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がんばれ賢者候補生!おちこぼれ桃猫組のハロウィン大作戦!!

作者: 来栖らいか

〔1〕



「ナニそれっ! 嘘でしょっ! マジッ? 信じらんなぁいっ!」

 赤毛のツインテールを振り回し、あたしは一秒にも満たない早さで叫んだ。

 大人三人が並んで手を回せるほど大きな大理石の柱十二本で支えられた、バルコニー付大講堂に甲高い声が反響して五十八人のクラスメイトが全員こちらに顔を向けたけど、それどころじゃない。

「仕方ないだろ? だいたい、事あるごとにツイてないのはサイの方。俺のせいじゃないんだから、当たり散らすのは止めて欲しいな?」

 あたしが頭から湯気を出しそうなくらい怒り狂ってる前で、シロンは涼しい顔。

 悪戯っぽくトビ色のドングリ眼をくるりとまわして、そばかす混じりの頬を引きつらせ笑いをこらえている。

 ああもう、ますます腹が立ってきた!

「笑ってる場合じゃないんだからねっ! ナンであたしが……よりにもよってあんたと組まなきゃいけないのよ? それも『桃色猫組』って……知らないの? 毎年、『桃色猫組』は落第点を取るってジンクスがあるんだよ!」

 あたし達の学校は、ハロウィンの日に進級試験がある。男女二人でペアを組み、決められた課題をクリアしなくてはならないのだ。

 ペアを組む相手は『第三賢者』である校長先生が決めるから、絶対だ。

 はかない望みだとは思ったけど、もしかしたら女子生徒全員が憧れるオーギュ様とペアになれるかもしれない。そう思って一番のお気に入りフリルミニと、虹色星形プリントのオーバーニー(膝上長靴下)でバッチリ決めてきたのに。キャミだってレースの縁に金糸を刺繍して……。「はぁあぁあ、ゆうべ徹夜で頑張ったのに」

「徹夜? 何か作戦でも立ててきたの? 無駄だと思うけど、聞いてやるぜ」

 みぞおち目掛けて繰り出したあたしのパンチを、シロンはひらりとかわしてニヤニヤしている。さすがクラス一の運動神経、これで性格さえ悪くなければ女の子にもっと人気が出ると思うんだけどな。月明かりも星もない、吸い込まれるような闇色をした黒髪を一つに束ね、少し大きな瞳が光の具合で緑に見えるシロン。噂では一七世紀のフランスから、賢者様が連れてきたらしい。二十一世紀のアメリカで生まれたあたしからすれば、ずいぶんと昔の人になるんだけど、ここでは同じ十五歳。ひねくれ者で、乱暴で、口が悪くて、意地悪で、嫌なクラスメイトでしかない。共通するのは、あたしもシロンも賢者様が連れてきた『ひろいっ子』であることだけ。

「桃色猫組、出発しろ!」

 先生が怒鳴ってる、もう他のチームは出発したんだ。あたしは先生に手渡された『桃色猫組』のエンブレムを、なるべく目立たないように腰に付けた。フリルの陰になるから、何とか我慢できそう。ああ恥ずかしい、ピンクの猫がにたりと笑っている五センチ四方のエンブレム。こんなのつけるくらいなら、『黄色豹組』や『赤色牛組』の方がマシ。それにどうして男子は、上着の内側につけることが許されるわけ? 男尊女卑じゃない。一緒に受け取った羊皮紙を紐解き、目的地を見てなお落ち込む。

「嫌だ、あたしの生まれた時代と場所じゃないの」

 なんて不運なんだろう、二度と思い出したくなんか無かったのに。

「やっぱりついてないのはサイの方だ。頼むから俺の足を引っ張るなよ」

 ホンっと、むかつく! ガツンと何か言い返してやろうと思ったら、先生の描いた魔法陣が蒼白く輝いた。ああもう、覚えてろ! あんたなんかに負けないから!

 教室の窓がゆがみ、黒いビロードのカーテンがふわりと浮いた。身体も蒼白く輝いて、指の先から透き通っていく。ふわふわと、身体は宙を漂う感覚。意識はすうっと、白い光の中に吸い込まれていった。

 二十一世紀のアメリカで、あたし達は夢を狩る。その夢が未来に与える影響が大きいほど、高い合格点がもらえるのだ。

 あたし達は何? 魔法使い? ううん、違う。 

 世界のことわりを支配する『賢者』候補生なんだから!



