100 受け入れ準備 (3)
続いてアリアに質問していく。機動要塞サードアイを作った時に街の人口は大まかにだが調べていた。三万五千人程がアームにはいる。取り敢えず次に聞きたいのはアームの教育だ。ティファニーがお茶の用意をしてくれる。広間のソファーに座りながら
「城塞都市アームの学校ってどんな事を教えてるの?」
「簡単な計算と読み書きだよ」
「他には教えてないの?」
「教えてないよ。アームでは戦闘系なら冒険者組合が教えるし商売したいなら商業者組合が教える事になってるんだよ」
と髪の毛をクルクル弄りながら返事が来る。
「えっと帝国とかみたいに使える加護を持った人達を発掘したりはしてないの?」
と聞くと
「うーん。どうせ寿命で死んじゃうから意味ないよ?」
「眷属にしたら死なないんじゃない?何となくだけど自分も出来る気するし。。。」
と言ってみると凄く困った顔をしながら
「なんて言うのかなぁ。。。定命の者を眷属にしても2、3000年すると死にたいって言い出すんだよね。。。だから城塞都市アームでは眷属化は罰にしてるんだよ。それに戦力が欲しいならダンジョンの智慧ある魔物や魔獣達で十分だよ?・・・そう言えば1人だけ眷属化したけど生きてる娘居るけど後で呼ぼうか?なんか世界を旅するとか言って暫く会ってないんだよね」
そうなのか。。。よく分からないが地球でも永遠の命を求めて錬金術とか流行った時代があったはずだ。自分の時代でも未来まで冷凍冬眠するとか言う人達が居たよな。。。でも実際に永遠の命を持つと死にたがるのか。。。ままならないものだ。自分も死にたいとか思うようになるのだろうか。。。タニヤ、ティファニー、アビスにも聞いてみる。
「いや。。。その娘は後でいいや。ハイ・エルフの皆んなとか竜種も永遠の命を持つでしょう?死にたいとか思ったり言った人たちっている?」
「「聞いた事も思った事もないの(ないわ)」」
「死んだら光物集められなくなるから嫌かなー」
と返事がくる。。。そうか。。この問題は後々考えるとして
「じゃあ城塞都市アームの住人で帝国とか王国が求めてるような加護を持った人達は移住しちゃうんだ?」
とアリアに聞くと
「そんな事は無いと思うかな。確かに出て行く者達はいるけど暫くすると帰ってくる人達が殆どだよ。使い魔が街の監視してるからそこら辺は分かってるよ。アームって他の街と比べると税は安いし治安が良いからね。物価は高いけど仕事も一杯あるしお給料もそれなりに貰えるから居心地いいんじゃないかな?ご飯も美味しいし。海も山もダンジョンの仕事受ければ見れるしね。ただ周りに何も無いからね。ダメな人は駄目かも」
と返事が来る。そうなのか。。。やはり城塞都市アームはこの世界では安全な街なのであろう。ただ母上やアリアが為政者として方向性を定めないし国として研究とかしていないから発展していないと考えて良いだろう。それでも街の者達は幸せそうだ。母上が言うのも一理あるのかも知れない。。。取り敢えず奴隷首輪さえ無くなれば反抗も出来るし後は自然に任せると言う考えなのかも知れない。
ただ今奴隷を解放しても戦う力などないだろうし、生きて行くのさえ難しい状況なのは分かる。よし!城塞都市アームは母上の街だし別にみんな不満を持っているわけでは無いからほっておこう。自分がなぜ聖都が欲しかったかと言えば解放した奴隷達が身体を直したりするまで安全に暮らせる場所が必要と思ったからで別に国が欲しいとかでは無いのだ。ただ関与するからにはそれなりの責任は負うべきであろうとも前世の価値観がささやく。
聖都にダンジョンが有れば城塞都市アームみたいに第一次産業の問題は解決するんだが。。。と、
「そういえばアームのダンジョンの管理者にどうやってアビスはなったの?」
と聞いてみる。いつもニコニコしているアビスの顔が急速に曇った。。。