アオイはアカネとおなじでいたい。
はじめまして、なまえはアオイ。5さいです。
アカネとはなれて3日がたった。
はやくあいたい。またアカネとくらすためには、アオイが剣をうまくあつかえるようになればいい。そうきいている。
だから、アオイはきょうもけいこにせいをだす。…といってもまだ木刀をふるだけだけど。
「アオイ。持ち方がなってないぞ。さっきに比べて姿勢も崩れてきている。疲れたのか?」
ああ、とうさんのいうとおりだ。アオイはつかれているみたい。木刀をふるのをやめると、なんだかフラフラする。
「休憩するか?」
『まだやれる』とおもったけど、「無理に続けても明日に響くぞ」というとうさんのことばで、きゅうけいをとることにした。
アカネとはなれたのなんてはじめてだ。さみしい。生まれてからずっといっしょだったから。からだのはんぶんがなくなったみたい。そわそわしておちつかない。
アカネもきっと、いまごろこれとたたかっているんじゃあないかな。
「アオイ、大丈夫か?アカネと離れて寂しくなったのか?」
さっそく、とうさんにきづかれた。さみしいのも、かなしいのもかくすつもりだったのに。
「アオイはアカネが大好きだものね」
かあさんがそういったので、かくすのをあきらめてすなおにいった。
「うん、そうなんだ!アオイはアカネがだいすき!でもきっと、アカネもアオイがだいすきだよ!アオイにはわかるんだ!!」
とうさんもかあさんもうれしそうだった。
「アオイが剣をうまくできるようになったら、アカネはかえってくるんだよね?」
二人はたしかにうなずいた。
「今は二人は何もかもが一緒でしょう?」とかあさん。
「アオイはアオイ。アカネはアカネ。二人が同じでなくなったらアカネは戻ってくるよ」ととうさん。
アオイは、のど元まででかかけたことばをのみこんだ。だって、アカネとまたいっしょにくらしたいから。
―――そんなの一生むりだよ。今ごろ別のところでそだてたって、ちがうことを教えたって、僕らは二人で一つなんだから。
「かあさんは?」
いつのまにか、かあさんのすがたがきえている。さっきまではいっしょにいたのに。
「買い物だ。夕食はなんだろうな?」
とうさんはときどき、おとななのに、こどもみたいなかおをするんだ。
「カツ丼かな?それとも親子丼かな?いやいや、他人丼かもしれないぞ!」
とうさんは、どんぶりがすきなんだろうか。
「たぶんカレーだとおもうよ!アカネはうらやましがるだろうな!!」
僕がそういうと、とうさんはカレー?なんでそうおもうんだ?とかえす。
「なんとなく、そんな気がするから!」
アオイは、ひとのかんがえていることがわかる。それはアカネのかんがえをよみとろうとずっとしていたからだろう。
アオイたちはなにもかんがえなくても同じことができた。だから、うりふたつだとよくかわいがられた。
あるときからとうさんとかあさんが、アオイたちのすることに手をくわえはじめた。アオイとアカネをバラバラにしようとした。
アオイはアカネとちがうことをするのがこわくて、いしきしてアカネとおなじようにした。アカネになったつもりで。アカネならこうする。だからアオイもそうする、と。
がんばったおかげで、アカネのかんがえることはなんでもわかるようになった。それがいつのまにか、ほかのひとのまでわかるようになった。わかりたくないことでも、わかってしまうようになった。
とうさんとかあさんはこまっていたけど、アオイはアカネとおなじでいたい。
とうとうアカネとはなれてくらすことになってしまったが、もともとアオイたちはそっくりおなじではなくなっていた。『こせい』だって、アオイがアカネにあわせていたから、ないようにみえていただけで、ちゃんとある。
すぐにまたいっしょにくらせるようになるだろう。
とうさんはいった。
「アオイもカレーが好きなのか?」
ほんとのことをいうと、アカネはカレーすきだったけど、アオイはそこまですきじゃなかったんだ。とうさんはしっていたのかな?
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もちろん夕食はカレーです。アオイはアカネの分まで美味しく頂きました。