〔2〕


「おい、いつまで寝てるんだよ、このカボチャ頭」

「なななっ、なんだとおっ!」

 あたしはシロンの悪態に跳ね起きた。

「ニンジン頭とか、トマト頭とか言われたことはあるけど、カボチャ頭だなんてひどいじゃないのっ!」

「あのなぁ、もうとっくに目的地にいるんだぜ? いつまでオネンネしてるつもりだよ、夜が明けちまう」

 あわてて辺りを見回すと、どうやらここは墓地のようだった。傾いた太陽に照らされた墓石が、湿った芝生に長い影を落としている。もう数分で真っ暗になりそうだ。それにしても、ううっカビ臭い。墓土臭い、暗くて静かで気持ちが悪い。候補生として魔法を習っていても、やっぱりお墓も幽霊も大嫌い。

「あー、あははははっ。でもシロンだって意識失ってたでしょう?」

「俺はおまえと違って、移動中に失神したりしないんだよ。もう十五分も無駄にしてるぜ」

 むかっ、なによ偉そうに。マスタークラスにならなきゃ、移動中に正気でいられないのが普通なのに。

「ならもっと、早く起こしてくれればいいじゃない」

「おまえの間抜けな寝顔を観察してた、面白かったぜ」

 えええっ? なんたる不覚、十五分も無防備に寝顔を見られていたなんて。それもこんなヤツに。

「さて、それじゃあターゲットを探しに行こうぜ、カボチャ頭くん」

 意気消沈したあたしは、返す言葉を見つけられなかった。

 墓場を抜けて表通りに出た途端、家々の玄関にオレンジ色のカボチャ提灯が飾ってあった。シロンの言うとおり、ハロウィンのジャック・オ・ランタンはあたしの髪の色に似ている。思い出したくない嫌な出来事が、よみがえりそうになったあたしはグッと唇を噛んだ。

 あたしの夢は、オーギュ様のようなプラチナブロンドになること。

 オーギュ様は、賢者一族の正当な血筋のお方だ。魔術の成績もトップ、エメラルド色の優しい瞳、春の日差しのように柔らかく輝くプラチナブロンド。手の届かない所にいる方だけど、せめて髪の色くらい近づきたい。だって、そうでも思わなくちゃ、あたしが魔法を学ぶ理由が見つからないんだもの……。

 黙ったまま歩くシロンは、どうやらハイスクールを目指しているようだった。あたし達の年格好からすれば、ハイスクールのハロウィン・パーティに紛れてターゲットを探すのが一番いい。この年頃の子ども達は夢や希望に溢れていて、将来性のある子が沢山いるからだ。

 時代に合わせて服装を変える魔法くらい簡単だけど、今日はハロウィンだからこのままでも問題ない。あたしは黒のキャミ、ターコイズブルーのフリルミニ、虹色星形模様のオーバーニー、ベルベットのミニマントにビーズで出来た仮面を付けた。シロンは黒のタキシードにカラーを立てた赤いシルクシャツ、白のスカーフ。作り物の牙をつけ、前髪を軽く後ろに流してリボンで束ねている。ううっ、悔しいくらい素敵なんだけど。

 だけど、ほんの少し見惚れてしまったあたしに向き直り、シロンが口にした言葉は。

「おまえの格好、俺がいた時代の道化師がモデルか?」

 一瞬でも、カッコイイと思ったあたしが馬鹿でした。試験が終わったら必ずぶん殴ってやる。それにしても、この時代のハロウィンのことやハイスクールの場所を、シロンはどうやって調べたんだろう。

「この時代ならあたしの方がよく分かってるんだから、シロンは足を引っ張らないようにしてよね」

 せいいっぱい嫌みな口調で仕返しすると、シロンは鼻先でふふんと笑う。

「おまえのアホ面を、ただ見てたわけじゃない。この近辺の情報は、収集済みだよ。東に三ブロック行った所にあるハイスクールで十七時からハロウィン・バザーがある、孤児院への寄付が目的だ。近隣の住民が集まるから、俺たちも目立たないしターゲットも見つかりやすいだろう」

 シロンはあたしの意識がないうちに、魔法を使って住民の会話を集めたんだ。遠くの会話まで拾うとなると、かなりの魔法力がいる。あたしなら、せいぜい半径二百メートルくらいだけど、シロンは三キロ先くらいまで拾えるって聞いたことがある。

 既に敗北の予感……

「いやっ、まだまだこれからよっ!」

「はぁ? おまえナニ一人でブツブツ言ってるんだよ、頭の中までカボチャになったのか? 目的地に着いたぜ」

 しつこいカボチャ攻撃を無視して、あたしはハイスクール玄関口に立てられているハロウィンディスプレイのアーチを見上げた。コミカルなポーズを取ったゾンビ、妙にリアルな狼男、血まみれの手首、ボロボロのマリアベール(ウエディングベール)をかぶった蒼白い顔の花嫁。

 普通の人間が想像して作ったにしては、まあまあ、良くできてるじゃない。

 感心しているあたしを置いて、さっさとホールに向かうシロンを慌てて追いかけながら混雑した通路のコスプレした人波をすり抜ける。やっぱりシロンは女の子の目を引いてる、シロンが通り抜けた後に振り向かない子はいないもの。

