一
数日後、王都ラントミッテにて一人で歩く者がいた。
女性で歳は十七程だろう。
腰まである黒髪で、右の前髪だけ耳にかけている。
瞳は赤色、女豹のような目元。
服装は黒を基調とし、首元を覆い肩を出した上下一繋がりのスカート。
胸元はベース型に穴が空いており、左右には白のラインが走っている。
スカートの裾は、右上がりに斜めになっていて、後ろの丈は前よりも長い。
左にはスリットが入っている。
足に濃い赤のタイツと膝丈の黒ブーツを着用。
それと、前腕まで覆った薄手の黒の手袋。
そのような大人びた外見の彼女は、王城が聳え立つ近くにおり、離れたところにある幾つかの建物に向かっている。
「おーい、ローシェー!」
ふと、一際高く女性の声が響く。
ローシェと呼ぶ声は、黒髪の女性に向けられているらしい。
ローシェはやや、うんざりした表情で声の主を見る。
するとそこには、金髪で十八歳位の女性がいた。
後ろ髪は、後頭部の上で結って垂らしている。
琥珀色の目は、ぼやっとしていて穏やかな印象。
身長は一七〇センチ程あり、ローシェより高い。
女性は走って近づいてくる。
「会いたかったよ!」
そう言って、女性はローシェに抱き付く。
「そう······。私は会いたくなかったけどね、フィア。あなた、かなり五月蝿いのよ」
「ええ! つれないなー、ローシェ」
「それはそうと、早く離れてくれない? あなたの無駄に大きい胸のせいで暑いのよ」
「無駄に大きいとか言わないでよ! 気にしてるんだよ!」
「ふふっ。冗談よ」
(フィアっていじると面白いのよね。やりすぎてしまう位)
フィアはローシェから離れると、「ううっ」と呻きながら両腕で胸を隠す。
確かにフィアは胸が豊満だ。
さらに、服装の露出が高いので胸を際立たせている。
なにせ上は、胸から腹の上部までしか覆っていない。
強調しているのは胸だけではない。
くびれのラインと臀部だ。
それは下に、ぴたっとしたショートパンツを穿いているからだ。
他に着用しているものは膝丈までの黒いブーツ。
上が折り返されており、その部分は白になっている。
両腕には、二の腕まで覆った薄い手袋を身に付けている。
左は白と黒、右は白と落ち着いた赤の切り替え配色。
「そういえば、都市ザオバーで官僚貴族を暗殺する任務だったんだよね。お疲れさま」
フィアはローシェを労う。
「当然のことをしただけよ。私達暗殺部隊は、反乱を企てる者を抹殺するのが仕事だから。······そろそろ良い? 行っても?」
ローシェは再び、王城から離れた建物に向かおうとする。
「訓練場に行くんだよね。私も行くよ、待って!」
フィアは慌てて後を追う。
そうして、二人は訓練場に向かうのだった。




