十
まず、後方の裁司兵達が裁きの力を放っていく。
命中していくが、異形達は大して傷を負わない。
そのまま互いに進み、ぶつかり合った。
近接型の裁司兵達が、攻撃を仕掛けていく。
乗じてローシェとフィアも突撃する。
「はあっ!」
ローシェは、ツヴァイハンダーで通常の異形を斬り伏せていく。
「くらえ!」
フィアは雷状のハルバートを手に、雷を放った。
雷はハルバートから放たれ、上空へ昇っていく。
そして止まったかと思うと、下にいる狼の大型異形に降り注いだ。
狼の大型異形は咆哮を上げる。
ある程度、傷を負わせられたが逆効果だったようだ。
異形を怒らせてしまったらしい。
狼の大型異形は、フィア目掛け突進し爪で攻撃する。
フィアは爪の一撃を、雷状のハルバートで受け止める。
「くっ!」
だが、大型異形の体重が乗っかっているのか、徐々に押されていく。
潰されそうになるかという時。
声が響く。
「荒ぶる嵐よ、形をなし疾走せよ! 嵐の戦車!」
フランツがそう言うと、宙に巨大な風が渦巻き始める。
やがてその風は、上半身は人、下半身は馬の形をなした。
すると、凄い速さで狼の大型異形目掛けて、宙を駆け下りていく。
大型異形は、その突進をかわせず食らってしまう。
嵐の戦車の渦巻く風が、異形を切り裂いていく。
大型異形は鳴き声を上げ、嵐の戦車が消滅する頃には絶命していた。
「おい、フィア・オーヴァル! お前の力はそんなものか!?」
フランツはフィアを叱咤する。
「フランツ兄さん······」
フィアは、相手に聞こえないような声で呟くと、気合を入れて戦いに戻っていく。
「素直じゃありませんのね?」
セリスは、隣にいるフランツにそう言った。
「馬鹿を言え。本心だ」
(······俺は妹を許せない······。あいつのせいで、家族はばらばらになったんだ。だからこそ、弱いあいつを見てると苛つく。弱いあいつに家庭を壊されたかと思うと······)
フランツは暫く、フィアを見ていた。




