8 湖
ヤンおばさんに教えられた通り、里の裏に行くと想像していたより大きな湖があった。そして今日は満月だからだろうか、湖が光り輝いていて幻想的だった。
「綺麗・・・。こんな湖があったんだ」
その幻想的な景色に魅入られ、私はしばらく動けなかった。
「あっ、早く汗を流して戻らないと、ヤンおばさんが心配する」
湖の傍まで近づき、周りに誰もいないか確認する。
「よし、誰もいない。・・・念のため、魔法も使っとこう。<気配察知>」
魔法が発動したのを確認してから、私は約半日ぶりにパーカーを脱ぐ。
半日、ずっとフードをするのは意外と疲れるもんだ。
パーカーを脱ぐと風にあおられ、自分の白い髪が目に入る。
「・・・早めに洗って、早めに戻ろう」
私はすぐ服を脱いで湖に入った。少し冷たかったが慣れればそうでもない。
五分程湖につかって、汗を流し、そろそろ出ようと立ったその時、
「っ!」
(気配が!)
気配察知の魔法に反応があった。
そこからの葵の行動は速かった。大体、湖の岸まで二秒、体を拭くのに三秒、服を着るのに十秒、合計十五秒といったところだ。しかも素の身体能力で。葵自身も己の身体能力に驚いていた。
(身体能力が上がっている?)
が、驚いていたが故に葵は一つのことを失念していた。
そして、気配察知に反応した、人が現れた。
「そこにいるのは誰だ!!」
現れたかと思ったらいきなり誰何された。しかもこの声は、
「蒼焔皇子!!?」
だった。
短くてすみません…
でも次の話とあわせて書くと逆に長くなってしまうんです・・・
あきれずにこれからも見ていただけると嬉しいです。