 ホールに出るとシロンは立ち止まって、いきなりあたしの腕を引っ張った。

「おまえ、俺の近くにいろ。ったく、もう少しその格好どうにかならなかったのか?」

「えっ、えっ? どういう意味よ」

「ちぇっ、とにかくあまり、変なヤツには近づくな」

 ナニよ、変なヤツはあんたの方じゃないの。あたしがふくれっ面をしていると、フランケンシュタインのマスクをかぶった大柄な男が近づいてきた。

「可愛らしい魔女だねぇ、お嬢ちゃん。このバザーの後、近くのクラブで大人のハロウィンパーティがあるんだけど行ってみない?」

 大人のハロウィンパーティかぁ、なんだか面白そうだけど。

「彼女はこの後で俺とデートがあるんだ、断るよ」

「ちょっ、ちょっとマテ! ナンであたしがっ!」

 抗議するまもなくシロンは、あたしをフランケンシュタイン男から遠ざけた。名残惜しそうに、あたしをジロジロ見ているフランケインシュタイン。

「馬鹿ヤロウ、露出し過ぎなんだよ」

 小さく呟いたシロンの言葉で、ようやく意味がわかった。なぁんだそうか、嫌らしい目で見られてるんだ、あたしの格好。まあ、自慢のバストはキャミから少しはみ出しそうだし、フリルミニから出た長い足は太ももの絶対領域を意識させる可愛らしいオーバーニーに包まれてる。だけどそんなこと全然平気なのにな、シロンってやっぱり変なの。

 それにしても楽しそう! ホールではバザー方式でクッキーやケーキ、ソーダ水が売っている。手作りのアクセサリーや、小物。パッチワークのテーブルクロスやレースのソファカバーもある。この売り上げを、孤児院に寄付するんだ。そっか、そう言えばハロウィンの時期は少しだけシスターの機嫌が良かったな。

 あたしは赤ん坊の時、孤児院前に捨てられていた。

 孤児院での思い出は、ひどいものばかり。この髪のせいで虐められたし、着る物も食事も粗末だった。でもハロウィンの頃はパンプキンマフィンにパンプキンパイをお腹いっぱい食べられたし、厳しくて恐いシスター達も少し優しくなる。

 だけどその後は、クリスマスに向けて寄付を貰いに回ったり、奉仕活動をして孤児の存在をアピールしたり、嫌なことばかりさせられた。

 吐く息が凍るほど寒い朝に、慈善バザーのチラシを配ったこともある。あたしはまだ五歳だったけど、防寒着として役に立たないようなボロボロのコートを着て、あかぎれで血の滲む手を握りしめ一軒一軒ドアをノックした。辛くて、悲しくて、チラシを渡しながら泣きそうになった。

 チラシ配りから帰ると、いちばん年の若いシスター・エレクトラが温かいミルクを入れてくれた。「他の子には内緒よ」と言って、お砂糖もたくさん。

 シスター・エレクトラの髪は綺麗な長い黒髪で、普段は一つに編んで後ろに流していた。だけど、おやすみのキスをしてくれるときは解いていたから、やさしい香りのする細くて柔らかな髪が頬をくすぐる。あたしはシスターエレクトラが大好きだった。

 あの事件があった時、もしシスター・エレクトラがいなかったら、あたしはどうなっていただろう。忘れもしない、七歳のハロウィン前夜。

 孤児院には、シスター達が手を焼くほど乱暴な男の子がいた。あたしよりも三歳年長で体格もよく、力もあったので暴れ始めるとシスター達には抑えることが出来ない。その日は配られたお菓子のことで不満を爆発させ、テーブルを蹴ったり椅子を投げたりして暴れ始めた。シスター達は、バザーの話し合いで誰もいない。止める人がいないのをいいことに、男の子はますます調子に乗ってきた。バザーで飾るために、みんなで作っていた『ジャック・オ・ランタン』。それらを床に叩きつけて割り、足で踏みにじった。そして中身をくりぬいている途中の、ひときわ大きなカボチャを二つに割り、あたしの頭にかぶせて笑ったのだ。

「似合うぜ、カボチャ頭。バザーの飾りはおまえで十分だ」

 その瞬間、あたしの頭の中で赤い火花が散った。お腹の中が、誰かに鷲掴みにされたようにギリギリ痛くなって、身体中が熱くなった。あたしは、自分が怒りすぎて壊れちゃったんだと思った。そしてすごく恐くなった。

