十一
バランス型、技巧型の裁司兵達が異形達の気を引く。
その隙に、近接型の裁司兵達が攻撃していく。
通常の異形の数が減っていき、残り少なくなる。
だが、大型の異形はまだ四体いた。
「大型の異形達よ! 行け!」
一体の大型の異形に乗っている男は、残り三体の大型の異形に命令する。
二体の狼型、一体の蜂型が動く。
二体の狼型は、裁司兵達を前肢で踏みつけたり、獰猛な牙で喰いちぎっていく。
蜂型の巨大な異形は、滑空してきて裁司兵達を尾針で襲う。
「「うわあああ!」」
裁司兵達は叫び声を上げて、次々に殺されていく。
「こうなったら、私達も攻勢に出ますわよ! 曾祖母、エリッサ・K・ファイスニッドの名にかけて、この戦いを勝利に導きますわ!」
セリスは、隣にいるフランツにそう言うと駆け出す。
「仕方ない······。やるか」
フランツも、後を追って走り出した。
「ローシェ、勝てるかな?」
フィアは、ローシェにそう言いながら、通常の異形を倒していく。
「何言ってるの? 勝つのよ!」
ローシェは返答しつつ、ツヴァイハンダーで異形達をほふる。
「これで残りは巨大な異形のみよ!」
ローシェは、手にしていたツヴァイハンダーを消すと、右手を掲げる。
「幾重となりて顕現し」
宙に無数の剣が現れる。
「我が敵を貫け。剣の投擲!」
そう言葉を発し終えると同時に、掲げていた右手を前へかざした。
幾つもの剣は、蜂型の巨大な異形へと放たれていく。
蜂型の異形はかわそうとするが、殆どが突き刺さる。
だが、まだ動けるらしく、ローシェへ向かって飛んでいく。
迫る蜂の尾針を、ツヴァイハンダーを顕現して受け止めようとするローシェ。
その前に、進み出たフィアが、雷状のハルバートで受ける。
「今だよ! ローシェ!」
「分かったわ!」
ローシェは、ツヴァイハンダーを手に前へ進み、その剣を振るった。
剣は、巨大な蜂の横っ腹を斬り裂く。
続けてローシェは、振り返ると跳ぶ。
同時に剣を上段に構えた。
後は、下に落ちる勢いを利用して、剣を斜めに振り下ろす。
命中して、背に傷を負わすが、やはり致命傷には至らない。
「しぶといわね。しつこいと嫌われるわよ」
ローシェはつい愚痴を溢す。
その時、刃が生えた巨大な盾が飛んできて、巨大な蜂を真っ二つに切り裂いていった。
「これは······まさか」
ローシェの予想通り、次の瞬間声が響く。
「手助けに来ましたわよ!」
その声の主は、セリスだった。
「ついでに、フランツもですわ」
「俺は仕方なくだ。セリス」
「そう······」
ローシェは、セリスに助けられたのが、やや不満そうだ。
「それにしても、あなたが苦戦しているなんて珍しいですわ」
「それはそうよ。私達暗殺者は、反乱を起こす人を抹殺するのが仕事なのよ。異形相手との実戦経験なんて、余りないわ」
「でもそれは、戦場にでたら理由にはなりませんわ」
「······そうね」
「とにかく、異形は残り三体ですわ。協力して倒しますわよ!」
セリスに促され、ローシェ、フィア、フランツは表情を引き締めた。




