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スタートアップ!:イチから始める異世界起業  作者: キョウペイ
マッチングモデル:冒険者ギルド
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冒険者ギルド1 洗濯と風呂



 マッチングモデル:冒険者ギルド



 アリス・ニパンカの朝は早い。

 彼女は日の出とともに目を覚ます。倉庫部屋に窓はないが、日の出の時刻に自動的に目が覚めるのだ。長年の習慣がそうさせる。そんなアリスには朝にやることがあった。

 しかし、今日からは一人ではない。隣では颯真が眠っている。

「……起こさないようにしないと」

 口の中で呟き、静かに動く。昨日着た茶色のワンピースと、スーツのブラウス・スカートを持って音を立てずに部屋の外に出た。

 部屋を出てブラウスとスカートを着る。それから建物の二階に行き、一番手前の部屋に入ってベッドのシーツを回収。それを一階の洗濯部屋まで運ぶ。ワンピースとシーツを洗濯用の流し台に入れた。

 流し台下の戸を開ける。そこには水の魔術装置が設置されている。黒い箱のような装置で、流し台の上にある管と繋がっている。

「粉は、まだあるわね」

 装置の正面には『水の粉』が入った透明な容器が取り付けられている。残量はまだ半分ほどあった。

 スイッチを入れると装置が起動し、小さく甲高い音が聞こえ始めた。装置に取り付けられた『水の粉』が術式によって液体の水に変換される。その水は装置右側の貯蔵部に送られ、貯蔵部から溢れた分の水が流し台の上にある管から放出された。

 しかし、アリスには水が出る原理など分かっていない。分かっているのは、粉があってスイッチを入れると水が出るということだけである。

 水を流し台に貯める。ワンピースとシーツをじゃふじゃぶと水洗いをしてから、布を痛めないように優しく水を切る。それから部屋にある干し棒に洗濯物を掛けた。皺を丁寧に伸ばしていく。

 残りの三部屋のシーツの洗濯を行う。洗濯部屋と各部屋を行き来し、シーツを持ってきては洗い、それを棒に掛けていく。

 それが、安い倉庫部屋をさらに安くするための仕事だった。

 洗濯を終えると、倉庫部屋に戻る。そろそろ風呂屋が開く時間だ。寝ぼすけの颯真を強制的に叩き起こす。文字通り、叩いて起こす。

「起きなさい」

「……う。……何?」

「朝だって言ってるの」

「……あ、はい」

 颯真は体を起こし、あぐらの体勢になった。

「お風呂に行くわよ」

「……風呂?」


 大小二枚のタオル代わりの布を持って風呂屋――公衆浴場へ向かう。そこはアリスの家から十分のところにあった。

 建物に入り、番台の男性にアリスが銀貨を一枚渡す。

「二人分ね」

「はいよ」

 公衆浴場は男湯と女湯に分かれていた。仕方なくアリスと別れ、颯真は男湯に入った。

 簡単な脱衣所がある。正面に口の開いた木箱が重ねていくつも置かれていた。日本の銭湯とそこまで差はないらしい。

 颯真はスーツと下着を脱いで全て木箱に入れた。

「……盗まれないよな?」

 鍵なんてものはない。丸出しである。

 周囲を見渡す。まだ数人しか利用客はいなかった。

「……たぶん、大丈夫だろ」

 住民の善行を祈ってから、持ち込み用の小さい布を持って浴場へ向かった。異世界の銭湯はどんなものかと期待して、入り口の扉を開ける。

 ――謎の機械(?)があった。

 色は主に灰色。高さは一メートルほど。円形で直径は三メートルほどある。円周に等間隔で五センチの管が突き出していた。

 とりあえず近づいて、ある管の前に座ってみる。これは、洗い場なんだろうか。浴場の奥にはしっかりと大きな浴槽があるので、ここは洗い場だと思われる。

 しかし、使い方が分からない。颯真は適当に周囲を触ってみた。すると、管の下にわずかな長方形の出っ張りがあるのが分かった。

 意を決してそれを押し込んでみると、管から温水が放出された。しばらくすると、温水の放出は自動的に止まった。

「なるほど」

 つまり、あれこれ違えど銭湯は銭湯だった。

 体を洗って、浴槽のお湯にゆっくりと浸かった。初めての異世界銭湯を堪能し、脱衣所に戻る。幸い、服は盗まれていなかった。

 大きめの布で体の水滴を取る。スーツを着直して、建物から出た。

 外にはすでにアリスがいた。

「あんた遅くない?」

「お前早くない?」

「なんでそんなに遅いのよ」

「いや、ゆっくり癒されてたらそうなるでしょう」

「いや、お風呂は身支度を整えるところでしょ」

「それはそうだけど」

 これが文化の違いか。風呂で疲れを癒やすのは日本特有の感覚らしい。

 アリスの髪はしっとりとしていて、寝癖はなくなっていた。代わりに色気が少し発生していた。

※以下の内容は現在すでに修正済みです。


修正予定のお知らせ。以下の部分について、修正が発生します。


1.スタートアップ2のページにて

  水道代→入浴代

  アリス「倉庫部屋に水道はないから」

2.時刻表現の廃止

  午後三時などの表現がなくなります

  アリス「この世界に正確な時刻の概念はないから」

3.貨幣価値の変更

  1ゼニの価値が100倍(値段が100分の1)、つまりスーツの値段が55000→550

  アリス「貨幣そんなに量ないから。あたしはどんだけ硬貨持ってたわけ?」

4.アントレプレナーのページにて

  まず、3.の修正によってアリスの貯金100万ゼニ→1万ゼニ

  さらに1万ゼニ→3000ゼニ

  颯真「貯まりすぎだよね」

  アリス「おい」


修正は随時行います。

アリス「見切り発車の弊害よ、これ」

もしかしたらさらに変わるかもしれません。

アリス「えぇ……」

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