「助けてっ!」

 あたしがギュッと目をつむり叫んだ時、ふわっと背中から誰かに抱きしめられた。

「心配ないわ、大丈夫よ」

 シスター・エレクトラの声だった。

 安心して、ゆっくり目を開けると、目の前に男の子が倒れている。白目をむいて口から泡を吐き、顔面は蒼白だった。

 男の子は、「てんかん発作」と判断されて病院に運ばれた。だけどなんとなく、あたしには解った。男の子が倒れたのは、あたしのせいなんだって。

 恐くて、恐くて、あたしはシスター・エレクトラにすがりついて泣いた。シスター・エレクトラは、あたしの髪についたカボチャの実をていねいに拭って、いつまでも優しく抱きしめてくれていた。

 そして教えてくれたのだ、あたしはこの世界にいるべきじゃないって。

「ずっと昔、自分は魔法使いだったのよ」と、シスター・エレクトラは言った。もう、あまりにも過去のことで記憶はないが、今はあたしのような子どもを見つけて別の世界に連れて行く手伝いをしているのだと。

 深夜になって、シスター・エレクトラはあたしを近くの墓地に連れて行った。ハロウィンの墓地は幽霊や悪魔の社交場、月明かりで蒼白く浮き上がった墓石から今にも幽霊が這いだしてきそうに思えて足がすくむ。だけどシスター・エレクトラの温かい手が、しっかりとあたしの手を握りしめてくれた途端、不思議と恐怖は消えていた。

 シスター・エレクトラは墓場のはずれにある大きな霊廟の前に立つとフードを外して髪を解き、小さくなにかを呟き始めた。すると蒼い光がシスター・エレクトラを包み込み、霊廟の前に輝く円が現れたのだ。

 光の中で、シスター・エレクトラは円を指さすとにっこり笑った。その姿は天使様のように、とてもとても綺麗だった。

 光は温かく、お母さんの手みたいにあたしを抱きしめた。あたしは安心感に満たされて、円の中に足を踏み入れた。

「遊びに来てるんじゃないぞ、さっさとリサーチしろ」

 シロンの苛ついた言葉で、あたしは現実に引き返した。

「わかってるわよ、もうっ!」

 物理的な魔法はシロンの方が優秀だけど、実はメンタルな魔法はあたしの方が得意なんだ。精神的なダメージを与えたり、回復したり。思考を読み取ったり、操作したり。

 さっそく、あたしはホールの中に感覚のアンテナを張り巡らせた。将来的に大きな夢を叶える人間がいないか、尚かつ現実の前で足踏みしていないか。探す、探す、探す……いたっ!

「いたよ、あの壁際の女の子」

 ホールの隅、クリスマスツリーのように積み上げられたカボチャの影に緑色のミニドレスを着た女の子。キラキラ光る薄いセロファンと、針金で作った羽。見たところ、『ピーターパン』のティンカーベルかな? そばかすだらけの冴えない顔色、枯れ枝みたいな細い足、人混みに脅える瞳は青。そしてカボチャツリーと同じオレンジ色の髪。

 だけど、あたしには解る。あの子は大きな可能性を持っているって。

 あの子が将来、夢を叶えたら大きな仕事を成し遂げるだろう。それは多くの人を幸せにし、今より社会を発展させる仕事だ。あたし達の課題は、その可能性である夢を奪うこと。

 だからといって、あたし達のやることは悪い事じゃない。

 夢を奪ったからといって、未来が大きく変わることはないのだ。結果的に誰かが同じ事を成し遂げて、少しだけゆっくりと未来が来ることになる。もしも大きく変わってしまう可能性があれば、『賢者様』が修正することになるんだけど。

 あたしは女の子に近付くと、ビーズの仮面を外して笑いかけた。女の子は驚いたように目を見開き、笑いかけられた対象が自分なのか確かめるようにキョロキョロする。

「ハァイ、今日はいい夜ね。 雲が出て月明かりもないし、ハロウィンの悪魔が喜びそうだと思わない? あたしの名前はサイよ、あなたは?」

 困ったような顔で、女の子は弱々しい微笑みを返した。

「あ、あのっ……シルビア……シルビア・クローテットよ」

「オッケー、シルビア。ねえ、取り敢えずカボチャから離れようよ。自慢じゃないけどあたしの髪もカボチャ色だから、ここにいたら二人ともパーティーが終わるまでディスプレイのままだよ」

 悲しそうに目を伏せたシルビアは、近くで見たら、まあまあ可愛い子だった。ちょっと痩せすぎで、胸にボリュームがないけどね。思考を探ってみると、どうやら好きな男の子のためにお洒落してきたのに、カボチャツリーの影から出られないでいるらしい。

 シルビアが生涯をかける大きな夢は、魔法では叶えることができない。だから小さな夢を叶えることで、契約により将来の大きな夢をいただいてしまう。当面のささやかな夢は、その男の子と話をすることだから簡単に叶えることが出来そう。

