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 「顕現せよ、エストック」

 「出でよ! 雷の剣斧!」

 ローシェの手にエストックが、フィアの両の前腕には装着される形で、雷状の剣斧が現れる。

 「フィア、その筋肉男は頼んだわ。私は、あっちの二人を相手するから」

 「任せて!」

 ローシェは、フィアの返答に微笑を浮かべ、二人の男に向かって駆け出す。


 「お前一人で大丈夫か?」

 「そっちこそ舐めないで! さっきまでの私とは違うよ!」

 フィアは距離を詰めていき、右前腕の剣斧で突く。

 男は、首を横に傾けて避ける。

 だがフィアは、さらに追撃していく。

 拳をぴたっと止めると、剣斧が付いている右前腕を、男の首目掛けて振る。


 上体を反らしてかわされるが。

 フィアの追撃はまだ終わらなかった。

 前腕を右に振った反動を利用して、剣斧が突き出ている左拳で殴りかかっていく。

 男はかわしきれず、胸部を突かれる。

 「ぐっ!」


 フィアは、ゆっくりと剣斧を引き抜いた。

 屈強な男は、胸部と口から血を流しながら、地に倒れる。

 「倒したみたいね」

 背後から声が響いた。

 振り向くと、ローシェがいた。

 二人の男は倒したらしい。

 死体となって地面に転がっている。


 「ローシェ······」

 「フィア、まだ任務は終ってないわ。行くわよ!」

 「うん!」

 二人は館の中に突入していった。




 邸内にも敵の裁司者がいた。

 二人は裁きの力を使って倒していく。

 「フィア、二手に分かれて抹殺対象を探すわよ」

 「了解!」

 二人はそれぞれ探していくが、警備を担当している敵の裁司者しか見つからない。


 数十分後。

 ローシェは敵の裁司者と戦っていた。

 手にしていたエストックで、敵の腹部を貫く。

 エストックを引き抜いたところで、聞き覚えのある声が響く。

 「ローシェ! 対象はどこにもいないよ!」

 フィアはそう言いつつ、ローシェに駆け寄る。

 「フィア。······そんなはずないわ。どこかにいるはず」


 「馬鹿め······いくら探した所で······見つかるはずねえだろ」

 息も絶え絶えの、敵の裁司者がそう言った。

 ローシェは、倒れ込んでいる敵の腹部を蹴りつける。

 男は咳き込む。

 「何か知っていそうね。ねえ······死ぬ前に指を一本ずつ斬られたい?」

 男は、ローシェの冷たい視線と言葉に観念する。

 「分かった······話す。······都市の外れに······研究所がある。都市を出て······南だ。そこに······雇い主がいるはずだ」

 「そう。ありがとう」

 ローシェはエストックを、男の左胸に突き立てる。

 「フィア、聞いたわね! 行くわよ!」

 「了解!」




 「見えてきたよ! ローシェ!」

 「何があるかわからないから、気を引き締めるのよ」

 二人は今、馬に乗った状態で、都市から南の少し離れた所にいる。

 視線の先には、背後に森林を構えた巨大な建築物があった。

 徐々に距離が詰まっていき、目の前まで来たとき、馬を降りる。

 二人は、扉に近付く。

 「開けるわよ」

 ローシェは、ゆっくりと扉を開けた。


 中は、一際明るく照らされていた。

 造りは、一階の一部屋のみで、広く高さもある。

 「ローシェ······あれ······」

 フィアは指差す。

 差した先には、大きな円形状の容器があった。

 幾つも。

 それと比べて、小さい円形状の容器はさらに多くある。

 そして、中に入っているのは大型と通常の異形だ。


 異形というのは、動物等がニファフトの起こす現象により進化を遂げた姿で、人に害をなす存在だ。

 ちなみに、ニファフトというのは大気中に存在しており、それが起こす現象はあらゆる生物、自然等に影響を及ぼす。


 「不味いことになったわね······」

 ローシェは呟く。

 「遅かったではないか!」

 突如、声が響いた。

 ローシェとフィアは、声のした方を見る。


 そこには、六十代らしき男がいた。

 恐らく、この男が抹殺対象だろう。

 「フィア、殺すわよ」

 「了解!」

 二人は、男に向かって駆け出す。


 その時、男は両手を掲げた。

 すると、爆発が起きる。

 ローシェ達は、咄嗟に踏み止まった。

 爆発は、異形の入っている容器を全て割っていく。

 「(わし)の勝ちだ!」

 幾つもの割れた容器の中から、異形が出てくる。

 ローシェとフィアの表情に、緊張が走った。





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