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 「こちらの部屋で御待ちです」

 礼服を着た男性は、そう言って扉を開ける。

 ローシェとフィアは、部屋の中に入っていく。

 「失礼します」

 二人はそう言い、会釈をする。

 背後で扉が閉まる音がする。


 それと同時に「よく、来たな」と、活力を感じさせる女性の声が響いた。

 二人が顔を上げると、二十五歳位の女性が椅子に座りながら、机の上で足を組んでいる。

 このような豪快な座り方をしているが、外見はかなりの美人だ。


 肩甲骨辺りまである赤い髪に、長い前髪は真ん中で分けて額を出している。

 瞳は青色。

 若干たれ目だが、自信に満ちた目付きをしている。


 体型は細身で、身長はフィアより高い。

 胸は豊満だがフィアに負けている。


 服装は、白のワイシャツを第二ボタンまではだけさせ、黒のネクタイを着用。

 下には、黒のタイトスカート。

 ベルトは暗い茶色。

 足元は、紐で締めるタイプの黒のブーツだ。

 上着は(えり)が立っている型で色は黒。

 左胸のところには、裁司者を示す天秤と剣の紋章が施されている。


 女性はその上着に袖を通さないで、両肩に覆い被せていた。


 「フェンダント司令、どのような用件ですか?」

 ローシェは問う。

 「お前達二人に、任務だ」

 司令の返答に、ローシェは顔色を変える。

 「任務の内容は、反乱を企てている元裁司者の抹殺だ。場所は都市ヘンドラー。詳細の地図は後で渡す。他には、仲間に現役の裁司者が複数いる。それとペットも飼っているようだぞ」


 ローシェは訝しげな表情をする。

 「ペット? ······ですか?」

 「ああ。それもとびきり、凶暴なペットだ。気を付けろよ」

 フェンダント司令は含み笑いをする。

 「以上だ。準備が出来次第出立せよ!」

 「了解しました!」

 ローシェの返事の後に、フィアも「了解しました」と続く。


 「······何だ? 元気がないな、フィア?」

 「そんなことないですよ」

 フィアは空笑いをする。

 「それなら良いが······任務に支障ないようにな」

 「はい、分かりました。失礼します」

 続いてローシェも「フェンダント司令、失礼しました」と会釈をする。


 二人は、部屋を出ていく。

 扉を閉めて、暫く通路を歩く。

 無言が続く中、ローシェは唐突に口を開く。

 「フィア······まだ気にしてるんじゃない······?」

 「······やっぱり、ローシェにはばれちゃうか。でも大丈夫だよ。任務には影響しないようにするから」


 フィアはそう言うが、ローシェは心配だった。

 任務に支障があれば、まずフィア自身が危ないからだ。

 だが、ローシェは彼女の言葉を信じて、それ以上何も言わなかった。







 二日後。

 太陽が沈んで三時間が経過した頃。


 都市ヘンドラーにある一つの豪邸の周囲に、ローシェとフィアは待機していた。

 豪邸の門前には裁司者らしき男性が二人。

 庭には、五人いる。

 それらの裁司者を満月が照らしていた。


 二人は頃合いを待っていた。

 ローシェは豪邸の後方で、フィアは正面の(やぶ)に潜んで。


 「それにしても暇だな」

 門番の一人である裁司者が欠伸(あくび)をして退屈そうに言う。

 「なんにもないしな。まあ、何かあっても困るけどな」

 もう一人の男も気怠(けだる)げに答える。


 フィアはその隙を見逃さなかった。

 (今だ!)

 「雷よ······我が敵を一掃せよ······飛雷」

 フィアがそう呟くと、雷状の何かが(ほとばし)った。

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