プロローグ
どうも、維月です。
久し振りに新たなものを書いてみました……。
面白くないかも知れませんが、そこは慈悲の心でお願いします。
それでは、失礼致します。
すべての者の出逢いに、一つも偶然なんてない。
たとえ、出逢った相手が、人間じゃなかったとしても。
そう、思いたい……。
私は、逃げてしまいたかったのだ。
残った時間が短いのなら、できるだけムダにしたくはない。
黄昏時の、森の中。
白く、無機質な空から、ぽつりぽつりと雫がこぼれる。
それは、やがてすぐに小雨となって、次第に強さを増していった。
その土砂降りの中、ぬかるみに横たわる少女が一人。
乱れた髪から覗く顔色は、蒼白を通り越して真白く、長いこと雨ざらしにされた彼女の体は、まるで氷のように冷え切っていた。
しかし、彼女に全く意識がないというわけではない。
(体が……いうことを利かない)
伸ばされた細い手は、きつく泥を握りしめた。
ただ、自由が欲しかった。
あの白い部屋から、逃げ出したかっただけなのに。
「こんな……筈じゃ、なかったのに」
少女は、虚ろに呟いて、静かに意識を手放した。
頬を一筋、涙が伝い落ちて、散った。
雨音が、より一層強みを増していく。
―‐―と、雨滴を含んだ柔らかな草を踏む足音が、少女の前で動きを止めた。
「人間の……女!?」
足音の主は、少なからず驚いたようだ。
ここに、人間が来ることなど、今までに一度もなかったのだから。
そして、物語は‐‐―‐‐―‐ここから始まる。