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序章
日が暮れて間もない頃、その都市で目立つ豪邸の天辺に立つ者がいた。
暗くてはっきりとは分からないが、体の線の細さから女性だと判別できる。
その女性は、赤色に光る瞳で一点を見つめている。
隣の棟の窓硝子を。
暗くて中の様子は分からない。
十数分程して明かりが点くと、女性は僅かに顔色を変える。
そして、右手を前へかざし、何かを呟いた。
周りに聞かれない程の小さな声で。
すると、女性の目の前に一本の剣が現れる。
剣先は隣の窓ガラスに向いている。
正確には、中にいる人へ向けてだ。
女性は剣を迷いなく放つ。
剣は、窓硝子を派手な音をたてて破る。
数瞬遅れて、部屋にいる者の悲鳴。
女性は、その者が血を流して動かないのを確認すると。
「任務終了ね」
そう言い、豪邸を去っていく。