「せっかくのパーティなのに、楽しんでいないみたいね? どうしてそんなに元気がないの?」

 じれったそうに離れたところから見ているシロンを無視して、あたしはシルビアが話しやすいように水を向けた。いきなり核心をついたら、警戒されるもの。でもシルビアは、俯いたまま何も言わない。

「一人で来てるの? あたしも一人なんだけど、一緒にアイスクリーム食べない? ほら、むこうにアイスクリームショップ出てるよ」

 あたしが指さした方を見てシルビアは、ぱっと顔を赤らめた。そりゃそうよ、そのショップの前でシルビアの好きな男の子がチョコミントアイスを食べていたんだから。

 あれは映画に出てくるヒーローかな? マントを着て、腰からサーベルを下げている。三人連れだけど、一人は金色のロボットみたいな格好で、もう一人は円柱形の掃除機みたいなロボット。この世界から去ったとき七歳だったあたしには、何の映画のモデルかわからない。

「ねっ、行こう!」

 あたしはシルビアをアイスクリームショップまで引っ張っていった。

 シルビアのお目当ては、マントの男の子だ。栗色の巻き毛、緑色した涼しげな瞳。ちょっと愛嬌のある低い鼻がもう少し高ければ、格好いいんだけどな。あたし達に気が付いたらしい男の子は、シルビアにむかって軽く手を挙げた。そしてあたしの衣装を見たとたん、目を丸くする。

「や、やあシルビア、その子は友達? この学校じゃ見たこと無い子だけど」

「あっ……ハァイ! ロラン、その衣装素敵ね。彼女はサイ、さっき知り合ったばかりなの」

「そう、なんだか面白そうな子だね。この後のダンスパーティには、参加するの?」

「えっ、ええ、もちろんよ」

「じゃあ後で、二人の参加を楽しみにしてるから」

 ううっ、しまった。契約書をもらう前に、夢が叶っちゃった。シルビアは幸せそうにロランの後ろ姿を見つめている。ちらっと目を向けた先でシロンは、やれやれと言わんばかりに肩をすくめているし。う~ん、どうしよう。

「ありがとうサイ、あなたのおかげでロランと話せたわ。いつもは私なんかに話しかけてくれないのよ。お願いだから、この後のダンスパーティに一緒に出てくれないかしら。彼が興味があるのはサイだと思うけど、それでも私……」

「ふぅん、シルビアはロランのことが好きなのね」

 シルビアの顔が、そばかすが見えなくなるほど赤くなった。よしよし、シルビアはロランに近付くため、契約書にサインすること間違いなし。

「いいわよ、シルビア。でもあなた、本当はロランの恋人になりたいんじゃないの? あたしをきっかけにして、話をするだけでいいの?」

「……だって」

 あたしはシルビアをカボチャツリーの影に連れて行くと、小さな魔法でロランと同じチョコミントアイスを二つ出した。

「ねえ、実はあたしハロウィンの魔女なの。夢を叶えられない女の子を助けるために、この日だけ魔法が使えるのよ。シンデレラの話、知ってるでしょう? あれもハロウィンの魔女の仕事だったのよ、カボチャの馬車がその証拠」

 信じられないといった表情で、シルビアは差し出したチョコミントアイスとあたしの顔をかわりばんこに見つめた。

「あなたの夢、叶えてあげる。バザーの後、ダンスパーティ前に三ブロック先にある墓地まで来て。魔法をかけてあげるから」

 戸惑うように瞳を泳がせたあとシルビアは、あたしを真っ直ぐ見つめてしっかり頷いた。 シルビアの決意は揺るがない。確信を持ったあたしは、自信満々でシロンの元に戻った。

「彼女の気が変わるなんて事は、ないんだろうな」

「ふふん、お任せあれ。恋する乙女は、手段を選ばないのよ。それにしてもシロン、随分女の子にモテてたみたいねぇ」

 面白く無さそうに顔をしかめたシロンは、ホールに入ってからずっと女の子に取り巻かれていた。シロンに群がる女の子の夢を叶えた方が、手っ取り早かったかもね。まあ、たいして将来性のある子はいなかったけど。

「なら、ここにはもう用なしだ。行こうぜ」

 踵を返し、さっさとシロンは出口に向かう。せっかく人間世界に来たんだから、もっと楽しみたいのに。失望と羨望の眼差しを大勢の女の子から送られて、渋々あたしもホールを後にした。



〔3〕



 外に出ると、表通りで仮装パレードが催されていた。ジャック・オ・ランタンを掲げたモンスターの行列。大きな袋を持って、沿道の見物人からお菓子をもらう子ども達。だけど本物の悪魔や幽霊、魔法とは関わりのない普通の人間。平和で、幸せで、夢も希望も未来もある。あたし達とは違う世界の住人。

