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補助なしでは、やっていけない…
猿田天留美は、肩を落として理事長室を後にした。
顧問をしているコンピュータ部の部費の学園補助を、他の運動部に全額配分するというのだ。
新しいPCを部員分買う予定だったのに、部員も楽しみにしていたのに、一体どう説明すればいいのか、考えれば考えるほど、部室までの足取りが重くなっていった。
ふと、廊下からグラウンドを見ると、全国大会出場のテニス部の練習風景が目に入った。
そのまましばらく眺めていると、背後に悪寒が走った。
振り向くと、高等部二年で部長の襟摺亨がメガネを光らせて立っていた。
「天留美先生、理事長の話というのは、購入台数を減らせと?」
天留美が口ごもっていると、亨は眼鏡の奥からじっと天留美の目を見ていた。