十二
「それでは、いきますわよ!」
セリスは右手を前へかざす。
「顕現せよ、我が盾。転ぜよ!」
彼女がそう言葉を発すると、宙に無数の盾が現れ、端々には刃が生える。
セリスは、その刃が生えた盾を待機させておく。
「出でよ!」
フィアは、雷状のハルバートを顕現して両手で持つ。
「波打つ剣よ、熱き力と共に顕現せよ。フランベルジュ」
ローシェは、波打った両刃の剣を手にした。
最後にフランツが、力を使おうとする。
「行け! 俺とセリスで、力を使って援護する!」
その言葉に促され、ローシェとフィアは、狼型の巨大な異形目掛けて走り出す。
フランツは右手を前へかざす。
「荒ぶる自然よ、力を貸したまえ!」
宙に、無数の風が渦巻いていく。
「風の刃!」
そう言葉を発し終えると、風の刃として形をなし宙を駆けていく。
狼型の異形目掛けて。
風の刃は、巨大な狼を切り裂いていき、右目にも命中する。
すると、怒りを買ったらしく、異形は咆哮を上げた。
次の瞬間、距離を詰めていたローシェとフィアへ向かって疾駆していき、獰猛な牙で襲い掛かる。
「避けなさい!」
突如、セリスの声が響いた。
彼女は、待機させておいた刃の生えた盾を、巨大な狼の口目掛けて放つ。
ローシェとフィアは、それぞれ左右に避けていく。
刃の生えた盾は、巨大な狼の大きく開いた口内に命中する。
「口ががら空きですわよ。さあ、決めなさい!」
「行くわよ、フィア!」
「うん!」
まずフィアが、雷状のハルバートを上空に投げる。
ハルバートは、空高く上昇していき止まった。
「穿て!」
フィアがそう言うと、ハルバートが上空から降り注いでくる。
ハルバートはそのまま、巨大な狼の胴体に突き立ち、電流を走らせた。
巨大な狼は鳴き声を上げる。
続けて、次はローシェが仕掛ける。
巨大な狼の脚を駆け上がっていき、跳ぶ。
そして、背中に着地すると真っ直ぐ立って、両手で剣を掲げる。
「揺らめく紅き力よ、形をなせ。巨剣、フランベルジュ!」
ローシェがそう言葉を発すると、紅い炎が剣を覆う。
その炎は勢いを増していく。
やがて、勢いが止まる頃には、巨大な炎の剣と化していた。
ローシェは炎の巨剣を振り下ろし、巨大な狼の頭部を両断する。
すると、巨大な狼は地に倒れ伏していく。
「やったね、ローシェ!」
フィアは駆け寄って、手を差し伸べる。
「ええ······」
ローシェはフィアの手を取り、異形の身体から降りた。
その時、ローシェは立ちくらみを覚え、額に右手をそえる。
「どうしたの? ······ローシェ?」
「······」
ローシェは、フィアの呼び掛けに答えず、横に倒れ込んだ。