 墓地が近付くにつれ人影はまばらになり、楽しげな音楽も喧騒も遠くなった。あたしの高揚していた気分もだんだん沈んで、大きな喪失感と寂しさが身体を支配していくのが解る。ああなんで、あたしはあの世界に生きることが出来ないんだろう。

 あたしの変わりように気付いたのか、墓地の入り口でシロンが突然立ち止まった。

「何だよ、ふて腐れて。言っただろ、俺たちは遊びに来てるわけじゃ……」

「わかってるよっ! そんなことっ!」

 思わず叫んだ大声に、シロンは驚いて後ずさる。

「わかってる……わかってるけど……」

 なんかヤバイ、泣きそう。

「おまえなぁ……」

 溜息を吐いたシロンに手招きされ、あたしは一緒に墓地のベンチに腰掛けた。するとシロンはどこからか、お菓子の入った袋を取りだしキャンディを一つあたしに手渡す。

「トリック・ア・トリート、お菓子が欲しいんだろ?」

「ばっ、馬鹿にしないでよっ! あたしは別に……」

 涙をこらえてるあたしの方を見ないで、シロンはキャンディの包みを開けると自分の口に放り込んだ。

「ん、チェリー味か。コーラ味じゃなくて良かった。俺の時代にはなかったから苦手なんだよね、コーラ味」

 あたしも包みを開けて、キャンディを口に入れる。イチゴ味だ、懐かしい甘さ。あたしの好きな味だった。もしかしてシロン、あたしの気持ちがわかって慰めてくれてるのかな?「この時代は平和だからな、戻れるものなら戻りたいと思って当然だよ。でもさ、おれたちが生きられる場所を見つけるのは、無理なんだ。知ってるだろ?」

 頷いてあたしは目を伏せる。シスター・エレクトラがいなければ、孤児院での出来事はあたしの心を壊してしまっただろう。自分の力を恐れ、どうしたらいいか解らず、制御できなくなって誰かをもっと傷つけたかもしれない。

「シロンは? シロンは自分のいた時代に戻りたいとは思わないの?」

 あたしと同じ、『ひろいっ子』のシロン。どんな時代の、どんな場所で生活していたんだろう。

 『賢者様』だけが、時間の狭間から魔法使いの子どもを連れてくることが出来る。連れてこられた子供は過去の名前を忘れ、アルファベットの名で呼ばれるから、あたしの名は『サイ(φ)』、シロンの名は『イプシロン(ε)』なのだ。

「俺が、俺のいた時代に戻るとしたら……」

 緑がかったトビ色の瞳が、あたしを見つめた。だけどその中に、冷たくて暗い影がある。

「一七世紀、南フランスの小さな村で俺と母さんは暮らしていた。母さんは薬草の調合が得意で、その薬は多くの村人達を病から救ったんだ。だけどその噂が大きな町まで届くと、母さんの薬を求めてお金持ちや身分のある人までがやってくるようになった。この時代にはまだ魔女狩りが行われていて、ちょっとした妬みや嫉妬心をかうと誰であれ魔女に仕立て上げられる。たくさんのお金を手に入れた母さんは村人の妬みをかい、ある夜、家に火をかけられた」

 そこまで話すと、シロンは立ち上がりあたしに背を向けた。

「家は村人に取り囲まれ、逃げ場はなかった。仲が良かったはずの隣人までが、魔女を殺せと叫んでいた。燃えさかる炎の中で、母さんは俺を抱きしめた。その時、突然、床に輝く円が現れて俺だけがその中に引き込まれたんだ」

「……シロン」

 あたしには、かける言葉がみつからない。クラスでは捻くれた物言いばかりで、嫌われ者のシロン。用があって話しかけても睨むような目で見るから、ちょっと近寄りがたくて、いつも独りぼっち。だけど今、シロンの背中はとても悲しそうで、寂しそうで、後ろから抱きしめたくなった。

「俺はもっと強くなって、必ず『賢者』になる。そして母さんを……」

 時間を遡り、人間界の者を連れてこられるのは『賢者様』だけだ。そんな過去を背負い、お母さんを助けるために頑張っていたなんて知らなかった。

「悪ぃな、こんなこと他の誰かに話したこと無いんだけど、なんだかサイに聞いてもらいたくなったんだ。忘れてくれよ」

 あたしは首を横に振った。忘れることなんか、出来るはず無い。それどころか、どんどん気持ちが動いていくのを感じていた。何だろうこの気持ち、同情? 憐れみ? それとも……?

