起きる、寝る
ジリリリリリリリ
その苦痛とも取れるそれを慣れた手つきで止める
元気いっぱいのスマホを手に取り時刻を見て一つのため息をつく。
まだ夜を忘れられない体に逆らって起きる、使い古したベットから足を下ろし、条件反射のように机上にあるタバコとライターを手に取り、ベランダに出る。
「寒」
朝露を照らすうざったいほどに輝いてるそれを横目に見ながらタバコに火をつける。
ため息とも深呼吸ともとれる呼吸から出された紫煙は互いに絡み合いながら空に消えてく。
チリチリと鳴るそれを口から離し、閑散とした街を眺めながらまた一つため息を。
「仕事見つけなきゃな、」
山盛りの灰皿にまた一つタバコを追加
「やっぱりまだ寒いな」
ベランダから室内に戻る時にふと目に映った薄い紙
「これも書かなきゃな」
履歴書と書かれたそれ手に持ち椅子に座る
やらなきゃいけないのにできない
最近はずっとこうだ
「散歩…」
まだ日が東に傾いてる頃
なんかこう歩いてると色々と思い出すな…
アルバムを捲るように映し出される断片的な記憶
竹原響子21歳
父は私が15歳の時に事故で急死、母は父の死により次第に心を壊し私が17歳の時に自殺。
母方のあまり経済力の無い親戚に送られ20歳まで親戚の自営業を手伝っていたが、あまり好かれる人間性でもない私は独り立ちできると見限られ2ヶ月分の生活費を渡され追い出された
私自身で振り返ってみても酷い人生だ。
ここまででも酷いのにまだある
仲の良かった友達とも疎遠になり、5年付き合っていた彼氏には捨てられた。
本当の孤独になってしまった。
絶望の中で出会ったのがタバコだった。
全て失って全てがどうでもいい時に何となく買ったラッキーストライク、咳き込みながら吸ったあの時、何か救われた気がした。
現実逃避のために書いた作品です
初投稿です