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俺はどこにでもいる平凡な高校生(千文字小説)

作者: 小出元春




 皆さんは行動経済学研究の第一人者、ダン・アリエリーをご存じだろうか?

 彼の著書『不合理だからうまくいく』(早川書房)の中で同類婚に関する実験が行われた。実験の内容や結果は是非、本を手に取って読んで戴きたい。ユーモアのある実験は他のどんな小説よりも面白く、とてもオススメできる一冊である。


 一応、この同類婚の実験結果を簡潔に纏めれば、

 『容姿に恵まれた人は恵まれた人同士、恵まれない人は恵まれない人同士で付き合うことが多い』ということだ。

 また、残念ながら容姿に恵まれない人へのアドバイスも書かれている。今回、それを俺と俺の高校のクラスメイトを例にして説明しようと思う。




 皆さんもご存じのとおり、俺のクラスには世界を救ったあの『英雄』がいる。『英雄』という肩書だけならまだしも、その佇まいは自信に溢れ、顔は整っており、百人が百人イケメンと答えるだろう。

 その『英雄』の回りには容姿端麗で『英雄』と幼馴染の生徒会長とライブやテレビで引っ張りだこのトップアイドルのリンちゃん、幼い容姿で仕草が可愛い謎の転校生がいつも一緒にいる。その周りには『英雄』と関わりたい女の子達と、女性陣とお話したい男共がワイワイガヤガヤとしている賑やかなクラスだ。

 ここで重要なのはダン・アリエリーの実験結果が示すように、名前を明かされることのない彼ら彼女らは決してブサイクなのではない。『英雄』や生徒会長達に恋するだけの容姿を持ち、他の学校に転校すれば間違いなく学年で一、二を争えるだけの美男美女の集まりなのである。


 ただし、肝心の俺はそこに含まれていない。つまり何を言いたいかというと、俺はどこにでもいる平凡な高校生であるということだ! 顔は悪くないと思う! 多分! 休憩時間はこうやって一人で本を読み、妄想に耽る。それが楽しいのだ! 決して悔しくなんかない!


 そんなことを考えていたら軽く頭を叩かれた。何となく叩いた手の感じで誰だかが分かって嬉しくなる。


 「また変なこと考えてたの?」

 「変なことじゃないよ。世の中上手く出来てんだな~って考えてたの」

 同じクラスになって一緒に居ることが多くなり、ふと気付いたらコイツのことが好きになっていた。


 「あ~、もう用事無い? 俺そろそろ帰るけど?」

 「いいよ、私も一緒に帰る」と言ってくれた。俺は内心ドキドキしながら読みかけの本を仕舞う。


 コイツのどこを好いたか? きっかけは多分、『加減して頭を叩いてきた時』かもしれない。

読んでいただき、ありがとうございます。


男は単純ですから、きっかけなんてこんなもんです。

アリエリーの本、ホントに面白かったんでおススメします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 何だかんだ言いながら主人公もちゃっかり幸せ者なところが良かったです。
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