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AAVS‐アーヴズ‐ 若き星と落ちた星‐  作者: 藤原ヒカリ
ウルシード訓練校編
1/9

プロローグ 「出会い」

お姉さんがスウェーデンの軍人訓練校に入り、5ヶ月が経過したんだね。寂しかったけど、お姉さんが頑張ってると思うと、邪魔出来ないって思ったから、今まで手紙を書きませんでした。でも、…言いたいことがあったから、書くことにしました。

「お誕生日おめでとう」

んふふ、これだけどうしても言いたかったんだ。

邪魔したね、では今度はちゃんと直に言えることを楽しみにしてますね。


エストレア・トリンデン






‐side ステラ‐


私は妹からきた手紙を丁寧に引き出しの奥に仕舞う。

まったく、そんなに気を使わなくていいのに。昔からそうだったね、もう。

この間の休暇の時に買った便箋を取り出しながら、微笑む。

あれ?万年筆どこ置いたっけ?

机の中をまさぐる。

おかしいな、ない。

ちゃんとしまっておいたんだけと…。

間違ってルームメイトの誰かが持っていっちゃったのかな。仕方ない、押収してくるか。

そう思い、私は部屋を出た。

さして広くない宿舎の廊下を歩きながら、ルームメイトの姿を探す。

休憩スペースを通る。いない。

いないかあ、私はそう落胆しながら通りすぎると――。

ドンッ!



私はドアに殴られた。

痛いなあ、まったく。ていうか危ないなあ。

そう思いながら反射的に突きだした両手を引っ込める。

鍛えているので怪我はしていないようだ。

「すまん、大丈夫か、訓練兵さん?」

ふと、声をかけられた。

相手は丁度扉に隠れて見えない。たぶん声からして男性だろう。ちょっとクールなお兄さんって感じの声だ。

「え、…あ、はい」

突然だったせいで、少々焦ってしまった。我ながら恥ずかしい。

ガチャンと音をたて、私を殴った扉が閉まる。

すると、そこにいたのは、大尉の階級章をつけた“英雄”だった。

きれいなブロンドの髪に白い肌、サファイアのような蒼い瞳。

彼は、サリバン戦争の英雄、カリウス・サー・ハンネトルン。

第二世代型AAVSの量産型、“スカイホーク”で敵軍“サハリン正国”の名士、エドンドリアを打ち倒した英雄だ。

「そうか、ならよかった。…ん、君は277訓練中隊の子か」え、私の所属を当てられた。たしかに私の着ているBUDには部隊章がついているけど、ほとんど知られていないような部隊だ。

でもなんで知ってるんだろう。

「まあ、そうですが…」

驚くあまり、私は上官には敬意を払って接するという軍規をスルーしてしまっていた。慌てて私は彼に対し謝罪した。けど、彼はそれを笑って流してしまった。

「しかし、なんでほとんど無名の部隊をしってるんでしょうか?」

敬意は最低限で良いと言うので、態度を改めつつ、先程からの疑問をぶつけてみた。

「聞いてないのかい?」

ぶつけてみると、彼は心底不思議そうな顔で私を見てきた。

「な、何でしょうか…?」

私は思わずドキリとしながら答える。

すると、ハンネトルン大尉はドキリとする私を軽く撫でながらこう答えた。

「ま、そのうちわかるよ」



この出会いが、私の将来を大きく変えるとはおもってもみなかった。

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