あなたの子を授かりましたと言われたボクは…
ボクの名前は、ユウ。
そして、今ボクのとなりでオロオロしているのは、ミキちゃんという女の子。
「どうしたの?ミキちゃん」
「あのね…ユウくん、実はミキね…あなたの子を授かりました。」
⁉︎
「えっ⁉︎」
「とぼけないでよ。というか、責任‼︎とってよね‼︎」
…
さっきまでのオロオロは、どこへいったのか?ってくらいの迫力でボクに迫るミキちゃん。
とりあえずつきあうことにしよう。
「ミキちゃんさ、なんで父親がボクだと思うの?」
「だって、あんなことしたんですもの」
…
まぁ、身に覚えは…なくもない。
いや、ない。
「ボクは、責任感は…ある方だけど、でもその責任は…とれないな」
「なんでよ⁉︎でも、もう遅いよ?さっき運んでたし」
「だれがなにを?」
「コウノトリさんが赤ちゃんを」
…
「コウノトリ?もしかして、さっきカラスがなんか咥えてたやつ?」
「うん、たぶんそう。」
「それ、カラスだよね?咥えてたの生ごみだし。コウノトリじゃないよね?」
「そんなこと言っても逃れられないからね?ミキは、地の果てまで追いかけるから」
…
「だから、父親ボクじゃないから」
「いいえ、あなたです。」
…困ったな。
「ところでなんで、ボクとミキちゃんの赤ちゃんできたの?」
「そもそもユウくん、ミキのおててにぎにぎしたよね?おてて繋ぐと赤ちゃんできるってママが言ってた。」
あー
さっき先生が、となりの人とおてて繋いでねーって言ってたやつか。
ボク…たしかにやってんなぁ。
でも、それはたぶん赤ちゃんできていない。
いや、できているわけがない。
「ミキちゃんは、とても純粋なんだね」
「なんで?」
「ところでさ、ミキちゃんはボクと結婚してもいいと思ってるの?」
「うん、いいよ。だってユウくんのこと大好きだもん」
「じゃあさ、大人になったらまたボクが結婚しようっていうから、そしたら結婚しない?ボクたちまだ幼稚園生でしょ?赤ちゃん、まだきてないと思うんだ。」
「そうなの?」
「うん、そうだよ」
「わかった!ユウくんがいうなら信じるよ」
「うん、ミキちゃん信じてくれてありがと」
「うん」
ミキちゃんは純粋で、そしてボクをいつも信じてくれる。
この前も、ボクがいち早く教室に入ったとき、田中くんの粘土が棚から勝手に落っこちてね、ボクとはだいぶ離れていたんだけど、あっ‼︎って駆け寄ったところに、鈴木さんが教室に入ってきて、あー‼︎いけないんだぁ‼︎壊したんだあ‼︎って大騒ぎしてね、ボクは落としていませんってみんなにも先生にも言ったんだけど、鈴木さんが絶対ユウくんが落としたんだって言い張って、ボク…泣きそうになっていたら、ミキちゃんが
「鈴木さんは、それをみたの?」
って聞いてくれてね、
「みてない…けど、絶対ユウくんが落としたんだよ‼︎」
って言ってきて…
でも、ミキちゃんが
「それは、みてないなら言いがかりっていうかかりだから、ちゃんと係の仕事して?良い係の仕事は、そんなことじゃありませんよね?どうなんですか?あなたは、係の仕事をきちんとやっていますか?どうですか?」
と、つめより鈴木さんは、わかりましたと、おとなしくなった。
ミキちゃんは、たまに大人みたいな口ぶりをみせてくる。
ボクがホッとすると、ミキちゃんが微笑んだ。
あれから、けっこう数年後
「ユウくん‼︎ユーウ〜くん‼︎」
「なんだよミキ…」
「ユウくんが好きすぎて好き〜」
と、微笑むミキ。
「オレも大好きだよ。さ、今日から初出勤お互い頑張らないとな」
「うん‼︎」
ミキは、教師になった。
そしてボクは、警察官になった。
「ミキ、途中まで一緒に行こうか」
「うん!」
ミキの左手の薬指にはめられた指輪がキラリと輝いた。
そのひかりごと優しくミキの手をにぎりしめて、幸せの未来へとふたりで手を繋いでこれからも歩んでいく。
「ミキ、大好きだよ♡」
「うん、ミキも大好き♡」
おしまい♡