「おっと、ターゲットのご到着だ。仕事にかかろうぜ、サイ」

「えっ? ええ、そうだったわね」

 慌てて通りを見渡すと、むこうからやってくる人影は確かにシルビアだった。ティンカーベルの仮装はそのままに、上からコートを羽織っている。にこやかに迎えたあたしは、魔法の契約書をシルビアに手渡した。

「この契約書にサインすれば、ロランはずっとあなたのものよ。他の女の子に心が動いたりしない、一生あなただけを大切にしてくれるわ」

「……本当? ううん、嘘でもいい、今日はハロウィンだから魔法使いの言葉を信じてみるわ。名前を書けばいいの?」

 シルビアはベンチの上に契約書を置くと、あたしの差し出した羽ペンを手に取った。

「そうよ、フルネームで洗礼名も忘れずに。ただし契約には条件があるの、この夢が叶えられたら、あなたは将来の大きな夢を叶えられなくなる。もし、他に叶えたい夢があるならやめてもいいのよ?」

 少し考え込むように眉を寄せたシルビアは、だけどすぐに肩をすくめて微笑んだ。

「私の夢は一つだけ、ロランの恋人になれるなら何もいらないわ」

 契約書に、シルビアの名前が刻まれた。さあ、契約は完了。シルビアとロランを結ぶ魔法をかけるわよ。

 あたしの目配せで、シロンが呪文を唱える。墓地を契約の場にするのは人目を避けるという理由もあるけど、霊的な場を借りて呪文の力を増幅し、効率よく魔法を使うことができるからだ。特にハロウィンは霊力が墓地に収束しやすいから、半人前の魔法使いでも大きな力を得ることが出来る。墓石から霞のような発光体が浮き出ると一カ所に集まり、渦を巻き始めた。契約内容をあの中に念じ込め、シルビアとロランに吸収させれば仕事はお終い。

「ねえ、一つ聞いてもいい?」

 ゴキゲンなあたしに向かって、シルビアがおずおずと声を掛けてきた。

「ん? なあに?」

「私は将来の夢なんかいらないけど、ロランは? ロランまで夢を無くしたりしないよね?」

「ああ、それは仕方ないと思うよ」

「えっ?」

 あたしの言葉に、シルビアは首をかしげる。

「契約通りロランは、夢を見られないシルビアを一生愛してくれる。だからシルビアが不安がるような挑戦をしたり、冒険をしたりすることはなくなるでしょうね。自分の出来る範囲の能力で仕事に就き、与えられた職務をこなし、平和で安定した生活に甘んじることになるわ。ごく普通に子どもを育て、ごく普通に老い、神様の与えてくれた天寿を全うする生き方よ」

 機嫌良く喋ったあとで、あたしは気が付いた。しまった、まずい事になる。思った通り、みる間にシルビアの顔色が変わっていった。

「嘘……っ、そんなの嫌っ!」

 シルビアはあたしの手から契約書を奪い取る。

「ロランは、ロランは映画監督になってハリウッドで有名になるのが夢なのよ! 私の存在がロランを縛り付けるなら、恋人にならなくてもいい! ロランの夢を、遠くで見守っている方が幸せだわっ!」

「きゃあっ! なんてことするのよっ!」

 ビリビリと、シルビアが契約書を引き裂いた。呪文の途中で契約書を破るなんて、そんなことをしたら……!

「うわああっ!」

 シロンの叫び声、呪文が破られたんだ。見ると一点に集り青白い渦になった霞が、赤黒い雲のような塊になっていく。そして細いスパークが縦横無尽に走ると、細かく分裂して雨のように墓地に降り注いだ。途端、地面が揺らぎ、脈打つ。

「ちっ、呪詛返しだ! 気を付けろ、サイ!」

 注意されるまでもなく、あたしはシルビアを庇うように身構えた。奴らが来る!

 目の前の墓土が、勢いよく吹き上がった。墓石ごとに次から次へと、続けさまだ。そして、その下から這いだしてきたものは。

「なに、あれ? まさか死体が?」

 その死体を呼び出したのは、シルビア、あなたなんだけど。と、思ったけどシルビアへの返事の変わりに悪態をつくのは我慢した。その原因を作ったのは、他ならぬあたしだから。

 気候のせいか、この墓地の死体は保存状態が良いみたい。朽ちかけてはいるけど、人の形を保っている。だから厄介、だって気持ち悪いんだもん。枯れ木のようにミイラになった死体なら、あたしも対応しやすいんだけどな。

 物理魔法は苦手だ、あたしに出来る撃退方法は大地と植物の精気を利用して、死体を元の場所に封じ込めることくらい。一心に神経を集中させ、「蘇りし魂よ安住の地に戻れ」と祈る。ああでも、なかなか上手くいかない。一体を封じ込める間に二体、三体と墓場のモンスターがあたし達を包囲していく。シロンの魔法が強いせいだ、恨めしく思っても仕方ないんだけど。

「きゃあぁぁあっ!」

 どす黒く変色した死者の腕が、シルビアの足にからみついていた。そして必死に払いのけようと暴れるシルビアを、ずるずると地中に引きずり込もうとしている。墓石の前に開いた穴は底なしに深く暗く、轟々と渦巻く風の音が地獄からの呼び声のように聞こえてくる。

「シルビア、シルビアっ!」

 もうダメだ、人間の命が犠牲になれば、落第どころじゃない。『賢者様』の怒りを買って、魔族の使い間にされてしまう。でも、あたしはどうなってもいいから、シルビアは助けてあげたい!

