奴隷首輪の破壊は自分1人で行えるのですが解放した後の奴隷達の保護、聖国の扱いに関して話し合いをしたいのです」
と伝えた自分を皆んなが呆気に取られた顔で見つめてくるのであった。