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 彼女、ローシェは精神的に疲れていた。

 会いたくない二人と話したからだ。

 一人はフランツ・アノマール。

 何かと、私達シュヴァルツに食ってかかる。

 まあ、裁司軍ヴァイスと暗殺部隊シュヴァルツは仲が悪いので、いさかいが起こるのは彼とだけではないのだが。


 もう一人は、セリス・K・ファイスニッド。

 セリスは、ローシェを競争相手として認識しており、いつも張り合ってくる。

 フランツより、人としてましなのだが。

 ローシェにとって、何かと疲れる二人だ。


 (そういえば······!)

 ローシェはフィアの方を見る。

 すると、顔を俯かせて今にも枯れてしまう花を思わせるような、表情をしていた。


 「ローシェ······ごめんね」

 その声は若干、震えていた。

 「······」

 ローシェは掛ける言葉が分からない。

 二人は黙り、静寂が暫くの間続く。


 十数秒が経った。


 その時静けさを破ったのは、フィアの方だった。

 「······もう大丈夫だから」

 そう言うフィアの声に、震えはなかった。

 だが、大丈夫なはずがない。

 実の兄にひどいことを言われたのだから。


 ローシェはそれを分かった上で、いつものように振る舞う。

 「そう。それなら良かった。フィアが静かなんて、らしくないしね」

 「ひどいな。それじゃ、私がいつも五月蝿い(うるさ)みたいじゃないか」

 「そうじゃないの?」

 「もう、ホントに怒るよ」

 「冗談よ」

 二人が微かに笑い合っていると、足音が近付いてくる。


 その足音は、段々と大きくなっていき、やがて訓練場の入口で止まった。

 扉が開かれる。

 そこに立っていたのは、裁司者でもない礼服に身を包んだ男性だった。

 「ローシェ・アイスハイト、フィア・オーヴァルの両名ですね?」

 「そうよ」

 ローシェは、表情を引き締めて答えた。


 「司令官から、御呼びがかかっています」

 「分かりました。行きます」

 ローシェとフィアは、男性の後を付いていった。





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