「お願い『賢者様』、シルビアを助けてっ! あたしは赤毛で、誰からも必要とされない孤児で、魔法もダメで、つまらない夢しか無くて、役立たずだけどシルビアは違うの。好きな人がいて、家族に愛されてて、大きな夢と輝かしい未来を持っているわ! だから、だから!」

 その時、あたしの肩に温かい手が置かれた。

「心配するな、大丈夫だ」

「えっ」と、あたしが振り向くと、そこにはシロンが立っていた。呪文を破られた場合、ダメージはかなりひどいもので、大抵の学生はすぐに立ち上がる事など出来ない。それが強い魔法力を持つ者なら、なおさらだ。シロンは眉間から血を流していたけど、とても優しく微笑んだ。

 そして髪を束ねていたリボンをシュッと解き、頭上に高く掲げると、リボンは緋色に燃える一本の剣に変わった。

 シロンは剣を構え、死者達の群れに飛び込んだ。長い黒髪は宙に舞い、ダンスのステップを踏むように華麗な剣捌きが死者達を追いつめる。まるで守るように、温かな白い光がシロンの身体を包み込み、その姿は美しい天使様のよう……。

 あれ? どこかで似たような光景を見た気がするぞ?

 ボンヤリと考えながらその場に座り込み、あたしはシルビアを抱きしめてシロンの戦いを見ていた。

 シロンの剣は死者の身体を断ち、胴を払う。すると、あの赤黒い塊が飛び出して塵のように霧散し、死者は土の中に沈んでいった。

 息も乱さず一掃して、シロンは剣を引いた。緋色の剣は元のリボンに戻り、再び髪を束ねる。あたしの傍にあった破かれた契約書を拾い、シロンは土を払うと差し出した。

「破かれても契約は有効だ、もう一度魔法をかけるか?」

 あたしは、気を失っているシルビアを見つめた。自分の幸せより、好きな男の子の夢を大切にしたい。その気持ちは、同じ女の子として痛いほど解る。シルビアの夢も、ロランの夢も、奪う気になれなくなっていた。

「シロン……ごめんね。あたし」

 シロンは黙って小さな炎を手の中に出すと、契約書に火をつけた。

「契約不履行にするなら、燃やさないとな。まあ俺も、もうたいして力が残ってないからもう一度魔法をかけるのは無理だ」

 契約書は緑色の炎をあげて、灰になった。ありがとうシロン……。

 気を失ったままのシルビアを、二人でハイスクール近くのベンチに運んだ。ダンスパーティに間に合うように、あたしは小さな魔法をかける。するとシロンが、「この格好じゃ可愛そうだ」と言って、墓土で泥だらけになった衣装を綺麗に元通りに直した。だけどセロファンの羽が、本物の妖精の羽のように美しく変わっている。魔法力が無くなったと言ってたけど、まだまだ余裕があるじゃない。嘘つきだね、シロン。

「さてと、最下位は決定でもまだ時間はあるぜ? タイムリミットまでターゲットを探すぞ」

「ええっ? もう疲れたよ……」

 人非人、人でなし、意地悪! せっかく見直したっていうのに。

「何言ってるんだよ、一応おまえも『賢者候補生』なんだろ? 『賢者』になれば、自分の容姿を好きに出来るんだぜ。知ってるか? 『第二賢者様』の本当の姿は 、三百歳の婆さんなんだって」

 信じられないっ! どう見ても二十歳代にしか見えない、あのプロポーション抜群の『第二賢者様』が三百歳のお婆ちゃん? 

 ポカンと口を開け、言葉もないあたしに向かってシロンが笑う。

「おまえもプラチナブロンドになるために、『賢者』を目指したらどうだ?」

「なっ、なんだとうっ! なんでシロンが、あたしのささやかな夢を知ってるのよ!」 

 憤慨しながらあたしは、気持ちが切り替わっていることに気が付いた。

 そうだよね、いつまでも落ち込んだり凹んだりしてるのは時間の無駄。あたしはあたしの出来ることを、一所懸命やらなくちゃ。あたしを助けてくれたシスター・エレクトラに申し訳ない。

「行くわよ、シロン! まだまだ宵の口だもの、『桃色猫組』のジンクスを破ってみせるわ!」

 シロンは、やれやれといった顔で肩をすくめる。

 あたしは『桃色猫組』のエンブレムを胸につけ直すと、ターゲットを探しにハロウィンの町目掛けて駆け出した。



                    (終わり)

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